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「同じポット1なら日本が良い」との声あったW杯アジア最終予選組み分け結果を韓国はどう見たか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
前回予選時のソン・フンミン(写真提供=KFA)

カタール・ワールドカップへの出場権を争うアジア最終予選の組み分けが決まった。

日本はオーストラリア、サウジアラビア、中国、オマーン、ベトナムと同じグループBとなった。一部で期待された24年ぶりの日韓対決は実現せず。3月の対決では日本が3-0の大勝を飾っていたこともあり、韓国には日本と同じ組にならなかったことで一安心しているファンもいそうだが、サッカー韓国代表の険しい航海が今後も予想される。

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韓国が属することになったのはイラン、UAE、イラク、シリア、レバノンと同じグループA。グループ唯一の東アジア勢で厳しい組み合わせだ。

特に、相性の悪いイランと同組に入ったのは不運と言える。

というのも、韓国はイラン相手にとりわけ弱い。歴代対戦成績は31試合で9勝9分13敗と劣勢。2011年アジアカップ(カタール開催)の準々決勝で勝利したのを最後に、直近6試合で2分4敗と一度も勝利していない。

特に、韓国はアウェーで一度もイランに勝てておらず、直近2つのドローも韓国ホームで行われた試合でのものだ。このため、韓国国内では「同じポッド1なら日本の方が良い」という見方も一部ではあった。

ベトナムや中国ではなく中東勢との対戦が続くことも、韓国にとっては難しいだろう。

UAEやイラクは戦力が優れており、シリアやレバノンも決して無視できる相手ではない。レバノンの場合は2次予選で同組だったため、簡単ではないチームであることはすでに理解している。

何より、中東勢は“チムデサッカー”を用いる点でも厳しい。

「チムデ」とは「ベッド」の韓国語で、試合中すぐに倒れてあからさまな時間稼ぎをするサッカーのことを指す。ベント監督自身、レバノン戦で相手の露骨な“チムデサッカー”に不満を示したこともある。

熟練したゲームコントロールができなければ、主導権を相手に握られてしまうこともあり得る。中東勢との戦いが決まった今、ベント監督には万全の準備が求められる。

注目の最終予選は来る9月からスタートする予定だ。

『スポーツソウル』日本版(7月1日掲載)に加筆掲載

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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