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三浦春馬さん三回忌7月18日を春友さんたちはどう過ごしたか、そして納骨をめぐる賛否は

篠田博之月刊『創』編集長
春馬さんが好きだった向日葵に囲まれた海扉アラジンさんの切り絵(筆者撮影)

 三浦春馬さんの三回忌が7月18日に訪れた。全国の春友さんたちは、いろいろな工夫を行い、“聖地”と言うべき土浦を訪れたり、様々な形で春馬さんを偲んだ。

〔追補〕この記事は最初、7月31日に公開し、多くの方が見てくれているが、8月1日に一部の写真を入れ替えたり、記事の中ほどにdekoさんとRikosaramamaさんの作品を追加したりした。特におふたりの作品は素晴らしいもので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思う。

dekoさんの鉛筆画が旧中江勝次郎邸の洋間に

 ここに掲げた写真は、クオリティの高い三浦春馬さんの鉛筆画で知られるdekoさんこと銀屋純子さんのものだ。彼女は7月18日に滋賀県の春友さんが企画したHARUTOUR「愛を届けよう!ありがとうツアー」に参加。何と『天外者』の撮影時に控室として使われた五個荘の旧中江勝次郎邸の洋間に、dekoさんの40点の鉛筆画が飾られたのだという。ご本人曰く、「洋間いっぱいの春馬さんを愛でて、本当に幸せな時間を過ごさせてもらいました」

dekoさんの鉛筆画を旧中江勝次郎邸の洋間に(銀屋さん提供)
dekoさんの鉛筆画を旧中江勝次郎邸の洋間に(銀屋さん提供)

「ほっこりカフェ」メモリアル動画「拝啓三浦春馬様」

 YouTube配信チャンネル「ほっこりカフェ」の堀内圭三さんが企画したのは、7月18日朝にメモリアル動画「拝啓三浦春馬様」を公開するというものだったが、本人の説明はこうだ。

《三回忌にあたる7月18日には、メモリアル動画「拝啓三浦春馬様」という、皆さんから送って頂いた春馬さんへのお手紙を、私が読み上げさせて頂く動画を撮ろうと思い、「ほっこりカフェ」の皆さんから送って下さった55通のお便りを持って、丹波篠山市の「マト桜」の下に行って読み上げさせて頂きました。》

堀内圭三さんが春友さんたちのメッセージを読み上げるメモリアル動画(堀内さん提供)
堀内圭三さんが春友さんたちのメッセージを読み上げるメモリアル動画(堀内さん提供)

前橋での「朗読&コンサート」及び「切り絵原画展」

 月刊『創』(つくる)が関わって、私自身も参加したのは、春馬さんについて連載している空羽ファティマさんや海扉アラジンさんたちが取り組んだ「三浦春馬創作ものがたり朗読&コンサート」及び「切り絵原画展」。前橋市のアメイジンググレイスで7月18日に開催され、全国の春友さんたちが集まった。ここに紹介したのはその当日の写真だ。空羽さん提供と書いた写真の撮影カメラマンはシンクロモード長谷川裕さんとShinobuさんだ。

本物のブルーマンのターバンを翻し踊る近野彩さん(空羽さん提供)
本物のブルーマンのターバンを翻し踊る近野彩さん(空羽さん提供)

切り絵展会場全景(空羽さん提供)
切り絵展会場全景(空羽さん提供)

切り絵展会場で参加者を迎えるローラの切り絵(空羽さん提供)
切り絵展会場で参加者を迎えるローラの切り絵(空羽さん提供)

朗読を行う空羽ファティマさん(空羽さん提供)
朗読を行う空羽ファティマさん(空羽さん提供)

Rikosaramamaさんとdekoさんの春馬さんイラスト

 会場に全国から春友さんが集まったことは前述したが、本業がお菓子屋さんの福岡の春友さんは、春馬さんクッキーを焼いてわざわざ福岡から持参し、当日参加した春友さん全員に配ってくれた。

 下に写真を掲げたのは愛知県の美蓮さん。ゲスト参加で会場で踊りを披露したのだが、途中から春馬さんの鉛筆画を掲げながら踊るという演出だった。

春友さんの美蓮さんもダンスを披露(空羽さん提供)
春友さんの美蓮さんもダンスを披露(空羽さん提供)

 その春馬さんの絵は彼女の友人であるRikosaramamaさんが描いたもので、『創』でも毎号紹介しているが、これが高いクオリティの素晴らしいもので、いつも驚かされる。美蓮さんが掲げて踊ったのは以前紹介した作品だが、その後、最新作のパステル画も送ってきたので、ここではそちらを紹介しよう。

美蓮さんの友人、Rikosaramamaさんのイラスト(本人提供)
美蓮さんの友人、Rikosaramamaさんのイラスト(本人提供)

 そのRikosaramamaさんとともに高いクオリティを誇るのが冒頭に紹介したdekoさんの鉛筆画で、こちらも素晴らしい。『創』でお二人の作品を毎号紹介するのが楽しみなのだが、ここでdekoさんの作品も紹介しておこう。顔に流れる水滴のリアルな感じなど、さすがと唸るばかりだ。

 ちなみにdekoさんこと銀屋さんは、全国の図書館に『日本製』を寄贈する「日本製届け隊」の活動をされている。最近は他の春友さんたちの協力も得ているというが、そんなふうに自分のアイデアで様々な活動を展開しているのが春友さんたちのグリーフワーク、喪失感からの回復をめざす活動だ。

dekoさんの鉛筆画。この記事の冒頭で紹介した旧中江勝次郎邸に陳列された作品のひとつ(本人提供)
dekoさんの鉛筆画。この記事の冒頭で紹介した旧中江勝次郎邸に陳列された作品のひとつ(本人提供)

