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マスコミ女性怒りの座談会(後) 「イヌみたいに二人も三人も産まれたら困る」と言われました!

白河桃子相模女子大特任教授、昭和女子大客員教授、少子化ジャーナリスト
(写真:アフロ)

このたび、新書『御社の働き方改革、ここが間違ってます! 残業削減で伸びるすごい会社』(]PHP研究所)を発刊しました。(7月発売で品切れになっていたのですが、9月1日にやっと重版が到着しました。)

新刊の中では、「大手マスコミは働き方を変えられるか? 記者たちの覆面座談会」と題して、大手テレビ局、新聞社で子育てをしながら働く女性記者による座談会を実施しました。その内容を、3回に分けてご紹介します。

今回で最終回です。(第1回目第2回目はこちらから)

今回は最終回ですが、「子宮とれ」「子ども産んだら終わり」「イヌみたいに二人も三人も産まれたら困る」など、現場での「マタハラ」「セクハラ」のオンパレードにちょっと「いつの時代ですか?」と驚いてしまいます。そして「無理しているのってワーママだけじゃなくて、それを管理しなきゃいけない'''管理職も、二十四時間がんばるマンの若手も、みんなすごく無理をしている。」という現場の悲鳴も聞こえます。

このままでは人材が来なくなるというリスクはすでに発生しており、先日地方新聞の経営者が一堂に集まる会議で、経営者の嘆きをたっぷりと聞いたばかり。彼らも危機感は感じている。しかし働き方を変えられないと思っているから『思考停止」に陥ってしまう。

私はその場で「あのー、紙の新聞って毎日でないといけないのでしょうか?」と物議を醸し出す発言をしましたが、それをきっかけに意見も活発になりました。

彼らの思考停止は『昭和のビジネスモデル」だからこそ起きるもの。現に明治時代は「新聞は2日に一回」だったときもあったと、某新聞社の社長が教えてくれました。

最近も「議員が出産で休むのか?」という報道が出たり、また「子育て中の議員が子どもを公用車で保育園に送ったこと」が批判されたり、ちょっと的外れな報道が続いています。やはりこの「ズレ」はダイバーシティのない働き方だから起きることです。

民放連でも働き方改革の講演をしましたが、子育て中の女性記者は、次世代は「Youtube >テレビ」とわかっている。子どもたちを見ているから。しかしテレビ局の上層部にこのリアルな実感はあるのだろうかと思います。

ダイバーシティ&インクルージョンがない場所では、イノベーションもおきないし、さらに「時代の最先端であるはずのマスコミが世間とずれていく」とう恐ろしい問題が起きる。広告を作る現場や代理店なども同じような空気がありますから、昨今の「これぐらいはいいだろう」と出すCMガ炎上するのも、まさにその「ズレ」が産むものでしょう。

==(以下、『御社の働き方改革、ここが間違ってます! 残業削減で伸びるすごい会社』より抜粋)

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【記者なんだから、イヌみたいに二人も三人も産まれたら困る】

山口 会社も女性活躍を進めていくために女性をデスクにしたいんですよ。だけど、現場の女性からしたら、そういう働き方のままでデスクになりたくないよね。

青木 そう。できないですよ。私は偉くなるための、その登竜門はくぐれない。これだけ技術が進化しているんだから、編集作業やデスク作業を家でやれるようにしてくださいと言っても聞き入れてもらえない。

小関 男性のガバナンスを脅かすものはダメなんですよ。

白河 そんなことをやっていると、メディアに人材が来なくなると思うんですけどね。現に新聞社の幹部の会で講演をしたら「人材が来ない」というのが悩みでした。本音を言えば、女性の方が優秀だけれど、下駄を履かせて男性を採っていると。業界の中でどこが一番いいかという選択になったら、ワークライフバランスや働き方改革をしているところに殺到しちゃうんじゃないかな。

山口 だから、「今がチャンスですよ」と上の人に言っているんだけど、響かない。

青木 '''応募者の半数以上が女性になっているんだから、デスクの仕事の仕方を変えないでどうするつもりなのかな。

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白河 「仕事が好きな女は子どもを産まない」くらいに思っていますよね。

山口 「'''記者なんだから、イヌみたいに二人も三人も産まれたら困るよな」と言った人もいる。

'''

白河 それはひどくないですか。今まで聞いた一番ひどい台詞は?

