森友文書改ざん問題は、共謀罪の摘発対象か?識者に聞いた

森友文書改ざんは、麻生財務大臣の進退や、安倍首相の政権運営にも影響しつつある。(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 学校法人・森友学園との国有地取引に関する決裁文書の改ざん疑惑で、財務省は12日、国会に開示した決裁文書とは別の決裁文書が複数存在することを認めた。これに関連して、ネット上では、公文書偽造等の罪(刑法155条)が共謀罪(テロ等準備罪)の対象項目となっていることから、「安倍政権や財務省が共謀罪適用の第一号になるかも?」と、ツイッターユーザーらが論議している(関連情報)。森友文書改ざんは、共謀罪の対象になるのか?共謀罪に詳しい、ジャーナリスト・林克明氏に聞いた。

〇「理論上はありうる」公文書偽造の共謀罪

 共謀罪(テロ等準備罪)とは、

重大な犯罪を企図した「組織的犯罪集団」が、犯罪の実行に合意し、犯罪実行に向けて「準備行為」をした場合、実際に犯罪の実行に着手する前の段階で検挙・摘発、処罰できる

 というもの。対象は、“組織的犯罪集団”とされているが、国会での質疑での政府側の答弁が幾度も変わり、組織的犯罪集団のみならず、一般市民や報道機関にまで適用されるのではないかとの懸念がもたれた。そのため、野党は猛反対したが、政府与党は「東京オリンピックの実現のためのテロ対策に必要」と強行採決、昨年6月に成立した。

 さて、この共謀罪、ネット上で論議されているように、森友文書改ざん問題で、財務省或いは安倍政権に適用できるものなのか?

共謀罪に詳しいジャーナリストの林克明氏。
共謀罪に詳しいジャーナリストの林克明氏。

 政府側の主張によれば、共謀罪の摘発対象は、あくまで「組織的犯罪集団」であり、一見、財務省や安倍政権の関係者らを取り締まることは無理なように見える。しかし、ジャーナリスト・林克明氏はこう指摘する。

 「法務省は共謀罪について、“もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団に当たり得ることとするのが適当であるものと考えている”との見解を昨年2月に示しています。つまり、テログループなどの組織的犯罪集団などではない組織であっても、“団体の目的が一変した”と、捜査側が解釈したら、共謀罪で摘発することができるのです」(林氏)。

 「しかも、組織全体だけではなく、その組織の一部分が“団体の目的が一変した”とみなすこともできるのです。ですから、今回の事例で言えば、財務省や安倍内閣の中で、森友文書の改ざんに関わった面々を、“その目的が一変した団体”とみなし、共謀罪の適用対象とすることも、理論上は可能ですね」(林氏)。

 適用範囲を曖昧にしたまま、濫用の恐れがある法律を強行採決した挙句、当の安倍政権の面々がその適用範囲になるとしたら、何とも皮肉なことだ。

〇共謀罪ではなく、公文書偽造等の罪の既遂?!

 ただ、そもそもの問題として、共謀罪とは、犯行を実行する以前の準備段階に着手した時点で、捜査や検挙・摘発するというもの。「今回、財務省は、森友文書改ざんを認めました。ですから、“犯罪の準備に着手”どころか、実際に犯行にいたっている、既遂なわけですから、共謀罪云々という話ではなくなっています」(林氏)。

 大阪地検特捜部は、佐川宣寿・前財務省理財局長に対する、森友学園問題にからみ公用文書毀棄容疑、証拠隠滅容疑の刑事告発を既に受理している。今回、財務省が森友文書の改ざんを認めたことで、公文書偽造等の罪のうち、有印公文書偽造罪にあたる可能性が極めて濃厚になってきた。林氏は「特捜部は徹底的に捜査を進めるべきです。さもなければ、特捜部の存在意義がない」と強調する。

 公文書偽造等の罪は最高で懲役10年の重大犯罪。それが、安倍晋三首相や昭恵夫人をかばうために行われていたとすれば、民主主義国家として、末期的な状況だ。麻生太郎財務大臣のみならず、安倍首相の責任も免れないのだ。

(了)