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あの俳優・石田純一さんが16日、「憲法と表現の自由」について何を語るのか

篠田博之月刊『創』編集長
シンポの打ち合わせで石田さんとペンクラブの滝田さん(ペンクラブ撮影)

 アメリカだとアカデミー賞授賞式でトランプ大統領を批判したり、俳優が政治についてコメントするのはそう珍しくないようなのだが、日本ではそうもいかない。

 例外としては私も面識がある山本太郎さんがいて、原発事故をきっかけに、むしろ俳優から政治の世界に転身してしまったのだが、最初の頃の逆風は大変なものだった。原発反対などと言ったとたんに、もう芸能界から干されるからやめたほうがいいという力が相当かかったことは本人も当時語っていた。

 思い出すのは2011年9月に月刊『創』主催で「原発とメディア」というテーマで集会をやった時に、客席に来ていた山本さんが発言してくれたことだ。脱原発と言い始めたとたんに「収入が10分の1になりました」と、率直な発言に会場からは大きな声援と拍手が送られたのだが、その後、山本さんは国会議員になって、信念に基づく道を邁進することになった。

 さて、その後、思い起こすのは、集団的自衛権や改憲などについて、同じように自分の信念に基づく発言を強め、これまたいろいろな逆風にさらされた石田純一さんのことだ。一時、安倍政権の安保法制に反対する国会前の抗議行動に参加し、シールズなどとともに日比谷野音での反対集会にも登壇して発言していた。

 そして2016年、都知事選に出馬かという話になったのだが、周知のように大騒動になってしまい、結局は出馬せず、その後、政治的発言も控えているように見える。日本の芸能界で仕事をしている以上、やむをえない面はあるのだろう。

 その石田さんが明日10月16日の日本ペンクラブのシンポジウム「『憲法と表現の自由』の現在と未来」に登壇し発言する。実は石田さんは今年になって正式に日本ペンクラブに入会し、私が副委員長を務める言論表現委員会に籍を置いている。俳優で、ペンクラブの会員でもある人はほかにもいるが、石田さんは、表現の自由の大切さを日頃から感じており、シンポジウムなどでも機会があれば発言することを了承していた。その最初の機会が10月16日というわけだ。

 ペンクラブ加入後、初めて公の場で発言、しかもテーマが「憲法と表現の自由」だから、大いに注目されている。次の臨時国会から安倍政権が改憲へ向けて大きな舵取りを図ろうとしているまさにその時期に、石田さんのような影響力のある人が、どんな発言をするのか。

 ちなみにこのシンポには、あの菅官房長官を会見で激しく追及した東京新聞の望月衣塑子記者や、国会議員の有田芳生さんらも登壇する。残念ながら望月記者と石田さんが直接やりとりする場面はないのだが、上述した一連の経緯を経て、石田さんが何を語るのか、ぜひ注目してほしい。

 ペンクラブの会長でもある作家の吉岡忍さんらも登壇するシンポジウムは、会員以外の市民の方々ももちろん入場可能で、座席もまだあいている。確実に入場したい人はペンクラブのホームページから予約することをお勧めしたい。この機会に「憲法と表現の自由」についてぜひ多くの人と議論したいと思う。

 なお日本ペンクラブは9月に『憲法についていま私が考えること』という本を出版。シンポジウムはその記念の一環でもあり、本は会場でも販売する予定だ。

詳細及び予約は下記から

http://japanpen.or.jp/kenpou1/

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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