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小室圭さん司法試験合格後のメディアとの攻防―テレビ局の動きに賛否両論

篠田博之月刊『創』編集長
(写真:REX/アフロ)

司法試験合格を機にテレビ局の動きが

 小室圭さんが3度目のニューヨークでの司法試験に合格したことで小室夫妻をめぐる報道は新たなステージに入ったといえるが、バッシング報道から続いたメディアとの攻防は今後どうなるのか。週刊誌報道については以前、下記の記事で書いた。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20221031-00321997

小室圭さん3度目の司法試験合格で週刊誌のバッシングはどうなる!?

 このところ話題になっているのはテレビとの関係だ。というのも、ニューヨークでの小室夫妻の映像については、現地のユーチューバーたちと日本の週刊誌がことあるごとに撮影して公開しているのだが、新聞・テレビなどのメディアも、そうしたプライバシー報道とは一線を画しつつも、何かの節目では取材できるような状況を作りたいと考えているらしい。

 特にテレビ局は、司法試験合格を機に、夫妻の正式コメントがほしいと申し入れを行ったようで、それが拒否されたことで、11月1日、直撃映像を一斉に放送した。それも各局がばらばらに直撃するとメディアスクラム(集団的過熱取材)になると判断して、代表取材を行い、同じ映像を複数の局が放送した。TBSと日本テレビの放送は下記だが、確かに同じ直撃映像だ。ゲリラ取材である直撃を各局示し合わせて代表取材で行うというのも考えてみれば奇妙なことだ。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/192354?display=1&mwplay=1

11月1日付TBS NEWS DIG「小室圭さん 司法試験合格後初めてメディアの前に 問いかけ一切答えず」

https://news.ntv.co.jp/category/international/89af0f9275ae4585831c249643423fb6

11月1日、日テレNEWS「小室圭さん 司法試験合格後初めてメディアの前に 問いかけ一切答えず」

眞子さんの誕生日にもクルーが自宅に

 興味深いのはこうした報道に対して、その映像を見た人たちがどんな反応を示したかだが、その話に入る前に、この間の小室夫妻をめぐるテレビの動きについて整理してみよう。

『週刊文春』11月10日号(筆者撮影)
『週刊文春』11月10日号(筆者撮影)

 それを大きく取り上げたのは『週刊文春』11月10日号「『協定破棄だ』小室圭さんvs.TV局」だ。「協定」とは何かといえば、1年前に小室夫妻がニューヨークに移り住んだ時に、日本のテレビ局などと総領事の間で話し合いがなされたという経緯があった。そして何かの節目の時には正式な取材を行うことと引き換えに、夫妻のプライバシー報道は自粛するということで双方のおおまかな合意がなされたというのだ。『週刊文春』はそれを「報道協定」と表現しているのだが、実際には「協定」と呼べるほど明確なものではなく、双方の考えを互いに確認したといったものなのだろう。

 同記事によると、現実に7月の司法試験終了後、メディア側は総領事に、圭さんないし夫妻の合格した時のコメント取材を申し入れたという。ところがその結果、伝えられた二人の答えは「取材に応じるつもりはない」というものだったという。もともとテレビ局などは、夫妻へのプライバシー取材を自粛しているのに、その間隙をぬって地元ユーチューバーや、週刊誌がたびたび夫妻の隠し撮り映像を流しており、自分たちの配慮が無意味になっているという思いを持っていたようだ。

 そして合格発表後、同誌の見出しにあるように「『協定破棄だ』小室圭さんvs.TV局」という状況に至ったらしい。記事にはこう書かれている。

《十月二十一日、日本で圭さんの司法試験合格が報じられると、日本のテレビ局が圭さんの自宅マンションに集結したのだ。

「二十一日から数日間は、TBSやフジテレビ、テレビ朝日といった民放だけでなく、NHKが待機していたこともありました」(地元ライター)

 十月二十三日は眞子さんの誕生日だった。この日も朝から複数の民放のクルーが二人を待ち構えた。しかし結局、成果はなく、午後十時までには撤収したという。》

 この記事は、その後の取材で、実はその10時頃になって、報道陣がいなくなったのを見計らってか、夫妻がマンションを出て近くのワインショップに姿を見せ、誕生日祝いのためと思われるシャンパンと白ワインを買っていったと報じている。

「直撃」の代表取材という奇妙な報道

 さてその後、テレビ局はあきらめなかったようで、少なくとも10月31日、11月1日と、路上で小室圭さんに直撃を行い、その映像を放送した。放送では「小室さんがメディアの前に現れました」という奇妙な紹介になっていたが、当然ながら圭さんは直撃取材に応じず、無言を貫いたのだった。

