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フジテレビ、Wi-Fiの「5GHz帯」を第5世代移動通信システム「5G」と誤って放送

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
Wi-Fiの「5GHz帯」と第5世代移動通信システムの「5G」は別物

 フジテレビが1月9日の放送で、出演者がWi-Fiの5GHz帯を利用しているシーンを、誤って第5世代移動通信システムの「5G」を利用していると紹介していたことがわかりました。

出演者の勘違いをそのまま放送か

 問題の放送は1月9日21時から放送された『直撃!シンソウ坂上』の「芸能人移住SP!スケバン刑事女優Sハワイ&月9女優T沖縄」の回です。

 番組では女優の相楽晴子さんのハワイ島での移住生活を紹介。

 スタッフからの「通信手段はどうなっているのか?」との質問に対して、相楽さんは「電話の電波がここ届かないので、5G(ファイブジー)のケーブルがきています。それが一番お金かかってるかもしれない。うちの支払いのなかで」と回答。

 その後、回答に続けてルーターの写真の「WiFi 2.4G」と「WiFi 5GHz」と書かれた部分を見せながら、「日本でも今年から導入予定の5G。2時間の映画も3秒でダウンロードが可能という次世代の通信システム」との紹介が行われました。

 しかし、これはWi-Fiの5GHz帯を第5世代移動通信システムの「5G」と勘違いしてしまっています。

Wi-Fiの5Gは「5GHz(周波数帯)」

 Wi-Fiの5Gとは、5GHz帯、周波数帯のことです。

 Wi-Fiでは2.4GHz帯と5GHz帯の周波数帯が利用されており、5GHz帯は壁や天井といった障害物に弱いものの干渉するほかの電波が少ないため安定した通信を利用できます。

第5世代移動通信システムの5Gは「5th Generation」

 対して第5世代移動通信システムの5Gとは、「5th Generation」、名前のとおり第5世代のことです。

 つまりこの場合の「5G」は略称です。

 携帯電話で利用されている通信システム(移動通信システム)のため、相楽さんが話していたように「電話の電波が届かない」のであれば、5Gは利用できません。

 また、「ケーブルがきています」の回答から考えると、住宅用のケーブルインターネットが敷かれており、そのケーブルを通じてインターネットを利用しているのだと思われます。

 番組ではこの点について修正せず、出演者の語ったストーリーそのままに「5G」を取り上げていました。

フジテレビ「間違った紹介をしていました」

 この件について筆者がフジテレビに確認を取ったところ、「間違った紹介をしていました」と誤りであることを認める回答を得ました。

 また、訂正放送があるかどうかも訪ねましたが、こちらは「スタッフに指摘があったことを伝えます」に留まり、訂正された情報が視聴者に届くかどうかはいまのところわからない状況です。

 細かい話と思われるかもしれませんが、Wi-Fiの「5GHz帯」が使えてもそれは第5世代移動通信システムの「5G」ではありません。間違って覚えないようご注意ください。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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