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5億、11億…想像外の金額が躍る秋篠宮邸週刊誌報道と佳子さまの「決意」

篠田博之月刊『創』編集長
佳子さま(写真:アフロ)

 秋篠宮邸改修をめぐって5億、11億、50億といった、庶民にとっては想像外の金額が週刊誌の見出しに躍っている。

 例えば『女性自身』9月5日号「佳子さま『皇室脱出は2年封印』見返りは11億円豪邸独居」、『女性セブン』9月7日号「佳子さま『独居の乱』に隠された5億円追加工事」、さらに『週刊新潮』9月7日号「『佳子さま』が増額させた『宮廷改修50億円』が『悠仁さま』に悪影響」といった具合。

 見出しで金額を強調しているのは、そんな高額が使われているという印象を与えるためなのだろうが、要は、秋篠宮邸改修に巨額の費用が使われ、佳子さまの別居でさらに経費が増えているのではないかという追及だ。佳子さま別居問題とリンクしている点がひとつのポイントといえる。

宮内庁の概算要求説明で記者が食いさがる場面も

 8月30日、宮内庁は来年度の財務省への概算要求の概要を発表したが、9月5日発売の『女性自身』9月19日号によると、それを宮内記者会に説明した場は、いつになく緊張したという。実はこの夏、佳子さまが一人暮らしをしている旧御仮寓所(ごかぐうしょ。宮内庁分室)の改修工事が今秋から行われることや、「赤坂御用地東地区周辺整備工事」なるものが進められていることなどが上記の週刊誌で次々と報じられ、宮内記者会も関心を寄せて事前に宮内庁に照会するなどしていたらしい。

『女性自身』9月19日号(筆者撮影)
『女性自身』9月19日号(筆者撮影)

 その『女性自身』の記事で匿名の宮内庁関係者がこうコメントしている。

「宮内庁内部でも『秋篠宮家のために、どれだけの予算を費やすのか?』と、その金銭感覚を問題視する声が上がっています。

 もちろん国民の不満も高まっており、宮内記者会の各社が概算要求の具体的な内容に注視し、取材を進めていたのも、そういった背景があるためです。

 秋篠宮さまや紀子さまも、これまでにない記者たちの追及姿勢や、皇嗣家の権威の低下ぶりに慄然とされたことでしょう」

 8月30日当日の様子を記事中で皇室担当記者がこう証言している。

「30日当日は、皇室や宮内庁の会計などを担当している皇室経済主管、そして宮内庁秘書課の職員らが記者たちへ説明を行いました。

 そこで明かされたのは、“旧御仮寓所の改修費は2024年度概算要求では計上しない”ということでした。では今秋から実施される工事の費用はどこから捻出されるのかという疑問が生じます。

 さらなる説明を求めて食い下がった記者もいましたが、結局は不透明なままでした」

 記者たちが関心を持っていた旧御仮寓所改修費は「計上しない」という答えで終わってしまい、では何が話題になったかといえば、悠仁さまの「冠」についてだった。

悠仁さまの冠258万円をめぐる報道

 来年9月に18歳を迎え成人になる悠仁さまの成年式は高校を卒業する2025年春に行われる予定というが、そこで着用する冠が概算要求に入っていたという。その金額が257万8000円。一度だけ着用する冠にそんなにお金をかけるのかと思うが、一方で愛子さまが行事などで身に着けるティアラの制作費は計上されないことも説明されたため、新聞・テレビの報道は「悠仁さま、成年の冠に258万円 愛子さまティアラ計上せず!宮内庁概算要求」(時事通信)といったものになった。

 愛子さまは自身が成年になった時にはティアラを新たに作るのでなく、黒田清子さんに借りたそうで、それと対比されたことで、悠仁さまを含めた秋篠宮家の金銭感覚が批判の対象になったようだ。ここで一部を引用している『女性自身』9月19日号の記事の見出しは「紀子さま『金銭感覚に問題』猛追及に慄然」だ。

 週刊誌などは佳子さまとの関連に関心を持っていたのだが、宮内庁側の説明が悠仁さまの冠の話だったため、佳子さまというより秋篠宮家の「金銭感覚」を問題にすることになってしまったらしい。

 税金の使われ方を追及するのはマスコミの大事な役割だから、悠仁さまの冠の費用が問題とされること自体は悪くない。ただ、この記事では皇室解説者の山下晋司さんがこうコメントしている。

