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2002年サッカーW杯から20年で「あの人は今」。23名全員を追跡【韓国代表編】

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
左3番目からチェ・ジンチョル、イ・チョンス、イ・ヨンピョ。パク・チソン(写真:Action Images/アフロ)

今から20年前の本日5月31日から1か月、世界はアジア発のサッカー熱で大いに盛り上がった。FIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップ2020。日本と韓国で共同開催されたサッカー・ワールドカップだ。

サッカーのワールドカップがアジアで開催されるのは史上初であり、2か国による共同開催も史上初だった。そんな初物ずくめの大会で日本はベスト16、韓国はベスト4に進出。

韓国の選手たちは今でも 「四強(サーガン)戦士(チョンサ)」と呼ばれてレジェンド級の扱いを受けているが、彼らは今、どこで何をしているのだろうか。

Jリーグでプレーした韓国人選手のその後も気になるが、オールドファンたちは懐かしい「韓国サッカーあの人は今」を、当時の活躍と合わせて紹介したい。

(参考記事:今だからこそ知りたい!! 韓国人Jリーガー、あの人たちは“いま”)

■GK

#1 イ・ウンジェ

準々決勝スペイン戦ではPK戦でホアキンを止めるなど、正GKとして大活躍。現在はKリーグの全北現代(チョンプク・ヒョンデ)のGKコーチを務めている。

#12 キム・ビョンジ

大会直前までイ・ウンジェと正GKの座を争うも本番では出番なし。現在はKFA副会長の職にある。また、2002年ワールドカップ・メンバーたちで結成された社会福祉団体“チーム2002”の代表でもある。

#23チェ・ウンソン

第3のGKとしてベンチのムードメイカーだった。昨季までは中国リーグの上海申花のGKコーチだったが、現在はフリー。

■DF

#2 ヒョン・ヨンミン

最終メンバーに選ばれるも試合出場はなし。引退後、解説者などを務め、今季から蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)高校サッカー部の監督になった。

#4チェ・ジンチョル

3バックの一角を担ったDF。2006年ドイツ大会でも活躍。U-17韓国代表監督、浦項スティーラーズなどで監督を務めたあと、現在はフリー。

#7 キム・テヨン

鼻骨骨折で赤いマスクを着用した韓国のバットマン。引退後はプロや韓国代表でのコーチ生活を経て、現在はK3リーグの天安(チョナン)市庁サッカー部の監督。

#15 イ・ミンソン

2002年大会の活躍よりも1997年W杯アジア最終予選・日本戦での決勝ミドルのほうが有名。引退後は7つのクラブでコーチ生活を送ったあと、現在はKリーグ2の大田(テジョン)ハナシチズンの監督。

#20 ホン・ミョンボ

韓国代表のキャプテンを務め、大会ブロンズボール賞も受賞。韓国代表監督、KFA(韓国サッカー協会)専務理事を経て、現在はKリーグ蔚山現代の監督。

左からチェ・ソンヨン、ホン・ミョンボ、ファン・ソンホン
左からチェ・ソンヨン、ホン・ミョンボ、ファン・ソンホン写真:Action Images/アフロ

■MF

#3 チェ・ソンヨン

バックアップ・メンバーとしてチームを支えた。妻は日本のタレントだった阿部美穂子。現在はKリーグ水原三星(スウォン・サムソン)のコーチを務めている。

#5 キム・ナミル

中盤のハードワーカーとして活躍。大会中はタフな守備と歯に衣着せぬ発言で一躍、スターに。現在はKリーグの城南(ソンナム)FCの監督を務めている。

#6ユ・サンチョル

セントラルMFとして活躍。初戦ポーランド戦でゴールを決め、イタリア戦ではCBも務めるなど攻守に大活躍。引退後はKリーグの監督などを務めるも、2021年6月7日、膵癌のため死去。

