【都知事選】舛添氏の「政治とカネ」なぜ追求しない?―ネット上に広がるメディア不信、怪文書も

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「舛添氏の政党助成金問題について報道するな」―そんな「マスコミの内部文書」とされる怪文書(画像)がネット上に出回っている。その真贋は不明だが、おそらく偽物だろう。というのも、舛添要一氏の政党助成金不正疑惑をしんぶん赤旗が報じたのは、先月21日付け。だが、「内部文書」では、赤旗の報道が告示後の23日、と間違えているのである。マスコミ関係者ならば、最低限の裏取りはするもの。上記の様な初歩的な間違いをわざわざ文書にするとは、考えづらい。ただ、この「内部文書」の真贋はさしたる問題ではない。現に、マスコミによる赤旗報道のフォロー取材や、舛添氏への追及が行われていないことが、より大きな問題であろう。

赤旗が報じた「舛添氏の政党助成金問題」とは、舛添氏が新党改革を結成した際に銀行から借りた2億5000万円の返却に、政党助成金や立法事務費を流用したのではないか、というもの(該当記事)。新党改革の政治資金収支報告書(2010~12年分)を分析、政党助成金と立法事務費を除いた同党の純利益が2011年が約2570万円、2012年が1500万円ほどにすぎないことから、「(政党助成金と立法事務費を除いた純利益のみで)3年間で2億5000万円の借金を返済するのは不可能」としている。決定的な証拠とは言えないものの、確かに不可解なことではある。

政党助成金や立法事務費を借金の返済にあてることは違法である。決定的な証拠がなく、新党改革側が「政治資金規正法に違反のないよう適切に対応しております」とコメントしているとはいえ、舛添氏には「政治団体事務所」とした自宅の家賃に、政党助成金や立法事務費に3年間で1500万円を使った疑惑もある(関連情報)。これらの原資は税金だ。

前都知事の猪瀬氏辞任が「政治とカネ」によるものだっただけに、今回の都知事選各候補の「クリーンさ」は、重要な争点であるはずだ。猪瀬前知事にあれだけ集中砲火を浴びせたマスコミ各社が、舛添氏には本件について質問すらしないというのは、やはり納得がいかない。そもそも今回の都知事選では「脱原発」以外に争点らしい争点がなく、その「脱原発」すら、具体的にどのように進めるかについて各候補へ迫ることも、ほとんどのマスコミ各社はしていない。その一方で、世論調査として「舛添氏が優勢」である、ということを繰り返し報じるのは、報道姿勢として、果たして「公平」なのか。ネット上に真贋不明な「怪文書」が拡散していくのも、マスコミ報道に対する不信感の表れ、ということなのだろう。

パレスチナやイラクなどの紛争地での現地取材、脱原発・自然エネルギー取材の他、米軍基地問題や貧困・格差etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに寄稿、テレビ局に映像を提供。著書に『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共編著に『原発依存国家』(扶桑社新書)、『イラク戦争を検証するための20の論点』(合同ブックレット)など。イラク戦争の検証を求めるネットワークの事務局長。

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