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暴力、麻薬、性接待…2019年も衝撃的事件が起こった韓国芸能界

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
バーニングサン事件で追及されたV.I(写真:ロイター/アフロ)

吉本興業の“闇営業”問題に麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたピエール瀧から沢尻エリカまで今年も何かと衝撃ニュースが多かった日本の芸能界だが、それは韓国も同じだ。

「#MeToo」運動に麻薬疑惑、リベンジポルノなど、毎年のように衝撃的なスキャンダルが湧き出る韓国芸能界。残念ながら今年も悪いニュースばかり続いた印象だ。

多数の芸能人の性犯罪が発覚したバーニングサン事件

今年の韓国芸能界を語る上で欠かせないのは、日本でも大きく報じられた「バーニングサン事件」だろう。

人気グループBIGBANGのメンバーだったV.Iが経営に関わっていたクラブ「バーニングサン」での暴力事件をきっかけに、クラブ内でデートレイプドラッグの流通、性接待などあらゆる疑惑が浮上して大問題となった。

(参考記事:性的暴行疑惑に社会の闇…親しみやすさの裏に隠された韓国芸能人たちの“悪しき素顔”)

V.Iは性接待あっ旋、横領、食品衛生法違反などの容疑に加え、海外での遠征賭博および為替の違法取引の容疑で警察の捜査を受けた。

事件当初、BIGBANGから脱退し、所属事務所YGエンターテインメントとの契約も解除されているV.Iは自ら芸能界引退を宣言している。

このバーニングサン事件で明るみになったのが、多数の芸能人が参加するグループチャットで行われた性犯罪の数々だ。

V.Iはもちろん、歌手チョン・ジュニョン、元FTISLANDのチェ・ジョンフンなど約14人の男性たちが、性行為を隠し撮りした動画を頻繁にシェアし、集団強姦事件も起こしていた。

中でも最も積極的に参加したされるチョン・ジュニョンとチェ・ジョンフンは、11月末に行われた1審でそれぞれ懲役6年、懲役5年の判決を言い渡されたが、判決を不服として控訴したことで再び非難を浴びている。

ユチョンらK-POPアイドルの薬物問題

日本では女優の沢尻エリカが合成麻薬MDMAを所持した疑いで世間を騒がせたが、韓国ではJYJの元メンバーだったパク・ユチョンが麻薬によって物議を醸した。

元彼女で南陽(ナミャン)乳業創業主の孫娘であるファン・ハナと一緒に覚せい剤使用容疑を受け、7月に開かれた判決公判で懲役10カ月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡されている。

また、ユチョンに性的暴行を受けたと主張、2016年に告訴した女性に対して約1億ウォン(約1000万円)の損害賠償も確定した。

このパク・ユチョンのほかにも、9月にはボーイズグループiKONのメンバーだったB.Iが警察の取り調べで大麻使用を認め、11月にはボーイズグループMOSNSTA X出身のウォノが、大麻喫煙疑惑に包まれた。韓国でも芸能人の薬物問題がいつになく多かった1年だった。

人気オーディション番組の不正疑惑

また、本欄でも紹介した『PRODUCE』シリーズの投票操作疑惑も世間を騒がせた。

シリーズの演出を務めたアン・ジュニョンPDが全シリーズの不正事実を認め、番組に関わった人々を愕然とさせた。番組が輩出したグループをめぐって投票操作の被害者探しが加熱したり、活動中のIZ*ONEとX1が活動中止を余儀なくされたりするなど、様々な悪影響が生じている。

K-POP女性アイドルの悲しき死

ただ、最も衝撃だったのは元f(x)のソルリ、元KARAク・ハラといった女性アイドルたちの突然の訃報だ。その輝く姿を二度と見られないのは悲しい。

彼女たちが生前に苦しめられた悪質コメントやリベンジポルノなど様々な問題が浮き彫りになり、韓国社会全体が事態の深刻さを真剣に考えることになった。

今や世界でも注目を集める韓国芸能界。来年こそ、明るい話題をたくさん振りまいてくれれば良いのだが…。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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