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東京五輪の女子ゴルフ「3枠」の選手が決定。韓国の残り1枠は誰の手に?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
コ・ジンヨン(写真提供=KLPGA)

日本では女子ゴルフの東京五輪出場権を賭けた争いが今週末に佳境を迎えるが、お隣・韓国ではすでに3枠が決まった。

女子ゴルフ世界ランキング1位コ・ジンヨン、2位パク・インビ、4位キム・セヨンが東京五輪出場を確定させた。

7月に開催を予定している東京五輪は、6月28日付の世界ランキングを基に出場権が与えられる。ただ、すでに世界ランキングのトップ5以内にランクインしているコ・ジンヨン、パク・インビ、キム・セヨンはほぼ東京行きのチケットを確保したと言って良いだろう。

「女子ゴルフ韓国代表になるには世界ランキング10位以内に入らなければならない。安定した成績で夢を叶えられた自分自身が誇らしい」と語ったのは、2016年リオ五輪に続いて五輪出場切符を手にしたパク・インビだ。

6月23日の公式記者会見では「メジャー大会でも優勝したがオリンピックは特別。生涯2度目の出場はバケットリストの1つだった」と喜びを隠さなかった。

バケットリストとは、「死ぬまでに成し遂げたいこと」を書き留めること。前回リオ五輪では大会直前までケガや不調で不安視されながら、最後は元来の勝負強さを発揮して金メダルを獲得したパク・インビだけに、韓国では大会2連覇を期待する声も多い。

パク・インビと同じく2大会連続の五輪出場となるのはキム・セヨンだ。

「2016年リオ五輪では良い経験をした。五輪出場で自信も得られた」と振り返るキム・セヨンは昨季のKPMG全米女子プロゴルフ選手権で自身初の米国メジャー制覇も達成した。

リオ五輪では25位タイに上がったキム・セヨンは、「リオでは望んだ目標を果たせなかったが、東京では良い成績を出せるようしっかり準備する」と意欲を見せている。

そして、コ・ジンヨンだ。東京五輪が生涯初のオリンピックとなる現時点での世界ランキング1位は「韓国勢の実力が優れていて、代表に選ばれるのは本当に容易ではない。東京五輪出場が決まって嬉しい。早くオリンピックの舞台を経験したい」と胸を躍らせているという。

3人は、アメリカ時間で6月24日から行われる「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」にそろって出場するが、大会が終われば韓国勢4人目の東京五輪行きが決まる。

世界ランキング15位以内に含まれていれば、東京五輪では一国から最大4人の選手が出場することができるためだが、現時点で有力視されているのは世界ランキング8位のキム・ヒョージュ。

次点はユ・ソヨンだが、現在の世界ランキングの順位は16位。ユ・ソヨンはKPMG全米女子プロゴルフ選手権で優勝したとしても、上位韓国勢を追い抜く可能性は低いというのが、韓国のゴルフ関係者たちの見方だ。

ちなみに東京五輪に挑む女子ゴルフ韓国代表の監督を務めるのは、パク・セリ。前回リオに続いて2大会連続監督を務めるが、韓国女子ゴルフ界の“レジェンド”は以前、インタビューしたときにこんなことを言っていた。

「国民の期待と関心、それに伴う負担とプレッシャー、選手個々のメダルへの想いなど、そのすべてが大きい。五輪はメジャー大会とはまた違った重みがある。その重みを背負って戦う選手たちを、監督として最大限にサポートしていきたい」

(参考記事:【直撃取材】女子ゴルフ界の“レジェンド”、朴セリは今どこで何をしているのか)

世界ランキングをリードする3人と世界を知るレジェンド監督。東京五輪でも韓国勢がメダル争いに絡んでくることだけは、間違いなさそうだ。

*『スポーツソウル』日本版6月23日付け記事に加筆

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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