アマゾンと東南アジアの森林の危機―日本のメディアが報じない本当の理由

今年はアマゾンだけでなく、インドネシアでの山火事も深刻だった(写真:ロイター/アフロ)

 今年の夏、世界に衝撃を与えた、南米アマゾン熱帯林の大規模火災。地球最大の熱帯雨林の危機は、今年8月にフランスで行われたG7サミットでも最重要課題とされたものの、日本では報道の扱いは小さく、また表面的なものばかりであった。そこで筆者は、現地NGOでの活動歴があり南米の環境問題に詳しいエコロジストの印鑰智哉さんを講師に、勉強会を開催。その内容を有料版で分割して配信してきたが、今回で完結となる。内容は、東南アジアでも森林破壊が進んでいることについて、米環境NGOレインフォレスト・アクションネットワーク(RAN)の川上豊幸さんのお話と、会場からの質疑応答について。

以下、講演録より。

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◯東南アジアでも深刻な森林火災!

川上:レインフォレスト・アクション・ネットワークの川上と申します。私たちの団体は東南アジアの、インドネシアの問題にずっと取り組んでいます。 ブラジルの問題は非常に大きな森林火災ということで、メディアにも取り上げられているんですが、実はインドネシアでも同じまではいかないんですが、深刻な森林火災が起きています。そのお話について、簡単に、短めにお話ししたいと思います。

 

 今日のお話はインドネシアのスマトラ島と、これはボルネオ島について。スマトラ島はこの大きな島。日本よりもちょっと大きいぐらい。日本の1.5倍。こっちは、ボルネオ島自体は2倍ぐらいある大きな島で、森林火災が非常に頻繁に起きております。2015年には大規模な森林火災による煙害が、国際的な問題になりました。シンガポールとかで空港が閉鎖されたりして、大変なことになったというのはご記憶の方もおられると思うんですが、それから比較的、収まっていました。実はインドネシアは毎年、火事が結構起きていまして、エルニーニョ現象が起きる非常に火災が拡大してしまうということがあります。2015年はそのピークだったのですが、今年、またエルニーニョ現象が起きてまして、森林火災の規模が大きくなっています。

RANの川上さん(写真左)筆者撮影 
RANの川上さん(写真左)筆者撮影 

 森林破壊の原因では、大きな要因としてパーム油の問題があります。今、パーム油は植物油としては世界的利用されています。パーム油は価格が安く競争力が今、急速に拡大しているからです。植物油は、もともと大豆が多かったんですけれども、今はもうパーム油が最も多い。インドネシアでは、もう一つ、紙パルプのためのプランテーションと呼ばれる大規模な農場による森林破壊も酷い。こうした紙パルプは日本に結構、来ています。(文房具メーカーの)アスクルも売っています。

 今、スマトラ島のリアウ州プカンバルという都市が森林火災による、煙害に遭っていまして、この都市の向かい側ぐらいがシンガポールなので、そこも煙害になっていまして、非常に深刻な健康被害が起きています。今、森林火災が起きている地域の面積は、32万ヘクタール。東京都の1.5倍。ただ、2015年のほうがやっぱりひどくて、そのときは260万ヘクタールというふうにいわれて。まだ途中なので、もう少し増える可能性があるんです。今、発表で35万ヘクタール。9月だけで11万カ所が燃えていますというふうになっています。

 スマトラ島では、リアウ、ジャンビ、南スマトラとった低地のところが開発されていて、そこが燃えています。農地の割合は、紙パルプ用の木を植えているところが21%、パーム油が37%。です。紙パルプでは、APP社と、エイプリル社が土地を持っていまして、その所有している森林で火災が発生しています。それぞれの会社はどちらもコピー用紙とかで日本に売られていますが、APP社のほうが多くて、実は日本で売られているコピー用紙のトップはこのAPP社だということになっているので、非常に関係性は深いです。パーム油のためのプランテーションは広大です。大きな農地だと5,000ヘクタールぐらいありますので、山手線の内側が全部、農地みたいなのが普通というふうになります。これを集めて、油をつくるわけです。

◯泥炭地が燃え、膨大なCO2を放出

 こうした開発の大きな問題が、泥炭地からのCO2排出です。インドネシアでは、自然に泥炭地が数万年をかけて、土壌にどんどん炭素をためているところがあります。これに火がついちゃいますと、ずっと燃え続けるという問題があります。泥炭地は、「水の森」といわれて、本来は、水がたくさんあって、そこに木が生えています。寿命を迎えるなどして、枯れた木は水の中に埋まって、そのまま、そのまま炭素として、どんどんたまっていって、泥炭地がつくられていく状況があります。

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