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大江麻理子、小川彩佳ら女性キャスター全盛の日本。韓国でも女性キャスター誕生へ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
左から2番目がイ・ソジョン(写真=『KBSニュース9』公式Facebook)

日本の各局看板ニュース番組はメインキャスターに女性を起用している番組が多い。

日本テレビ系『news zero』は有働由美子、TBS系『news23』は小川彩佳、フジテレビ系『FNN Live News α』は三田友梨佳、テレビ東京系『ワールドビジネスサテライト』は大江麻理子がメインキャスターを務めている。

女性がメインキャスターを務めるのは今に始まったことではないので当たり前のように映るが、韓国ではなかなか珍しいことだ。

ニュース番組で活躍する女性アナウンサーは多い。

以前、本欄でもインタビューを紹介したアン・ナギョンは今でもJTBCの『ニュースデスク』で活躍しているし、今年4月には教養ニュース番組のメインキャスターを務めたカン・ウソンが検索ランキングで一気に上位に躍り出たこともあった。

(参考記事:トップクラスの美貌!! 韓国JTBCの女子アナ“ビッグ3”が美しすぎる!!【PHOTO】)

女性のメインキャスターが誕生した韓国

ただ、サブキャスターや報道特集番組で活躍する女性キャスターがいても、各局の看板ニュース番組で女性がメインキャスターを務めることは稀だった。

そんな中で最近、日本のNHKにあたる韓国の公共テレビ局KBS(韓国放送公社)が、看板ニュース番組『KBSニュース9』の新しいメインキャスターとして同局の女性記者イ・ソジョンを就任させたことが話題になった。

韓国の地上波テレビ局4社(KBS、MBC、SBS、EBS)が放映する平日の看板ニュース番組で、女性がメインキャスターになるのは今回が初めてだ。

それも、地上波の中でもっとも堅苦しいと言われるKBSが自らそのイメージを覆したことに、韓国のテレビ業界は驚きを隠さない。

この抜擢で一躍注目の的となったイ・ソジョンは、記者会見でこう発言している。

「私自身もKBSの果敢な選択に驚いた。これははたして正しいのかとも悩んだが、我々(KBS)はいま切実なので、これが視聴者に寄り添うための努力なのだと思う。キャスターが交代されたからといってニュースが変わるとは思わないが、果敢な変化を選んだ事実そのものが与えるメッセージに注目してほしい」

今回のメインキャスター抜擢にあたって、KBSのニュース制作部では公式オーディションを行ったという。

そこで圧倒的な評価を得たイ・ソジョンは、2003年に入社して社会部や経済部、探査制作部などで記者として活動。豊富な現場経験への評価と信頼が、今回の抜擢の決め手になったのだろう。

報道の信頼低下を一新させる取り組みとなるか

これまで韓国では女性アナウンサーが黒縁メガネかけただけで話題になるなど、その美貌やスタイル、学歴、若さなどに関心が集まってしまいがちだが、今回に限ってはそんなこともなかったようだ。

ちなみに、サブキャスターにはイ・ソジョンと同年代の男性アナウンサーであるチェ・ドンソクが抜擢された。KBSの男性アナウンサー史上初めて育児休暇を取ったことでも知られているアナウンサーだ。

韓国では昨今、ネットで拾ったフェイクニュースや画像の無断使用、局内での男女平等問題、さらには若者のテレビ離れなど、テレビ業界がさまざまな問題に直面している。

特にKBSの報道は信頼度低下も叫ばれて久しい。そうした雰囲気を一新することはもちろん、新しいジャーナリズム体制を構築するために起用された女性のメインキャスター。

韓国のテレビ報道の改革への一歩になるか、今後も注目しておきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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