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SNS『mstdn.jp』、誹謗中傷への対応の事務負担増に耐えられないと判断して6月30日で閉鎖へ

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
閉鎖を伝えるmsdtn.jpのトゥート。筆者キャプチャ

 連合型SNS『マストドン』において日本2位のインスタンス(サーバー)となる『msdtn.jp』と、同3位の『mastodon.cloud』のサービス終了が発表されました。

 両インスタンスを運営する合同会社分散型ソーシャルネットワーク機構は、2020年6月30日をもってサービス提供を終了するとのこと。

 閉鎖理由には、インターネット上の誹謗中傷に対して今後、訴訟や開示請求がより一般的となることや、政府機関からの対応強化の指示や法制強化などが実施される可能性が予想されることから、事務負担増に耐えきれないと判断したことが挙げられています。

中傷投稿者の個人情報開示の見直しを検討中

 インターネット上に誹謗中傷を投稿した人物の個人情報開示については、先月4月23日に「プロバイダ責任制限法」の見直しを検討する研究会(発信者情報開示の在り方に関する研究会)の第1回会合が開催されています。

 研究会では発信者情報開示の裁判を起こさなくても、メールアドレスやIPアドレスにくわえ、電話番号も開示させるといったことが検討されたとのことです。

表現の自由やプライバシーの保護と両立させながら、裁判を起こさなくても情報開示を受けられる仕組みや、投稿者を特定するために開示する情報の対象にメールアドレスやIPアドレスだけでなく電話番号を加えることなどを検討

出典:ネット中傷の投稿者の情報開示 総務省が見直し検討|NHKニュース

 『msdtn.jp』と『mastodon.cloud』は、今後、これらの発信者情報開示が増えるとみて閉鎖を決めたものと思われます。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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