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話題の韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』で「俳優人生最大の危機」を乗り越えたソン・ジュンギとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
ソン・ジュンギ(写真:Shutterstock/アフロ)

今年に入って主演映画とドラマが大ヒットし、5月7日に行われたオンラインファンミーティングも大盛況。もはや完全復活、いや“第2の全盛期”に入ったといってもいいだろう。

他でもない、俳優ソン・ジュンギのことだ。

なかでも最も目を引くのは、ドラマ『ヴィンチェンツォ』だろう。韓国では視聴率が第1話(2月20日放送)の7.7%でスタートし、回を重ねるごとに上昇。最終回となった第20話(5月2日放送)では、自己最高視聴率となる14.6%の高視聴率を叩き出した。

そして日本でもNetflixでほぼリアルタイムで配信され、人気ランキング上位に君臨し続けた。最終回まで配信されたが、その余韻が残っている人も少なくないと思われる。現場ではクールな役柄とは想像もつかないギャップある姿も見せていたそうだが、それがニュースになるほどでもある。

順調だった俳優人生が…人気女優との離婚で窮地

ただソン・ジュンギがここまで勢いを取り戻したのは、数年ぶりという印象もある。

2008年にデビューすると、2010年のドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』で主要キャストを務めてブレイク。2012年にはドラマ『優しい男』、映画『私のオオカミ少年』で人気イケメン俳優としての地位を固めた。

まさに人気俳優としてこれからという2013年に、陸軍に入隊。人気絶頂期に映画でもドラマでもなく兵役を選択しただけでなく、それ以前まで芸能人の兵役で主だった「芸能兵制度」(国防部のPR活動などに協力するという理由から、一部の芸能人は実戦部隊への配属が免除される制度のこと)が直前に廃止されていたなかでの入隊だった。

それだけにソン・ジュンギの男らしい入隊は当時、絶賛されたりもした。

2015年に除隊し、翌年ドラマ『太陽の末裔~Love Under The Sun~』で復帰。そのドラマが最高視聴率38.8%のメガヒットを記録し、圧倒的な存在感を見せつけている。

プライベートも充実したものだった。2017年には『太陽の末裔』で共演した女優ソン・ヘギョと結婚。トップ俳優同士のまさに“世紀の結婚”として、大いに話題となった。

こう改めて振り返ってみると、デビューから兵役、除隊、結婚と順風満帆といった歩みだが、ここから困難も経験する。なんとソン・ヘギョと離婚してしまうのだ。

結婚以上に“世紀の離婚”は大きな注目を集め、その過程や原因が連日メディアに報じられた。2019年6月のことだ。

離婚報道が出た直後は、ソン・ジュンギの家族や側近への関心も続いた。ソン・ジュンギの父親、ソン・ジュンギの生家、ソン・チュンギのマネージャーの結婚式など、数多くの噂がポータルサイトのリアルタイム検索ワードに浮上し、刺激的な記事も少なくなかった。なかには離婚のストレスで薄毛になったという記事まであった。

(参考記事:「思い返すとあれが決定打だった」…関係者が目を疑ったソン・ヘギョの“ある行動”が再注目

一連の騒動でソン・ジュンギのポジティブでスマートなイメージも汚れていったといえるだろう。

華麗な復活、トップ俳優であることを証明

以降、所属事務所も離れて“独り立ち”を目指すが、新型コロナの影響で映画の撮影が不透明になるなど、予定されたスケジュールをこなせず、悪い意味でソン・ジュンギの今後に注目が集まったりもした。

しかし“年男”となる2021年に入って、見事な復活を果たすことになる。

2月のNetflixで韓国初となるSF映画『スペース・スウィーパーズ』が公開されると、世界同時配信から一日でNetflix映画ランキングのトップに。映像コンテンツのランキング集計サイト『FlixPatrol』によると、2月6日時点で総計525点の『スペース・スウィーパーズ』がNetflixの人気映画ワールド1位になった。

新型コロナの影響でNetflix公開となったが、災い転じて福となった格好だ。

さらに前出のドラマ『ヴィンチェンツォ』で、イタリアのマフィア弁護士という前例のないキャラクターを熱演し、ソン・ジュンギ健在どころか、第2の全盛期であることを証明して見せたのだ。

プライベートで問題を起こして窮地に立たされる俳優は少なくないが、ソン・ジュンギは本業である演技で見事に復活を果たしたといえる。

離婚報道当時はネガティブな記事も多かったが、現在、彼への評価は一変している。

「ソン・ジュンギ、『ヴィンチェンツォ』で再び迎えた全盛期」(『スポーツ京郷』)、「痛快なストーリー、変身に成功したソン・ジュンギ」(『聯合ニュース』)、「“やっぱりソン・ジュンギ”、『ヴィンチェンツォ』が残した3つのもの」(『スポーツ東亜』)、「『ヴィンチェンツォ』ソン・ジュンギ、まともに証明した値打ち」(『エックススポーツ』)と、絶賛の見出しが並んでいる状態だ。

5月末からは新作映画『ボゴタ』(原題)の撮影に入るというソン・ジュンギ。「映画を撮りながらも、やりたい、共感できる、見逃したくない作品があれば出演するつもりだ」と話している通り、まだまだ快進撃は続きそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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