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「必ず世界チャンピオンになる」と太鼓判を押された男の夏

林壮一ノンフィクションライター
撮影:山口裕朗

 WBOアジアパシフィックミニマム級王者、重岡銀次朗。目下の戦績は5戦全勝4KOである。

 ワタナベジム関係者の誰もが「間違いなく世界を狙える逸材」と口を揃える銀次朗だが、新型コロナウィルスの影響で、次の試合はまだ決まっていない。昨年の大晦日以来、リングに上がれていないのだ。

撮影:Marvin Woods
撮影:Marvin Woods

 「試合は決まりませんが、練習を長く休んだ訳ではありませんので、ブランクとは考えていません。ジムワークは、この1カ月くらい充実しています。朝のロードワークは8キロ走っていますし、週に1度はフライ級やバンタム級の選手たちと4ラウンドくらいのスパーリングをこなしています。

 WBO王者への挑戦が具体化しそうだったのですが、コロナで……。まぁ仕方ありませんよね。地元が大好きなので、早く試合をして故郷に帰りたいなという気持ちが物凄く強いです。家族にも仲間にも会いたいですよ。でも、兄貴と『試合もしとらんけん、帰れんか…』と話しているんです」

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20200512-00177313/

 この時期、銀次朗はワシル・ロマチェンコの映像を見てボクシングを研究するようになった。

 「自分はこれまで、他の選手のビデオを見ることが殆どなかったのですが、最近、ロマチェンコの動きを参考にしています。サイドの動き、足の捌き方を練習で真似しているんです。彼は楽しそうにボクシングをしますよね。僕も、あんなディフェンスを覚えたいです。自分はパンチをもらってしまうところがあるので、防御を磨くことが今の課題ですね」

8月17日の練習後 写真:本人提供
8月17日の練習後 写真:本人提供

 最近、銀次朗はロードワークの際、走ることの喜びを感じる。自然とペースも上がる。

 「走りは間違いなくステップアップしましたね。今のコースには無いのですが、階段ダッシュを取り入れたいです」

 WBOアジアパシフィックミニマム級チャンピオンは、現在20歳。伸びしろは未知数だ。重岡銀次朗、是非一度、生でご覧ください。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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