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プロの世界王者から、東京五輪を目指す男

林壮一ノンフィクションライター
東京五輪を現役生活最後の場所とし、教師を目指す高山勝成(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 プロの世界王座を自ら降り、五輪出場を目指している高山勝成https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20190116-00110592/ 。

 

 アマチュア選手に転向し、7月6日に第1戦のリングに上がった。目下アマで2戦2勝。この夏は、ひたすらトレーニングを重ねている。今月末日に、次の試合を控える高山をインタビューした。

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 アマ(全日本選手権愛知大会)のフライ級で2試合やりましたが、グローブが大きかったですね。プロでは8オンスでしたが、アマでは10オンスです。10オンスではありますが、ナックルの部分が14オンスくらいの分厚さなんです。相手を殴った時、ナックルの感触がわからないんですよ。普段、スパーリングで使っている14オンスよりもナックル部分が厚いので、ヒットポイントがズレる感じがします。よほど、スピードとタイミングが合わないと、アマでは倒すことが出来ないな、と感じています。

 僕はプロでミニマム級でしたが、アマではフライ級ですから、相手は僕よりも1回り、2回り大きな選手です。

 

 ラウンドも、3分3ラウンドは短いですね。あっという間に最終ラウンドになってしまいました。自分のスタミナと集中力の高さを出し切れていないまま終わってしまったんです。

 次は愛知県代表として、三重、静岡、岐阜で勝ち上がって来た選手と戦う東海大会です。8月31日と9月1日に予定されています。短期決戦であることを頭に入れ、ゴングダッシュのような感じで自分を出し切りたいですね。相手選手の体は、僕より大きいでしょうし、東海大会、全日本と勝ち上がれば、相手の技術も高くなります。それだけにやり甲斐がありますね。自分の良さ、フィジカルの強さ、手数、出入りの速さなどを出していければと思います。

 今、練習で自分を追い込んでいるところです。メニューとしては、スパー、マスボクシング、サンドバッグの打ち込みですね。この暑さですから、お昼過ぎにジムワークをして、19時くらいから40分くらいロードワークしています。

 東海大会で勝つと、11月の全日本選手権に繋がります。ここで勝って初めて東京五輪が見えて来ます。

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 東海大会には、WBO世界フライ級王者田中恒成の兄、亮明が出場予定だ。彼もまた、東京五輪出場を狙っている。

 アマ関係者は言う。

 「注目のファイトになるでしょう。百戦錬磨の高山と、アマを貫いてきた田中。どちらも譲れないでしょうから、意地と意地のぶつかり合いが見られますよ」

 〜高山勝成の挑戦〜必見だ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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