築地本願寺への納骨が大きな話題に

 さて、その7月18日、春友さんたちの間で大きな話題になったのは、春馬さんの納骨が築地本願寺になされたとアミューズ公式ページが発表したことだ。春友さんたちがお参りする場を設けてほしいという以前からのファンの願いに、遺骨を保管していた春馬さんの母親が応えたものだ。同時に彼女のメッセージも公開された。

《いつも春馬のことを愛してくださりありがとうございます。

 あの日から二年という月日が経ちました。この間、多くのファンの皆様からの大きな愛を感じながら、春馬のそばで少しずつ前を向きながら過ごしてまいりました。

 今まで、皆様に気持ちをお寄せいただける場所をご用意できなかったことを心苦しく思っておりました。そして、三回忌となる7月18日を迎えるにあたり、事務所の方々にたくさん相談し、このたび築地本願寺に納骨させていただくことを決めました。これが皆様のことを何よりも大切に思っていた彼のために、今私ができることだと思っております。

 これからはこの場所が、春馬を愛してくださる皆様にとって温かな場になることを心から願っています。

 私自身、まだまだ不安定な気持ちの中で日々を過ごしております。ファンの皆様の、春馬を想ってくださるお気持ちに励まされながらも、一方で、彼や彼が大切にしてきた仲間たちや作品を傷つける声に大変悲しく思っております。

 心静かに故人を偲ぶことができるよう、重ねてのお願いにはなりますが、ご理解賜りますようお願い申し上げます。》

 ニュースを見てすぐに築地本願寺を訪れた春友さんも多かったようだ。この2年間、春馬さんを偲び、『天外者』『森の学校』などの映画上映を全国で実現することになった春友さんたちの思いは、ある意味「社会現象」と言えるほどの大きなものになっており、春馬さんの母親もそうした人たちの思いに何とか応えようと考えての納骨だった。

 ただ、築地本願寺では、花を手向けたり、春馬さんの遺影に手を合わせたりといったことができないようで、春友さんたちの間には、残念だという声も少なくない。『創』9月号(8月5日発売)にもそうした様々な投稿を掲載したが、例えばこういう具合だ。

築地本願寺納骨に様々な意見が

●その日は携帯も見ておらず、家に帰って初めて納骨されたことを知りました。お母様と事務所の方々が話し合って築地本願寺に納骨してくださったことが嬉しくって、春馬くんのことを想い祈る場所ができたことが奇跡のようにも思えました。ファンばかりでなく役者仲間、友人がいる都内に春馬くんがいることでいつでも逢いに行けるようになってお互いに寂しくないのでは!と思えます。

 これからも春馬くんと周りの役者仲間や友人とお母様の周りがあったかい愛であふれる世界になることを祈り続けていきたいと思っています。決断してくださったお母様!事務所の方々! ほんとにありがとうございました。

(いつまでも春馬くんのことが大好きな洋子)

●築地本願寺に納骨されたことを聞き、何故かホッとしました。しかし、聞いてすぐ、築地本願寺へ行かれたファンから本願寺の対応や実態を知り、とても複雑な気持ちになりました。 (茨城県 春ジェンヌ 30歳)

●築地本願寺。春馬くんが、私と同じ中央区民になったんだ。私はそこから1キロ程のエリアに住んでいる。でも、そんな近くに住んでいても、そんなに嬉しくない。私はそこには行かない。あそこは、有名人の葬儀場所としては、広くて立派。宗派も問わずに貸し出ししてくれるらしい。でも、やっぱり、緑豊かで、鳥のさえずりや、ゆったりとした、風の吹く場所に眠らせてあげたかったなぁ、と思った。

 東京のこんな狭い空の下では、仕事で頑張っている時と同じみたいで…辛くない? そして、息子に「春馬くんが築地本願寺に納骨されたんだって」と報告したら、息子がこう言った「良かったね、じゃあhideみたいに、写真とか飾られてるんだねっ、よかったね」って。

 hideさんの葬儀は築地本願寺だけれど、お墓は別の場所にあるようで、でも、築地本願寺に常設された彼の祭壇があるんだそう。でも、春馬くんのいる場所に行っても、お花も、供えられない…何だろ、このモヤモヤする気持ち…

(東京都 ちーちゃん 58歳)

 現状では春友さんたちに戸惑いもあるようだが、大勢の人が訪れるうちにそのあたりは変わってくると思う。多くの人が希望すれば築地本願寺サイドも、hideさんのケースのように、お参りする人たちのためにある程度の便宜が図られる可能性もないではない。とりあえず今は、春馬さんの母親が示したファンたちへの好意を受け止めて、次のステップはその後で考えればよいと思うのだが、どうだろうか。

「キンキーブーツ」第3回公演にも様々な反応

 モヤモヤした気持ちといえば、この秋公開のミュージカル「キンキーブーツ」についても同じだ。「キンキーブーツ」といえば春馬さんの代表的作品で、その思い出が別のキャストでの新たな公演で上書きされてしまうのはいやだという春友さんは少なくない。一方で、その気持ちはわかるが、それをも受け止めて第3回公演を応援するのが春馬さんの思いに応えることではないか、という意見も春友さんたちにある。

 いろいろな意見の表明はまだ続きそうだ。

渋谷駅に掲出された「キンキーブーツ」第3回公演の広告(筆者撮影)
渋谷駅に掲出された「キンキーブーツ」第3回公演の広告(筆者撮影)

 7月下旬、渋谷駅の一角に「キンキーブーツ」のポスターが掲出された。既にチケット予約が始まっているが、公演が近づくにつれて、いろいろな議論がさらに広がるのかもしれない。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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