ユ・サンチョル
ユ・サンチョル写真:アフロスポーツ

#10 イ・ヨンピョ

左サイドバックのレギュラーながら、ケガで出遅れ3戦目から主力に。引退後は主にテレビ解説者として活躍しつつ、昨年からKリーグの江原(カンウォン)FCのクラブ代表に就任。

#13イ・ウルヨン

労を惜しまないレフティとして地道に貢献。トルコ戦ではゴールも。引退後は解説者やタレントとして活動後、KリーグのFCソウルでコーチや監督代行を務め、昨季までは済州(チェジュ)ユナイテッドのコーチだった。

#17 ユン・ジョンファン

大会直前に最終メンバーに滑り込むも本大会出場はない。引退後は主にJリーグで監督として活躍し、現在はJ2リーグのジェフユナイテッド市原・千葉で監督を務めている。

#22 ソン・ジョングッ

大会中は不動の右サイドバックとして大活躍。3位決定戦のトルコ戦ではゴールも決めた。引退後は解説者などを務め、昨年はKリーグ2のFC安養(アニャン)のアドバイザーに。現在はサッカースクールを経営。

■FW

#8 チェ・テウク

大会時は22歳のスビードFWとしてスーパーサブ的役割を担った。引退後は指導者に転身し、現在は韓国代表コーチ。パウロ・ベント監督を補佐する。

#9ソル・ギヒョン

イタリア戦で起死回生の同点ゴールを決めた右FW。現在はKリーグ2の慶南(キョンナム)FCの監督を務めている。

パク・チソン
パク・チソン写真:ロイター/アフロ

#11 チェ・ヨンス

日本でもその名を轟かせた強気ストライカー。出場はアメリカ戦のみ。引退後はFCソウルなどで監督として活躍。現在はKリーグ1の江原FCの監督。

#14 イ・チョンス

スーパーサブとして重宝され、ドイツ戦では先発したスピードアタッカー。引退後はタレント、解説者、ユーチューバーとして活躍する一方、仁川(インチョン)ユナイテッドの強化部長も務めた。

#16 チャ・ドゥリ

猪突猛進型のミサイルFWとして存在感を放ったスーパーサブ。引退後は韓国代表コーチ、オサン高校監督を経て、現在はFCソウルのユース・ディレクター。

#18ファン・ソンホン

ポーランド戦の先制ゴールでチームに弾みをつけた大黒柱。引退後は釜山アイパーク、浦項スティーラーズ、FCソウルなどの監督を経て、現在はU-23韓国代表監督。

#19 アン・ジョンファン

アメリカ戦での同点ゴール、イタリア戦での決勝ゴールデンゴールで知られる韓国の“ファンタジスタ”。現在はサッカー解説者兼タレントとして大活躍中。

アン・ジョンファン
アン・ジョンファン写真:ロイター/アフロ

#21 パク・チソン

ポルトガル戦での決勝ゴールなど左FWとして大活躍。のちにマンチェスター・ユナイテッドで活躍するなど四強戦士最高の出世頭。現在は全北現代のアドバイザー。

監督・コーチといった指導者になった者、解説者やタレントとして活躍する者、そして、この世を去った者。こうして整理していると、改めて20年の歳月が過ぎたことを実感するが、韓国ではこの「四強戦士」たちが久々に集結する。

「四強戦士」だけではない。チームを指揮したフース・ヒディンク監督も久々に来韓。かつての教え子たちとともに、6月2日に行われる韓国代表対ブラジル代表の国際Aマッチを観戦するという。

ヒディンク監督とチャ・ドゥリ
ヒディンク監督とチャ・ドゥリ写真:ロイター/アフロ

KFAはこのブラジル戦前日の6月1日から6月6日までの期間を『2022 KFAフットボール・フェスティバル 2002>2020  Glory & Beyond』と定めて、さまざまなイベントを企画している。

20年前の2002年6月には韓国全土が「赤い熱狂」が包まれた。あれから20年。韓国は2002年ワールドカップ20周年をどう迎えるのか。注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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