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WBA/IBF/WBC統一スーパーウエルター級タイトル戦を控えた両チャンピオンの言葉

林壮一ノンフィクションライター
兄はWBCミドル級(左)、弟はWBCスーパーウエルター級王者。双子の兄弟。(写真:Shutterstock/アフロ)

 9月26日にWBA/IBFスーパーウエルター級チャンピオン、ジェイソン・ロサリオ(20勝14KO1敗1分)との統一戦を控えるWBC同級王者のジャーメル・チャーロ(33勝17KO1敗)。

 現地時間1日に行われた記者会見で語られた、両チャンピオンの言葉をお届けしよう。

 まずは、WBC王者で、双子の兄と共に同じ興行で統一戦に挑むジャーメル・チャーロ。

Photo:SHOWTIME
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 俺は以前より強く、速くなった。今回のトレーニングキャンプは素晴らしく順調だ。こんなに早く仕上がるなんて思ってもみなかった。でも、決して気は緩めないぜ。自分は常に高みを目指しているから。

 

 ロサリオには、このレベルまで成長したことについて「おめでとう」と言いたい。とは言え、リングを支配するのは俺だ。試合当日までに、更に準備を続けるよ。

 今、俺たち家族は歩を進めながら、我々にしか出来ない道を築いている。それは言葉じゃなく、戦いによって示すものさ。俺は今、かつて無いほどの危険なファイターだ。来る12ラウンドの戦いが、楽しみでしょうがないね。

 自分のキャパシティと技術は、154パウンドの他の選手を超越している。そして、今の俺は非常に飢えた状態にある。身体に火が点ったよ。

 俺と兄の実力を疑問視していた人がいることは分かっている。でも、俺は熟したんだ。外野の声なんかどうだっていい。パウンド・フォー・パウンド最強ランキングを誰が作ろうが、気にしない。俺の仕事は戦う事のみなんだ。

Photo:SHOWTIME
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 戦うことに喜びを感じて、この地まで登って来た。俺はそういうタイプの動物さ。ハードな練習の積み重ねが、俺を創った。これからも、そうやっていくよ。

 自分がスーパーウエルター級でベストだという理由には、様々な根拠がある。俺が檻の中の獅子であることをお見せしようじゃないか。

 ファーストラウンドから試合終了まで、俺の強さをご覧に入れるよ。知性も用いて罠も仕掛けていくぜ。まぁ、ここで戦略を漏らすようなことはしないけれどさ。とにかく、リングで遊ぶようなことはしないよ。

Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions

 対する2冠王者のジェイソン・ロサリオは次のように話した。

 ジャーメル・チャーロと私の統一戦は、素晴らしいものになるでしょう。26日に向け、高いモチベーションを持ちながら、全てを捧げてきました。実力者であるジャーメルと戦う訳ですから、充分なトレーニングを積んで来ましたよ。2本のベルトを獲得した時よりも、今日の方が勝利を渇望しています。

 ジャーメル・チャーロという一流選手に勝つんだという気持ちが、私の体内にある情熱の炎をメラメラと燃やしているんですよ。

 この統一戦は私にとって、大きな意味を持ちます。こんな機会を得たことは光栄です。また、キャリア最大の一戦であることは間違いありません。私がスーパーウエルター級最強であることを証明するために、この統一戦を与えてくれた人々、支えてくれているトレーナーには心から感謝を述べます。

 チャーロの勝利を唱える方もいらっしゃいますが、どんな帝国も、大統領も、王朝も崩れる日が訪れます。私の時がやって来る。彼が獅子であるなら、私はハンターになりますよ。

 2013年5月18日にデビューしたロサリオは、最初の12戦を母国であるドミニカで戦っている。米国進出を果たした2017年4月29日の10回戦では、第6ラウンドに3度ダウンしてのKO負けを食らった。この時、彼が世界チャンピオンになると予想した人は少なかったであろう。

 ジャーメル・チャーロもまた、トニー・ハリソンにベルトを奪われ、リターンマッチでタイトルを奪還した。両者ともに、敗北を乗り越え、負けを糧とした男なのだ。

Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions 今年1月、ジュリアン・ウイリアムズからベルトを奪ったロサリオ
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions 今年1月、ジュリアン・ウイリアムズからベルトを奪ったロサリオ

 このクラスの統一戦で忘れられないのは、2000年12月2日に催されたフェリックス・トリニダードvs.フェルナンド・バルガスだ。https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20180824-00093467/

 トリニダードvs.バルガスのように、後世に語り継がれる名ファイトを期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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