「女性皇族のティアラは、正装の行事等に出席する際に必要となる宝飾品です。いっぽう男性皇族の冠は、成年の証しとしてその皇族個人が天皇から賜るものですから、お下がりを使うわけにいきません。ティアラと冠はその意味合いが違いますので、そもそも比べるものではありません」

 冠の金額やティアラとの違いなど、そういう説明を聞けばそうなのかと思うが、そもそもの金額を聞いて、高いとか安いとか庶民が判断するのは難しいだろう。皇室はとにかく「特別な存在」だというのが前提になっているからだ。

『週刊新潮』9月14日号(筆者撮影)
『週刊新潮』9月14日号(筆者撮影)

「赤坂御用地東地区周辺整備工事」への注目

 概算要求の中身については9月7日発売の『週刊新潮』9月14日号も「宮内庁『概算要求』で露わに…膨張『秋篠宮家』」と題して詳しく伝えている。

「記者会への概要レクは30日の11時から庁内で行なわれましたが、上皇ご夫妻の医療体制強化のため侍医を一人増員するといった要求項目とともに、やはり秋篠宮家に関する予算が話題にのぼりました」

 その秋篠宮家関連予算ということであがったのが前述した悠仁さまの冠の話だ。そしてさらに、「これらとは別に秋篠宮家に関して説明がなされた予算項目があった」という。同記事はこう続く。

「まず、秋篠宮家をお支えする皇嗣職が使っている仮設の事務棟を解体する工事。こちらに4730万円が計上されていることと、もう一つは、佳子さまがお一人で暮らされている『分室』(旧御仮寓所)に関しては計上しない。この2点の説明がありました」

 その解体工事費4730万円が「施設整備費」の項に「赤坂御用地東地区周辺整備」という名目で計上されているという。

 もともと秋篠宮邸改修は、秋篠宮さまが「皇嗣」になって立場が変わったことに伴って職員の数が大幅に増員され、事務仕事を進めるためのスペース確保が必要になったためだ。

 それがなぜややこしい話になってきたかというと、改修が終わったはずの秋篠宮邸に佳子さまが家族と一緒に移らずに別居、独立することになったからだ。

 それについては以前、このヤフーニュースで一度書いたことがある。

《きっかけは秋篠宮家の世話をする後嗣職のトップである加地隆治・皇嗣職大夫の6月30日の会見での発言だった。秋篠宮一家が2023年3月に改修された秋篠宮邸に引っ越したのだが、佳子さまは仮住まい先に残り、事実上の別居となった。その話は既に報じられているのだが、今頃になって突然、正式に発表されたのだった。

 しかもその理由が「改修規模を縮減し経費を節減するとの基本方針に基づいて」(同日の宮内庁ホームページ)とされたことで、週刊誌が反発した。週刊誌は既に別居の理由を、佳子さまと秋篠宮夫妻との間に溝が生じているためなどと報じており、今回の発表をウソだと批判したのだった。》

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e339d4321bb90b5dfcb6c6867c47c16e1cea971d

週刊誌ほぼ全誌が報じた「佳子さま別居」騒動が示したものは何なのか

 佳子さまの別居について宮内庁がその理由を経費節減と発表したことに週刊誌が一斉に反発し、むしろ別居に伴って経費は増加したのではないかという追及が行われることになったのだった。それがこの記事冒頭で示した、金額入りの見出し記事だ。

「5億円の追加工事」と佳子さまの関係

 その中でも注目されたのは8月24日発売の前出『女性セブン』9月7日号「佳子さま『独居の乱』に隠された5億円追加工事」だ。要するに佳子さまが家族と離れて一人暮らしするという判断をしたことで5億円の追加工事が発生し、しかもそれが隠されているという指摘である。

『女性セブン』9月7日号(筆者撮影)
『女性セブン』9月7日号(筆者撮影)

 同記事が強調したのは「赤坂御用地東地区周辺整備工事」だ。記事中で宮内庁関係者がこうコメントしている。

「場所は秋篠宮邸のすぐ近くです。もともと駐車場だった場所に、御代がわりに伴って秋篠宮家の職員用の仮設事務所が造られました。今回は、その事務所をしっかりとした事務棟に建て直す工事などが行われますが、なぜ御代がわりから4年も経って工事が始まったのか、なぜ秋篠宮家関連の工事であることが明示されないのか、首を傾げる職員も少なくありません」

