アルゼンチン人コーチが語る「注目するのはFC東京」
実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、栃木SC所属のエスクデロ競飛王。自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。
昨年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、この程、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとなった彼に、4節が終了したJリーグについて聞いた。
川崎フロンターレ、強いですね。セレッソ大阪も昨シーズンとは全く違うように思います。でも、僕が一番注目しているのは、FC東京です。
FC東京は7月8日の3節で川崎フロンターレに0-4で敗れましたが、12日の4節では立て直し、横浜Mマリノスに3-1で勝利しました。
以前から言っていますが、僕は長谷川健太監督の手腕を高く評価しています。あの人は、どのチームを率いても結果を出せる。強いチームを作る。
Jリーグの中には、未だに後方からロングパスを蹴るような古いスタイルで戦うチームもあります。が、長谷川監督はいつも繋ぐサッカーを見せますね。アルゼンチン人が目にしても、非常にいいサッカーをしています。
長谷川監督は現役時代にウイングの職人として鳴らした人ですから、サイドを使って、抉ってマイナス。そして、3人目の動きもきちんと選手に浸透させています。今の日本のサッカーの中で、一番見応えがありますね。
僕はFC東京を優勝候補に挙げますが、それ以上に応援したくなるチームです。
FC東京で舵をとっていたボランチの橋本拳人選手が、7月18日の浦和レッズ戦を最後にロストフに移籍することが発表されましたね。橋本選手がいなくなれば、戦力的にダウンするかもしれません。それでも僕は、長谷川監督なら橋本選手の穴を埋める采配が出来るだろうと期待します。
現代サッカーにおいては、ボランチの働きが試合を決めると言っても過言ではありません。ボランチがあまりボールを触らずに繋げないチームは、構成力、展開力が激減します。
僕らの国の歴史に刻まれている1978年ワールドカップの優勝時には、ガジェゴ、アルディレスが、今のボランチのポジションでゲームを作っていました。彼らがボールを触って、パス交換をして、決定的なチャンスを演出していたんです。ボランチの働きがあったからこそ、FWのマリオ・ケンペスやベルトーニが生きたんですよ。
「ちゃんとボールを繋がないと、サッカーにならない」「サイドの深い位置まで切り込んで、角度のないところからクロスを上げると得点に繋がるケースが多い」。それが僕の考え方です。
長谷川監督のサッカーはアルゼンチン人にも好まれますよ。本当に見ていて楽しいです。