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米国女子ゴルフツアー再開でも韓国勢の欠場がワケ。全英出場を表明したのは誰?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
「済州サンダースマスターズ」メディアデー(写真提供=KLPGA)

7月31日(現地時間)から女子ゴルフのLPGAツアーがいよいよ再開する。今年2月の「ISPSHANDAオーストラリア女子オープン」以降、新型コロナの影響で中止や延期が続いていた米国ツアーだが、アメリカのオハイオ州で行われる「LPGAドライブオン選手権」から、再開されることになる。

野村敏京、河本結、山口すず夏など日本勢も出場するので注目されるが、今や米国ツアーで一大勢力となった韓国勢の出場は思いのほか少ない。

世界ランク22位のエイミー・ヤン(韓国名ヤン・ヒヨン)、57位のチョン・インジ、81位のジェニー・シン(韓国名シン・ジウン)、90位パク・ヒヨン、さらにはオーストラリアのミンジ・リー(韓国名イ・ミンジ)、アメリカのダニエル・カン(韓国名カン・ヒョリム)といった韓国系選手たちも出場するが、韓国勢の中でも世界ランク上位にある者たちはこぞって欠場する。

(参考記事:「実はあの美人プロもそうだった!!」世界で活躍する韓国系の女子ゴルファーたち)

「安全を最優先に様子を見よう」

世界ランク1位のコ・ジンヨン、3位のパク・ソンヒョン、6位のキム・セヨン、10位のキム・ヒョージュ、11位のパク・インビ、13位イ・ジョンウン6、14位のユ・ソヨンなどだ。

いずれも韓国でも有名な実力者て東京五輪出場の有力候補たちでもあるが、アメリカを主戦場としてきたはずの彼女たちが米国ツアーの再開に足踏みするのは、依然として払拭されない新型コロナへの不安があるからだという。

コ・ジンヨンやパク・ソンヒョンのマネージメントを担当するセマ・スポーツの関係者に『スポーツソウル』ゴルフ担当が聞いたところによると、「アメリカ入国後の2週間の自主隔離が解除されたが、移動中や日常生活で感染の危険もあるし、大会前の数回の検査義務や大会期間中の移動制限など、負担も多い。選手と話し合い、安全を最優先に様子を見ようということになった」という。

新型コロナウイルス感染者数が400万人を超えるだけではなく、マスク着用やソーシャルディスタンスの確保が徹底されていないアメリカの状況は、韓国に比べると無防備に映って危険で不安だというわけだ。

イ・ボミも出場、米国ツアー勢が揃い踏みの国内第9戦

彼女たちは春先には韓国に戻っており、現在もアメリカにはいない。

前出したエイミー・ヤン、チョン・インジはすでにアメリカに滞在しているが、韓国の世界ランク上位8名はいずれも現在は韓国の済州島(チェジュド)にいる。

本日7月30日から始まるKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)ツアーの国内第9戦「済州サンダースマスターズ」(賞金総額8億ウォン=約8000万円)に出場するためだ。

同大会にはイ・ボミ、イ・ミニョン、ぺ・ソンウら日本女子ツアー(JLPGA)勢も出場するが、注目はやはり米国ツアー勢となる。

昨日行われたメディアデーでもユ・ソヨン、キム・ヒョージュ、イ・ジョンウン6、コ・ジンヨンらが揃い踏みで、とりわけ今年2月の米国女子ツアー「オーストラリア女子オープン」での優勝以来、約5カ月ぶりに活動を再開させるパク・インビへの注目は高い。

済州はパク・インビの故郷でもあるため凱旋ムードであるし、コ・ジンヨンとの「新旧世界1位対決」などメディアも大盛り上がりだ。

全英オープン出場を見合わせた選手たち

ちなみにパク・インビは今回の「済州サンダースマスターズ」と、8月7〜9日まで慶州(キョンジュ)で行われる「オレンジライフ・チャンピオンズトロフィー パク・インビインビテーショナル」に出場後は渡英する予定だという。8月20日からスコットランドで行われる米国女子ツアーの今季メジャー初戦「AIG全英女子オープン」に出場する。

すでにコ・ジンヨン、パク・ソンヒョン、キム・ヒュージュらは全英オープンの出場を見合わせ、昨日のメディアデーではユ・ソヨンも「出場しないことにした」と明かしているが、パク・インビは全英オープン出場後にアメリカに向かい、米国ツアーに参加するらしい。

マネージメント担当者によると、コ・ジンヨン、パク・ソンヒョンらも全英オープン後にはアメリカでツアー生活を再開させたいと考ているようで、キム・セヨンなどは韓国ツアー出場のために呼んだアメリカ人キャディーを帰国させ、米国ツアーへの準備を進めているという。

韓国では「ハイワンリゾート女子オープン2020」(8月20日〜)、今季メジャー2戦目の「ハンファ・クラシック2020」(8月27日〜)、「オールフォーユーrenomaチャンピオンシップ2020」(9月10日〜)ら3大会の中止が最近発表され、8月は「2020デユウィニアMBN女子オープン」(8月14~16日、賞金総額7億ウォン=約7000万円)のみが開催されることになった。

それだけにパク・インビ、コ・ジンヨン、パク・ソンヒョンらが揃い踏みの「済州サンダースマスターズ」には俄然、注目が集まりそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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