サッカー韓国代表がブラジル代表とUAEで対戦することになった背景

前回の韓国対ブラジル戦(写真=FA Photos)

日本代表が大阪の吹田スタジアムでベネズエラ代表とAマッチを戦う本日、韓国代表は中東のUAEでブラジル代表とAマッチを行う。

今回の親善試合は、2022年カタールW杯アジア2次予選(レバノン戦)で中東を訪れていた韓国と、グローバルツアーの一環でアルゼンチンとの親善試合をサウジアラビアで行ったブラジルの日程が、タイミングよく合ったからこそ決まったものだ。

発表があったのは10月中旬。まず先にブラジルサッカー協会が10月14日に公式サイトでその事実を伝え、韓国サッカー協会(KFA)が10月24日に正式発表した。その際に韓国で報じられたのは、「最初にブラジルサッカー協会から打診があった」ということだったが、過去に行われた韓国対ブラジル戦を取材してきた立場からすると、ちょっとした驚きだった。

というのも、韓国はブラジルと1995年8月に水原(スウォン)で行われた親善試合を皮切りに計5回対戦しているが、そのすべてが韓国サッカー協会がブラジル代表を招く形で行われてきたからだ。

95年の初対戦や97年W杯アジア最終予選前の親善試合、キム・ドフンが決勝ゴールを決めて韓国が唯一勝っている99年の対決などでは、両国協会の共通スポンサーであるNIKEが主導していたし、2002年W杯後初のAマッチとなった02年11月の対決ではホン・ミョンボ、ファン・ソンホンの引退試合というメモリアル要素があった。直近の対決である2013年10月の試合も、ソウル・ワールドカップ競技場で行われている。韓国が招いてブラジルと対戦するというのが常だった。

ところが先日、ソウルでKFA関係者やメディア関係者に話を聞くと、今回は勝手が違ったという。

なんでもブラジルは世界各地を回りながら年間10試合のAマッチを行う契約があったらしく(『スポーツ東亜』サッカー担当記者談)、そのひとつが11月16日にサウジアラビアで行われたアルゼンチン戦だったが、中東でもう1試合する必要があり複数の国と交渉していたという。

そんな中で昨年年末に第三者を通じてKFAにも関心があるかとの接触があったとか。

1990年代後半からKFAの国際部でキャリアをスタートさせ、02年W杯ではフース・ヒディンク監督の通訳を務め、現在はKFAの事務方トップであるチョン・ハンジン事務総長によると、「今年の上半期あたりからブラジルは韓国代表とのマッチメイクに傾き始めた」という。

また、「中東で試合するならイランやサウジでも良かったはずだし、イスラエルやウルグアイも対戦候補として挙がっていたと聞いている。それでも頻繁に対戦する南米勢ではなく、ブラジルはあえて韓国を選んだ」という別のKFA関係者の言葉もある。

こうした証言もあって、韓国では「ロシア・ワールドカップでドイツを破った韓国の実力をブラジルが認めたからだ」という見方もあるのだが、いずれにしてもブラジルからのオファーはKFAにとっても悪くない話だった。むしろパウロ・ベント監督体制になって強豪国との対戦が少なかっただけに、絶好の機会でもあった。

ただ、KFAとしては今年最後のAマッチを韓国で行いたいという考えもあったという。1

というのも今や韓国代表のAマッチはソン・フンミンやイ・ガンインらの人気もあって、ドル箱だ。12月に釜山で開催されるE-1チャンピオンシップもあるが、欧州組は招集できない。興行面でも収入面でも韓国でAマッチを実施したほうが、得られるものが多いからだ。

そんなKFAの懸念材料を払拭すべく、ブラジルサッカー協会はKFAに対して、韓国国内での試合中継権料は譲ったという。「それによってKFAは約15億ウォン(約1億5000万円)の収入を確保したらしい」というのが、『スポーツソウル』のサッカー担当記者の説明だ。

ブラジル代表という世界トップクラスのチーム相手に腕試しができ、なおかつ実利も得られる。韓国代表とKFAにとって、ブラジル戦はちょっぴり早いクリスマス・プレゼントとは言いすぎだろうか。

いずれにしても、韓国代表は「今年最後にして最高のAマッチ」として注目されている一戦。韓国はベストメンバーで挑む予定だという。

(参考記事:ソン・フンミンら韓国が誇る欧州アタッカー陣は、ブラジル相手に通用するか?)

試合は日本時間で22時30分、UAEのムハンマド・ビン・ザーイド・スタジアムでキックオフされる。