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自民は非情、共産と社民、れいわ、立憲は人権重視―入管問題等、NPOが政策チェック

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
移住連のウェブサイトより

 今週末10日に投開票が行われる参院選。特定非営利活動法人「移住者と連帯するネットワーク」(移住連)は、入管収容施設での死亡、自殺・自殺未遂が相次ぐ等、深刻な人権問題となっている外国人に対する差別的な制度について、各党にアンケートを行った。その結果、日本共産党と社会民主党、れいわ新選組が外国人の人権状況の改善策に前向きで、立憲民主党がそれに続いた。他方、自由民主党やNHK党は、改善策に後ろ向きであった。また、人権団体のアムネスティ・インターナショナル日本も、「#選挙は人権で考える」として各候補にアンケートを行い、人権団体ヒューマンライツ・ナウも各党へ人権をテーマにアンケートを行っている。

〇各党へのアンケートの結果は?

 移住連のアンケートは、11項目あるが、本稿では筆者が取材してきた入管問題に焦点を絞って回答結果を紹介したい。

 質問3の「難民申請者に対する送還停止効の例外や送還忌避罪等を設けた入管法案は再提出すべきでない」は、昨年に提出され廃案となった入管法「改悪」案について。日本では難民認定審査そのものに大きな問題があることが、国内外から指摘され、国連難民高等弁務官事務所の年次報告でも「難民認定率が低い国」と名指しされている。昨年の入管法改悪案はこうした難民認定審査の問題点を改善することなく、難民条約等で禁止されている、難民認定申請者の強制送還を可能とする、送還を拒否する場合は刑事罰を科すといった内容で、これまた国内外から強く批判された。この入管法「改悪」案を再提出するべきではないとしたのが、立憲、共産、社民、れいわ、N党であった。自民と維新は、再提出すべきとの立場だった。

 質問4の「入管施設への収容は司法の判断を必要とし、最長収容期間を設定する」は、国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会から2020年9月に示された意見書でも指摘された問題。難民認定申請者その他帰国できない事情を抱える外国人の人々を、法務省/入管庁はその収容施設に無期限で拘束(収容)している上、しかも、収容の是非や期間が、入管の裁量であり、裁判所の判断が介在しないことが、国際人権規約違反だと指摘されたのである。入管の裁量のみで無期限に収容を続けられることは、2021年3月に名古屋入管でスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(享年33歳)が、著しい健康状態の悪化にもかかわらず、適切な医療を受けられないまま収容され続け、死亡した事件の原因とも言われている。質問4への各党の回答は、立憲、維新、共産、れいわ、社民が賛成。自民とN党が反対であった。

 質問5の「非正規滞在者などへの在留特別許可については、子どもの最善の利益や家族の結合権など、国際人権基準に基づいて判断すべきである」も重要だ。本来、優先的に在留資格を得られるはずの、日本人と結婚した在日外国人が、理不尽に在留資格を与えられず、収容されたり、半ば強制的とも言える帰国を強いられている。これは在日外国人のみならず、その配偶者や子どもである日本人に対する深刻な人権侵害でもある。また、両親が外国人であっても、日本で生まれ、あるいは物心ついた時から日本で育ってきた外国人の子ども達は人道上、在留を認められるべきだろう。質問5に対しては、立憲、共産、れいわ、社民が賛成。自民とN党が反対だった。

 質問6の「入管法から独立した難民保護法を制定すべきである」は、日本の難民に対する差別的な制度・対応を根本から改善するための野党の対案である「難民保護法」への是非。立憲、共産、れいわ、社民が前向きで、自民とN党が反対だった。

〇人権団体によるアンケート

 人権団体のアムネスティ・インターナショナル日本は、入管問題やLGBTの権利等、について、各選挙区の候補へのアンケートを行い、回答結果を特設ウェブサイトにアップしている。

 また、人権団体ヒューマンライツ・ナウは、入管問題の他、児童・強制労働の禁止、クーデターを起こし、人権侵害を繰り返しているミャンマー国軍への対応、核兵器禁止条約の批准等、広範囲な人権に関する質問について、各党にアンケートを行い公表している。

 これらのアンケートは筆者としても投票の判断基準として、大いに活用するつもりだ。 

(了)

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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