 この記事の見立ては、その工事の過程で佳子さまの「独立」問題が生じ、それに伴って費用が加算されたのではないかというものだ。

 そもそも佳子さまが暮らしている分室の改修工事自体が継続されている。7月中旬にテレビ東京が「分室の改修工事は今後も継続される予定」と報じて注目されたのだが、この『女性セブン』記事によると、2019年に完成したとされる分室の工事には9億8000万円が費やされたとされているのに、その後も追加工事がなされており、最終的には11億円近い金額に膨れ上がるのではという見方が示されている。

 そしてそこへさらに浮上したのが、前述した「赤坂御用地東地区周辺整備工事」で、この4月に請け負い契約が結ばれた入札金額は約4億7400万円にのぼるという。見出しの「佳子さま『独居の乱』に隠された5億円追加工事」にある「5億円」という数字はこれを示したものだ。

報道した週刊誌の見立ては…

 同誌の見立ては、佳子さまが分室にとどまるという話が浮上したために、職員の収納スペースが新たに必要になって、その整備のための工事が必要になったのではないかというものだ。

 さらにその工事が「秋篠宮家にまつわる工事」であることが伏せられていることにも、思惑が感じられると指摘した。記事中で匿名の皇室ジャーナリストがこうコメントしている。

「秋篠宮邸の大改修と分室の建設に合わせて40億円以上の費用がかかったことで、秋篠宮家には疑問の声が集まっていました。さらに5億円という多額の税金が、秋篠宮家の体制のために使われることで逆風を強めないための措置だったと思われても仕方ありません」

 ただし同誌の取材に対して宮内庁はこう回答したという。

「佳子内親王殿下が分室に引き続きお住まいになっておられることにより整備が必要になったものではありません」

 宮内庁としては約5億円の「赤坂御用地東地区周辺整備工事」と佳子さま「別居」の件とは別のことだという見解だ。

 週刊誌などが佳子さまの問題にこだわるのは、単に経費がかかるという話からだけではない。秋篠宮邸改修を機に、なぜ佳子さまが家族と別居することになったのか。2023年1月に週刊誌がそれを報じて以降、逆風の中でなぜ敢えて佳子さまはその意志を貫こうとするのか、ということだ。

話題になった月刊『文藝春秋』9月号

 その問題を掘り下げたとして話題になったのが8月10日発売の月刊『文藝春秋』9月号に掲載された「秋篠宮家 佳子さまからの警告」というレポートだ。

 記事中で秋篠宮家関係者がこうコメントしている。

「佳子さまが、独り暮らしを選択されたのは、ご結婚をして、皇室から出たいということを明確に意思表示されたことに他なりません。現在は具体的な縁談が進んでいるわけではないようですが、もはや皇室に残るつもりはないと。年頃だから独り暮らしくらい当たり前と軽く見てばかりはいられないのです。これは『親子仲が悪い』とか『費用がかかる』ことよりも、もっと深刻な問題を孕んでいるのです」

 佳子さまは姉の結婚を見ていて、自分が自由に生きていくためには外部の人間と結婚することで皇室から脱出しなければならないと考えているというのだ。記事は地の文でこう書いている。

「佳子さまの『独り暮らし』問題には、皇室の存在を揺るがしかねない、より重大な問題が潜んでいるのだ」

 佳子さまの別居は「ご結婚をして、皇室から出たいということを明確に意思表示されたこと」だというのだ。

 拙著『皇室タブー』で詳述しているが、美智子上皇后、雅子皇后、そして眞子さんと続いた週刊誌などによるバッシングは、いずれも「皇室の伝統」に重きを置く立場からのものだ。これは週刊誌が保守的だといった単純な話でなく、皇室報道の構造に根差した問題なのだが、長くなるのでここでは割愛する。

 タブーに縛られた皇室報道の特殊性をそれは示しているのだが、眞子さんの結婚報道にしても、小室さんの家柄への反発を含め、皇室保守派からのバッシングだったと言える。その流れから言えば、佳子さまの生き方も「皇室の存在を揺るがしかねない」もので否定の対象になる。

 そういう逆風の中で意志を貫こうとしている佳子さまの精神力はある意味ですごいものだが、この何年か続いている秋篠宮家バッシングは、眞子さんや佳子さまの自由への思いとともにそれを許している家族にも問題があるという考え方からであろう。

 その意味では「佳子さま問題」、今後も注目する必要があろう。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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