『サンデー毎日』11月20日・27日号(筆者撮影)
『サンデー毎日』11月20日・27日号(筆者撮影)

 『サンデー毎日』11月20日・27日号の連載コラム「社会学的皇室ウォッチング!」で森暢平・成城大教授がその経緯について書いている。

「今回は各テレビ局が協定し、10月21日の合格後、各社交代で小室さんが勤務する事務所付近で張り込みを続けた。ようやく2日連続で、姿を捉えたという事情のようだ。各社の素材が同じなのはこのためだ」

 このコラムはネットにも公開されているから興味ある人は下記にアクセスしてほしい。

https://news.yahoo.co.jp/articles/048b8e0e1fac996e53289fde87189d4379d1326c

メディア批判を加速させる小室さんへの直撃取材 社会学的皇室ウォッチング!/53=成城大教授・森暢平

 このコラムで森さんが指摘したかったのはその後段で、こう指摘している。

《迂闊だったのはテレビ朝日の「大下容子ワイド!スクランブル」であった。映像を流したあと、コメンテーターの吉永みち子さんが「日本のメディアに対しては、よっぽど腹に据えかねているところがあるのか『ガン無視』でしたよね。一言ぐらい、ちょっとあっても嬉しかったなと思うんですけど」と辛口コメントを加えた。》

《現場の記者たちは「絵を撮る」、あるいは取材相手に声をかけて、その反応を視聴者に見せるというテレビのルーティンに没頭するあまり、何のための取材なのか、忘れていないか。

 そうした疑問を私は、ツイッターでつぶやいてみた。それも、「朝出勤する際、無遠慮にカメラを向けるメディアの暴力に『ガン無視』で何が悪いのでしょうか」と若干強めに書いた。驚くことにそのツイートは3日間で259万の閲覧があり、1万9400の「いいね」をかせいだ。829件のコメントの多くは、私人である小室さんをしつこく取材するメディアへの批判であった。むろん、いつものような小室バッシングの書き込みもあったが、絶対数は少なかった。》

 そして結論としてこう書いている。

《社会の風向きは、「小室さん夫妻を放っておいてあげよう」という雰囲気に変わっている。》

司法試験合格後、空気はどのくらい変わったのか

 確かに司法試験合格後、小室圭さんをめぐる論調には変化が見られた。一時期のバッシング一色の頃には、市民の間でもそうした報道を見て圭さんを非難する人が少なくなかったのだが、風向きは明らかに変わったように見える。メディアの直撃をいっさい無視して、結果を出せば世の中の見方は変わるはずだと信念を持ってきたと思われる小室夫妻の意思はある程度現実化したと言ってよいだろう。

 ただそれが果たして世の中の空気全体なのか、あるいは評価がバッシング一色から半々という状況に変わったということなのか、そのあたりはなかなかわからない。

 例えば『フライデーデジタル』11月5日付は「小室圭さん『また報道陣をガン無視』で眞子さんと皇室に及ぼす影響」と題して、ワイドショー関係者のこんな声を紹介している。

「とはいっても今回の直撃も迷惑にならないよう、各局で協力して代表カメラと記者だけで取材にあたり、映像を分け合ったんです。各局の映像が同じだったのはそういう理由からです。マスコミ嫌いをあからさまに態度に出していますが、眞子さんのイメージまでもが悪くならないか心配です。

 元皇族とはいえ、天皇家と親戚であることには変わりない。会釈したり、一言“ありがとうございます”といえばすべて丸く収まっていたはずが、“大人げない態度”と思われても仕方ないのでは。どんなときでも国民に寄り添ってこられた皇族の品位を汚すことにならないかと心配です」

 小室圭さんが何をやっても「皇族の品位を汚すことにならないか」と批判するのはこの間の週刊誌のパターンなのだが、市民の多くの受け止め方はどうなのか。

 それは恐らく小室夫妻のイメージに変化が生じた、この後の成り行きにかかっているのだろう。司法試験に合格した後、小室さんが具体的にどうなるのか、眞子さんも美術館勤務を求めているというがどうなるのか、さらには『週刊新潮』などが書いているように眞子さんの妊活が本当に始まっているのか。これから半年ほどの経緯に行方はかかっていると言えよう。その間は当面、圭さんのメディア拒否は続くのだろう。

 一方、秋篠宮家をめぐっては、11月末の秋篠宮さまの誕生日会見、さらには複数の週刊誌が観測気球をあげている佳子さまの結婚への動き(ほとんど根拠が示されていない報道なので信じるのは危険だが)が本当にあるのかどうかなど、報道はこの後も続きそうだ。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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