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フロイド・メイウェザー・ジュニアの実娘、ヤヤの逮捕

林壮一ノンフィクションライター
Iyanna “Yaya” Mayweatherは19歳。(写真:REX/アフロ)

 現地時間4月4日午前1時半、フロイド・メイウェザー・ジュニア(43)の実娘、<ヤヤ>ことイヤンナ・メイウェザー(19)がテキサス州ヒューストンで逮捕された。ラッパー「NBAヤングボーイ」の恋人を刺した疑い。ヒューストンのハリス郡拘置所に身柄を拘束された。

 地元警察の発表によれば、ヤングボーイ宅でこのラッパーの恋人と鉢合せとなったヤヤは、激しい口論の末、キッチンに移動。ヤヤは2本のナイフを手にし、犯行に及んだとのことだ。ヤヤは、ヤングボーイと昨年12月くらいから交際していると書く米メディアもある。

 事件現場に警察が駆け付けた際、ヤヤ自身も床に倒れており、直後に病院に運ばれている。ヤヤはキッチンでの暴行前、被害者が自分の髪をラッパー宅の外で引っ張ったと主張。また、この被害者女性----ラパットラ・ラッシュアイ・ジェイコブスに会ったのは、今回が初めてだと話した。

 NBCは「保釈金3万ドルで、既にメイウェザーの娘は釈放された。6日に裁判所に出廷することとなっている」と報じている。

2010年5月1日、Shane Mosley戦後のメイウェザー 撮影:著者
2010年5月1日、Shane Mosley戦後のメイウェザー 撮影:著者

 19歳のヤヤの職業は「歌手」そして「Social media celebrity」と記されているが、パウンド・フォー・パウンドの娘ということで、苦労せずに育ったのであろう。

 1999年夏、フロイド・メイウェザー・ジュニアは、私との1対1のインタビューに応じた。WBCスーパーフェザー級タイトルを獲得し、3度の防衛に成功した頃である。まだ「Money」ではなく「Pretty Boy」と名乗っていた。

 インタビューの折、メイウェザーは言ったものだ。

 「自分の人生において最も幸せを感じたのは、世界チャンプになった時じゃなく、父が出所した日なんです」

 現役時代、IBFウエルター級1位にランクされたことがあるメイウェザー・シニアも、ジュニアの言葉を受けてしみじみと語った。

 「引退後、俺にはカネを稼ぐ方法が無く、ドラッグの売買に手を染めてしまった。刑務所内で、ドラッグがいかにマイナスかを学んだよ。教育ってのは本当に大事だな。その重要さを理解したんだ。これからは息子と共に綺麗に生きていくよ」

 フロイド・ジュニアはその後、パウンド・フォー・パウンドとしてスターダムに躍り出ると、Moneyを重視し、取材も受けなくなっていった。周囲にはギャングと思しき人間の姿が目に付いた。また、シニアとの関係も悪化する。

 今回、娘の保釈金を払ったのは、メイウェザー・ジュニアであろう。父親としてヤヤにどんな言葉を掛けたのか? 彼にはシニアが出所した日の喜びを思い出すことなど、もう無いのだろうか?

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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