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愛子さま「お相手」報道は虚報?宮内庁広報室の警察人脈強化で皇室報道はどうなる?

篠田博之月刊『創』編集長
皇室報道はどうなる?(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

人事の内示に官庁街激震?

 4月から動き出した宮内庁の広報室新設が話題になっている。広報体制を強化しようという狙いによる措置だが、初代広報室長の人選が波紋を広げた。例えば『週刊新潮』4月6日号「『秋篠宮』熱望の新設『広報室長』に女性『外事警察エース』のなぜ」はこう書いていた。

「3月下旬、4月からの宮内庁人事の内示が下ると、官庁街には激震が走った。『宮内庁の初代広報室長に就くのが、知る人ぞ知る警察庁の女性キャリア官僚だと聞いて驚きましたね』と明かすのは、霞が関の事情に詳しい関係者だ」

 初代室長は藤原麻衣子氏。「警察庁警備局の外事情報部で経済安全保障室長を務めていた」人物だ。畑違いの宮内庁へという異例の人事だという。匿名の宮内庁関係者が「この人事には首を傾げてしまいます」とコメントしている。「広報よりもむしろ情報管理のプロであることは間違いないと思います。週刊誌を舞台にした皇室報道やSNS上で秋篠宮さまや眞子さんに異議を唱える投稿などに対して、今後は毅然とした対応をとる。いわば秋篠宮さまのご意向を受け、睨みを利かせるという姿勢を感じます」

『週刊女性』4月11日号は「4月から始動する『宮内庁広報室』のトップには“スパイハンター”が就任」と書いている。他の女性週刊誌でも新室長の人選に警戒するような記事が掲げられている。

警察官僚の強固なライン

 このところ皇室報道に力を入れている『週刊新潮』はさらに4月20日号に「『秋篠宮広報室』に課された『中国発フェイクニュース』摘発」という記事を掲げ、その中でこう指摘した。

「広報室は宮内庁総務課に属する。そのトップである総務課長・鈴木敏夫氏(51)は、昨年7月に警察庁から異動したばかり。警備局外事情報部国際テロリズム対策課長や、国際・サイバーセキュリチィ分野を担当する長官官房参事官を歴任。新任の広報室長と同じく外事公安畑を経験し、警備局の王道を歩み警視総監まで昇り詰めた宮内庁の西村泰彦長官(67)の後輩でもある」

『週刊新潮』4月20日号(筆者撮影)
『週刊新潮』4月20日号(筆者撮影)

 それを受けて匿名の宮内庁担当記者がこう解説している。

「長官以下、広報部門は警察官僚の強固なラインがきずかれたことで、情報管理のプロがSNSをはじめネット上の投稿などに対して、今後は毅然とした対応をとるメッセージだと受け取ることもできます」

 宮内庁の広報部門に警察官僚の強固なラインがきずかれたという指摘は、ネットなどでも専門家がしている。今後、週刊誌の皇室報道や、ネットにあふれる皇室に関する情報や書き込みに何らかの規制や管理強化の対応がなされる恐れは十分考えられるというのが大方の見方のようだ。

皇室報道をめぐる歪な構造

 今の皇室報道は、新聞・テレビなどは宮内庁の発表に依拠する以外の発信をほとんど行わず、その舞台裏については匿名の関係者の証言をもとにした週刊誌が報じるという構造になっている。宮内庁は伝統的に情報公開には消極的だし、それを補う役割を果たしている週刊誌報道は見出しの過激さを競いあうという雰囲気もあり、羊頭狗肉のタイトルも少なくない。こういう状況を何とかしようという思いは当然、広報室は持っているだろう。

 先の『週刊新潮』4月20日号と同じ日に発売された『週刊文春』4月20日号は「プリンセス3人の重大局面」という特集記事を掲げた。愛子さま、佳子さま、そして眞子さんの近況を追っているのだが、この間の皇室報道にも言及している。例えば以前取り上げた愛子さまの「お見合い」報道だ。

『週刊文春』4月20日号(筆者撮影)
『週刊文春』4月20日号(筆者撮影)

 最初に『週刊女性』3月7日号が「愛子さま旧宮家ご子息と御所で逢瀬」と題して、愛子さまの「お見合い」が密かに行われたと報じたのだが、これは曖昧な記事だったため、そこで立ち消えになるかと思いきや、その後『女性セブン』『週刊新潮』が後追い報道を展開。しかも、最初の曖昧な『週刊女性』記事よりかなり踏み込んだ内容を伝えたのだった。

 これについては下記記事に書いたのでごらんいただきたい。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20230312-00340819

週刊誌で相次ぐ愛子さま“お見合い”報道の背後で皇室をめぐり何が進行しているのか

愛子さま「お見合い」報道の真偽は?

 しかし『週刊文春』4月20日号によるとどうもこの報道はガセではないかという。記事中で宮内庁担当記者がこうコメントしている。「宮内庁幹部は一連の報道に呆れています。そもそも、最近も愛子さまが賀陽家の次男と御所で面会しているという“お見合い報道”自体が信じがたい」。同誌が宮内庁報道室に事実関係を尋ねたところ「そのような事実はありません」という否定回答がなされたという。

 また『サンデー毎日』5月7・14日号の連載コラム「社会学的皇室ウォッチング!」でも森暢平成城大学教授が「愛子さま『お相手』報道 スクープではなく臆測」と題して一連の愛子さま「お相手」報道を厳しく批判している。

『サンデー毎日』5月7・14日号(筆者撮影)
『サンデー毎日』5月7・14日号(筆者撮影)

 そもそも前出『週刊新潮』4月20日号も、週刊誌記事を受けてネットに流布されている幾つかの情報についてフェイクニュースだと指摘しているのだが、皇室をめぐっては怪情報の類が出回っているのは確かだ。

 今後、そうした状況に宮内庁広報室がどう対応していくのか。「警察官僚の強固なラインがきずかれた」という体制とともに、気になるところである。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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