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秋篠宮家・眞子さま婚約相手の小室家バッシングの背後に何があるのか

篠田博之月刊『創』編集長
週刊誌で相次ぐ小室家バッシング報道(筆者撮影)

 嫌な感じが拭えない。秋篠宮家の眞子さまの結婚をめぐって、婚約者である小室圭さんの家庭をめぐるバッシングが週刊誌で相次いでいる。皇室タブーを打ち破る試みであれば賛同するところだが、どうも一連のバッシングはその逆であるように見えてならない。

 今回の一連の報道のきっかけは『週刊女性』12月26日号「眞子さま嫁ぎ先の“義母”が抱える400万円超“借金トラブル”」だった。「借金トラブル」とは、小室圭さんの母親に対して、彼女の元婚約者男性が、婚約解消を機に、それまでに渡したお金を返してほしいと言っているという話だ。男性は貸した金だというのだが、小室さん母子は借りたものではないと主張しているらしい。

 婚約していた時期には男性は小室母子と家族同然の関係で、彼は圭さんの留学費用などを出していたらしい。圭さんは小さい頃父親を亡くし、母子家庭で育ってきた。決して裕福ではなかったのだろう。

 

週刊女性は表紙にも大々的に
週刊女性は表紙にも大々的に

貧しい中で息子を育て、その子が成長して皇族を嫁に迎える。書き方によっては美談になるところだが、この間の週刊誌報道はほとんど、小室家が貧しいことをネガティブに伝えるものだ。しかも元婚約者から小室家にお金がいつ幾ら渡されたか詳細に公開している。『週刊女性』には銀行振り込みの明細まで掲載されていた。

 そして結納に当たる「納采の儀」が迫ってきたこの時期、『週刊文春』2月1日号「秋篠宮家眞子さま婚約者小室圭さんの憂い」、『週刊新潮』2月1日号「『海の王子』母親の430万円『援助交際』トラブル」と、同じ情報源によると思われる報道が続いている。

 気になるのは、そうした報道が、もっぱら小室家は眞子さまの嫁ぎ先としてふさわしいのか疑問を呈するという印象になっていることだ。『週刊新潮』には、皇族の配偶者の家族にも品位が必要だというコメントも掲載されている。

 しかも同誌の見出し「母親の430万円『援助交際』トラブル」には驚いてしまう。婚約していた時期に、その男性が母子のためにお金を出していたのを「援助交際」とは普通言わないだろう。相当な悪意が込められている。

 もちろん直接的には、婚約を解消した男性から情報を得ているため、情報源に引っ張られて圭さん母子に批判的になっているのだが、どうもそれだけではないような気もする。つまり、一連の報道には、皇室の尊厳を重んじる保守的な立場からの、この結婚に反対する意思が反映されているように思えてならないのだ。

それは今回の報道に限らず、小室圭さんの存在が明らかになってすぐの時点から、小室家が母子家庭で貧乏であることや、圭さんの父親の死が自殺だったらしいといったことが次々と報じられるに至っている。つまり小室家は皇族との結婚にふさわしいのか、という見方が一貫して見え隠れしているのだ。

 そうした流れに逆張りの報道を行ったのは『女性セブン』2月8日号「眞子さまの結婚 抵抗勢力の蠢き」だ。宮内庁周辺の一部に、結婚に反対する人たちがいて、その思惑が働いているという見方が指摘され、そうした皇室保守派の立場を「抵抗勢力」と呼んでいるのだ。

 そもそも皇太子一家が公務よりも家族を大事にしているといった批判を週刊誌が一貫して投げつけてきたのも、皇室の尊厳を叫ぶ人たちの意思が反映されていたと考えるべきだろう。もともと皇室報道についていえば、皇室スキャンダルふうの報道を行っても、皇室の尊厳を重んじる立場から現状に苦言を呈しているのだと言えば、ある程度許容されてしまう空気があった。週刊誌などの雅子妃や皇太子批判のスタンスは基本的にそれだ。

 一連の小室家バッシングはどう見ても、皇族を一段上に置く立場から小室家を批判しているものだ。皇室周辺のいずれかに、この結婚に反対している人がいるのだろう。

一部報道では既に結婚は延期になるのではと観測をあげているものもある。別に小室家や眞子さまに同情するのではないのだが、一連のバッシング報道にはどうも嫌な感じがつきまとって離れないのだ。この結婚、いったいどうなるのだろうか。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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