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立憲民主党、「野党第一党」迫る大躍進の理由は?

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
19日、JR秋葉原駅前で演説する枝野・立憲民主党代表。筆者撮影。

 報道各社の世論調査でも、野党第一党に躍り出ようとしているなど、勢いに乗る立憲民主党。同党が、今月19日に秋葉原で行った街頭演説には、冷たい雨の中、約3000人(同党発表)の聴衆が集まった。代表の枝野氏が、「人々が政治離れしていると言われてますが、違うんです。政治が人々から離れてしまったんです。だから、まっとうな政治が必要です」と訴えると、聴衆から「枝野!枝野!枝野!」と枝野コールが沸き上がる。なぜ、立憲民主党に支持が集まっているのか。支持するという人々に意見を聞いてみた。

〇立憲民主党を評価する人々の声

 宮崎県在住の40代シングルマザーの女性は改憲の動きに危機感を抱いていたという。「憲法を改悪されようとしているのに、国民が当事者意識が低すぎて他人事のようだ。じわじわと憲法自体の存在が変えられようとしている(中略)最初からこの国は立憲主義も民主主義もなかったのか?と改めて感じ、悲しい思いだった(中略)しかし、子ども達を戦場に送るわけにはいかない。希望の党までできてしまって、もうダメだあと諦めていたところに、枝野さんが立ってくれた!本当に嬉しかった。ネットの演説を聞いて涙が出た。やっと票を入れたい応援したい党ができたと感じている」。枝野代表ほか、立憲民主党の候補の演説等で心に残った言葉は「生活に困っている人たちから、暮らしから、それを下押さえして押し上げることで、社会全体を押し上げていきましょう」「主役はあなた!」だとのこと。

 NPO職員の40代の男性は、「いまの枝野さん、議論に関して良い議論ができているだけでなく、政治への誇りと人への愛が燃えているのじゃないでしょうか」と言う。「平成日本では久しく新自由主義転じて日本的な『勝ち組・負け組』発想が幅をきかせていて、政治と情熱や愛は無縁のものになっていたけれど、人々は能力だけでなく人間的な愛を持った政治家を待っていたのではないでしょうか、自分自身でも気づかないまま」(同)。

 30代の運送業の男性は「とにかく安倍政権にピリオドを打ってほしいと思います」と訴える。立憲民主党を支持する理由としては、「共産党は好きだけど、議席が今回少なくなりそうなためです。若い代ほど貧困多くて、ブラック企業を廃止して欲しいです」とのこと。

立憲民主党の街頭演説に集まった人々 筆者撮影
立憲民主党の街頭演説に集まった人々 筆者撮影

 70代の年金生活者の男性は、立憲民主党に期待する理由として「立憲主義、民主主義を解りやすい言葉で、やさしく繰り返す姿勢を信頼します」と語る。「対立軸が今は左右では無く、保守革新でもなく上下だということにも共感します。個の三点が、今までセットになったことはなかったのでは無いでしょうか」「枝野氏は成長したように見えます。ぶれない立憲主義・民主主義・草の根政治であって欲しい」(同)。

 30代の会社員の男性は、立憲民主党に期待する理由として、「えこひいきの政治をまっとうなものに変えてくれそうだから」と語る。枝野代表ほか、立憲民主党の候補の演説等で心に残った言葉は「お互い様の助け合い」だと言う。

 都内在住の60代の女性は、「立憲を党名に掲げたことに期待します。日本国憲法の9条を守って欲しい」と言う。また「枝野さんは原発事故の際、官房長官として日々真摯に記者会見に臨んでいた姿が心に残っています」と、福島第一原発事故への対応も評価しているとのことだった*。

*福島第一原発事故での会見で官房長官として枝野氏がくり返した「(放出された放射能について)ただちに健康に影響は出ない」という発言には、現在も脱原発派の市民などから批判が根強くある。この発言については枝野氏は2012年の国会原発事故調で「より細かく詳しく一個一個分類をして申し上げるべきだった。情報を政府として十分に集約できなかった」と反省の弁を述べている。

 「野党共闘を期待していた」という女性は「自国の問題・国民の事より自分の政治生命に重きを置いたせいで、こんなに大事な時に分裂」と希望の党との合流を決めた民進党の方針に疑問を呈す。「でも、これで本当の志組と言っていいのか分からないが、残った者が立憲の様な気がし、これから志がぶれないで大きくしていって欲しいと言う気持ちと、今だ自民を押している国民に、間違いだったと思わせる様な素晴らしい政党になって欲しいという期待」(同)。

 「安倍一強政治になって憲法改正の是非は別として解釈変更を閣議決定するなど民主主義プロセスを無視した運営にうんざりしていた」という男性は「枝野さんは理路整然としている」と評価する。「安倍一強の主犯である民進党から出てきた人だが一般国民に近い目線で草の根の人であると共に最近日本から失われつつある知性を感じる。そして心のそこから嘘を感じられない情熱のこもったスピーチ力がある。既存政治家への絶望の中の最後の希望と感じる」(同)。

〇中道・リベラルの受け皿に

演説する枝野氏。 筆者撮影。
演説する枝野氏。 筆者撮影。

 今回、筆者の取材に応じてくれた人々の意見や街頭演説での聴衆の反応から観ると、

  • 安倍政権の下での改憲への不安
  • 森友・加計問題に観られる安倍首相の傲慢さへの反発
  • 政治理念を曲げなかった枝野氏ら立憲民主党に集った候補の志
  • 庶民に近い草の根の距離感
  • 貧困や格差、ブラック企業対策への期待
  • 前向きで情熱的なスピーチ

 等が、立憲民主党が支持を集めている要因であるようだ。安倍一強に加え、民進党の衆議院議員候補らが保守・右派色の強い希望の党に吸収された中で、中道・リベラルの受け皿が求められていたことの証左だとも言えるだろう。

(了)

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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