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元サッカー日本代表・天野純に「Kリーグ今季最高補強」の声も。現地でどう評価されているのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
天野純(写真提供=韓国プロサッカー連盟)

連日のように韓国のサッカー記者たちと出くわす日々の中で、かならずと言っていいほど名前が挙がるのが、今季からKリーグの蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)でプレーする天野純のことだ。

「Kリーグ今年最高の補強はアマノジュンですよ」

横浜F・マリノスでエースナンバーの背番号10を背負い、日本代表にも選出経験がある今年で31歳になるMFが、あえて韓国に飛び込み戦うことになった動機と背景については『Sports Graphic Number』(スポーツ グラフィック ナンバー)』で詳しく紹介したので本稿では触れないが、現地メディアの評価もかなり高いことをご存じだろうか。

「Kリーグ今年最高の補強はアマノジュンですよ。同じく今季からKリーグにやってきたブラジル人FWレオナルド(元浦和レッズ)も素晴らしい結果を残していますが、レオナルドの活躍もアマノあってこそです」

そう語ったのは韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』サッカー班のキム・ヨンイル記者だった。

昨年夏は来日して東京五輪も取材した経験豊富な記者で、これまで多くの日本人Kリーガーたちを見てきたそうだが、その中でも天野は「韓国初挑戦とは思えないほど、“適応”という言葉が感じられないほど、Kリーグの環境にフィットした」という。

数字にも表れている天野純の活躍ぶり

実際、結果は数字にも表れている。

リーグ戦の第15ラウンドが終わった時点(5月29日)で、天野は13試合出場6得点1アシストを記録。同じく今季から蔚山現代に加わったレオナルド(13試合7試合1アシスト)には及ばないが、マン・オブ・ザ・マッチ2回、週間ベストイレブン2回、2月の月間ベストゴールにも輝いている。

(参考記事:【動画】相手GK反応できず!天野純のフリーキックが「まさに芸術」「ハンパない」と韓国で話題沸騰)

キム記者は蔚山担当記者としてそれらの試合を見守ってきただけに天野への称賛を惜しまない。

「日本人選手らしく、天野は卓越したテクニックや正確無比なパス、鋭いキック力を持ち合わせている。オン・ザ・ボールの状況はもちろん、オフ・ザ・ボールの状況でも圧巻の存在感で、最前線に2列目、サイドとピッチを自由に行き来しながら、蔚山現代の攻撃をリードしている。身体のバランスにも優れ、Jリーグよりも比較的フィジカルコンタクトの激しいKリーグのDF相手にも賢く勝ち抜いている。現時点までのKリーグ1において、最も華々しい活躍を見せる選手と言っても過言ではないですよ」(キム・ヨンイル記者)

『Number』誌で語っていた韓国行きの背景と決意

文字通り韓国記者も手放しで大絶賛していたのだが、当の本人である天野は自身に寄せられる賞賛の声に、浮かれることも浸ることもない。最近も自身のツイッターアカウント(@Amano719)で「もっとできるはず」とつぶやいていた。

今年4月に、はるばる韓国に飛んで蔚山で直接会ってインタビューしたときもそうだった。

「結果だけ見れば悪くないスタートかなと思われますが、個人的にはプレーの内容には満足できていない。もっと圧倒できると思っていますし、自分はKリーグでは外国人選手として結果と内容の両方を問われていると思うので、もっとそういった部分を見せていかなければいけないと思っています」と淡々と語っていたほどだ。

日本では外国人選手のことを“助っ人”と呼び変えるが、韓国では「ヨンビョン(傭兵)」とも言う。それだけ求められる結果と見返りが多く、その期待に応え存在感を示さなければならない。天野はそれを強く自覚しているようでもあった。

それにシーズンはまだ序盤戦を終えたばかり。今季のKリーグは10月30日の最終ラウンドまで合計38節ある長丁場で、夏場を迎えるとハードな過密日程が続く。

蔚山現代はACLのグループリーグで敗退したため、リーグ戦に専念できるが、蔚山現代は万年2位に甘んじてきただけにもはや言い訳が許されない状況でもある。

厳しい夏場を乗り越えて蔚山現代に優勝をもたらしたとき、天野は正真正銘の「今季Kリーグ最高の新戦力にして最高のヨンビョン」と評価されるだろうし、日本人Kリーガーとして初めて年間ベストイレブンや年間MVPといった個人タイトルに輝けば、韓国だけではなく日本でも大きなスポットライトを浴びることだろう。

6月17日から再開されるKリーグ。天野の快進撃が続くことを期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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