小関 私じゃないですけど、二人目の産休に入る女性が、'''「次は、腹の中、空っぽにして帰ってこいよ」って言われましたから。

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佐藤 うちは、ある部署で妊娠が続いたときに「同時多発テロ」って言っていました。「同時多発テロを何とか乗り切りました」って。女性が妊娠することは一過性のものだと思っている。今はラッシュだけど、そのうちに収まるよって。

小関 テレビ局の制作部門は、若い女の子が行っても、いじめ抜かれているようなところがあります。「子宮を取れ」と言われたりね。悪気はないんだろうけど、「子ども産んだら終わりですよね」と言われたりとか。

佐藤 家族観は変革期にありますけど、私たちより若い年代の男性でも、家事育児を率先して実行しているのは一割弱じゃないでしょうか。理解は示すけど実行に移せない人が一、二割。あとの大半は「奥さんが働きたいなら、どうぞ。でも、僕は仕事はセーブしません」という感じです。

【大手マスコミから社員が大量に逃げ出す日】

山口 私たちより若い人は結婚したらどんどん辞めていくんじゃないですか。

白河 大量退職する時代が来るかもしれませんね。今はネットなど、働きやすいメディアに女性記者が流出しています。

青木 無理しているのってワーママだけじゃなくて、それを管理しなきゃいけない'''管理職も、二十四時間がんばるマンの若手も、みんなすごく無理をしている。

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佐藤 上が何も考えていないから、そのしわ寄せが現場のがんばるマンに行っちゃう。その不平不満の解消を当事者間でやっている。トラブルになったとき、時短を取っている人を動かして解決、みたいなのもあります。

山口 うちは今、人を減らされているので、本当に人がいなくてみんなが無理している。だから、「働き方改革」は響くんじゃないかと思う。

小関 個人個人には響いていると思うんですよ。

山口 響いている人が増えれば、少しずつ、変わるんじゃないかと思います。

青木  「女性三割」とはよく言ったもんで、女性が三割いるかいないかで全然違う。うちの部は、女性が多いから「すみません。お先に失礼します」って定時に帰るのは何の遠慮もいらない。「今日子どもが熱を出したんで、直帰します」って言える。だけど、他の部に行くと言えないんですよ。男だらけの職場に行った途端に口に出して言えなくなってしまう。

山口 幹部職候補の、たとえば政治部の人たちが「五時に帰ります」とか、「子どもが熱を出したので休みます」とやらないと、変わらないね。

小関 海外メディアは女性記者が多く日本のメディアとはあり方が全然違うと聞きます。一社じゃできないけど、メディアが一斉に変えたら少しはましになると思うんですけど。

青木 でも、残念ながら、「多様性がイノベーションを生む」という思考回路まで持ち合わせている人がいないですよね。せいぜい「多様性は認めるべき」くらいの認識にとどまっている。でも報道して世間に訴えることで業界も変わるのではと思っています。

白河 そうですよ。メディアに待機児童のことがもっと大々的に取り上げられていれば、今頃、待機児童問題はすでに解決していたかもしれない。大変だと思いますけど、がんばってくださいね。

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相模女子大特任教授、昭和女子大客員教授、少子化ジャーナリスト

東京生まれ、慶応義塾大学。中央大学ビジネススクール MBA、少子化、働き方改革、ジェンダー、アンコンシャスバイアス、女性活躍、ダイバーシティ、働き方改革などがテーマ。山田昌弘中央大学教授とともに19万部超のヒットとなった著書「婚活時代」で婚活ブームを起こす。内閣府「男女共同参画重点方針調査会」内閣官房「第二次地方創生戦略策定」総務省「テレワーク普及展開方策検討会」内閣官房「働き方改革実現会議」など委員を歴任。著書に「ハラスメントの境界線 セクハラ・パワハラに戸惑う男たち」「御社の働き方改革、ここが間違ってます!」「『逃げ恥』にみる結婚の経済学」「女子と就活」「産むと働くの教科書」など多数。

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