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大阪市のスマホ・ゲーム利用規制報道は本当? 会見では「専門家を交えてのエビデンスの確認が必要」と回答

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
16日の定例会見で回答する松井市長。YouTubeより

 「香川県に続いて大阪市もか」と、ネットユーザーを騒がせている大阪市の松井市長による「スマホやゲームの利用を条例でルール化を」との産経新聞の報道ですが、会見を聞くかぎりでは異なるようです。

松井市長「専門家を交えてのエビデンスの確認が必要」

 会見の全内容は、大阪維新の会が『YouTube』にアップしている動画から確認できます。

 見る時間のある人は動画の18分39秒あたりから、時間のない人は以下の書き起こしをどうぞ。

産経新聞記者:あとちょっと最後にひとつなんですけど、昨日の教育総合会議でスマホとかゲームっていうのが、長時間の使用っていうのが不登校の原因のひとつになるという指摘をうけて、ルール化することも効果的だという話が出ていましたが、市長としては例えば条例化も視野に、何か検討したほうがいいんじゃないかっていうお考えはお持ちでしょうか?

松井市長:まずあの現場の校長先生から、スマホとスマホでのゲーム、これのやりすぎというか、長時間化が子供の引きこもりにつながっているという、そういう現場からの指摘、これを受けて何らかの対応はしなくてはならないと思ってますけど、まずはやっぱり、専門家も入れるなかでそのエビデンス、本当にそうなのかどうかの検証、これは必要だと思います。

香川県のゲームの時間規制も、2、3年かけて検証しながらやっているという、やっぱり行政でルール、条例というかたちで、そういうルールを規制するということになれば、事実確認、それから事態検証というものをやったうえで、根拠を持ってルール作りが必要だと思いますから、その検証のなかで明らかに子供たちが不登校につながる、原因の大きなひとつとなるのであれば、それは少しでもそういうマイナスを取り除いてあげるという、取り除くための手段を尽くすというのが、我々の使命だと思いますから、そういうかたち、そういう結果が検証されれば、子どもたちがまさに、不登校とかそういうことにならないような手段を考え、提案をしたいと思っております。

出典:2020年1月16日(木) 松井一郎大阪市長 定例会見

「明らかに子供たちが不登校につながる」エビデンスがあればの話

 産経新聞の報道では

大阪市の松井一郎市長は15日、スマホの使用時間を条例でルール化することも視野に、実効性ある対策を検討するよう市教委に指示した

松井氏は同日市役所で開かれた会議で、不登校の要因の一つがスマホやゲーム依存であるとの実態が紹介されたことを受け、「夜は何時までとか、条例でルール化したらどうか」との考えを示した。

出典:不登校…スマホ・ゲーム利用「条例、ルール化を」 大阪市の松井市長 - 産経ニュース

 と松井市長がすでに規制を始めるかのような内容でしたが、会見での回答を聞くかぎりでは松井市長は「現場からの声はあるけど、まずは専門家を交えてエビデンスを検証してから」と答えています。

 産経新聞の報道は「15日に開かれた教育総合会議」のなかでの話で、今回書き起こしたのは「16日の定例会見」のため報道内容が異なるのは仕方ないのかもしれませんが、最新の情報では大阪市はスマホやゲームの利用規制に対して慎重な姿勢だと言えそうです。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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