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“アイドルの服”を脱いだ少女時代のメンバーたち。女優業でも手本になるか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
少女時代のユナ(写真:REX/アフロ)

韓国はもちろん、日本でも人気のガールズグループである少女時代ユナと、俳優チョ・ジョンソクがダブル主演を務める映画『EXIT』が、7月31日から韓国で公開され好調らしい。

公開初日の7月31日から6日連続でボックスオフィス1位を独走。8月6日には観客動員350万人を突破し、その後も順調に観客動員数を伸ばして500万人突破も確実なものとなった。

ユナと言えば、これまでチャン・グンソクと共演した『ラブレイン』(2012年)、『総理と私』(2013年)、『THE K2~キミだけを守りたい~』(2016年)、『王は愛する』(2017年)など、数多くのドラマで主演を務めてきたが、映画は今回が初主演というから驚きだ。

少女時代のメンバーとしては、ユナのほかにもスヨン、ソヒョン、ユリが女優業に進んでいる。

ただ、もっともハードルが高いとされる映画界で主演級女優の立ち位置を確保したのはユナが初めて。今は所属事務所を別にするメンバーたちもいるが、グループ全体で祝福したに違いない。

(参考記事:所属事務所は違えど、少女時代は健在!プライベート写真で見る“変わらぬ友情”【PHOTO】)

それにしても、ユナを始め女優業に挑戦している少女時代メンバーたちの評価が上々なのは注目すべきことだろう。

例えばスヨンは昨年は、吉本ばなな原作の日韓合作映画『デッドエンドの思い出』に主演し、第23回釜山国際映画作に出席。今年6月に公開された映画『ガールコップス』(原題)では、主人公コンビをサポートし、犯人の位置を特定する主務官役を見事に演じ、興行ランキング1位に貢献した。

ユナもスヨンも今年でデビュー12年目を迎えただけに、芸能界でこれまで積んできたノウハウが存分に生かされているのだろうが、聞くところでは彼女たちが映画関係者から絶賛される理由は、それだけではないらしい。

アイドルとして韓国芸能界で頂点を味わったにもかかわらず、謙虚な姿勢とチャレンジ精神を保っているところに、好感を持たれているようだ。

例えば韓国紙『スポーツソウル』のインタビューで、ユナは「映画界ではまだ新人だ。これからはあらゆる可能性を広げて良いキャラクター、新しいジャンルに挑戦していきたい」と語っていた。

実際に、前出の映画『EXIT』では絡まった髪に汚い顔、ゴミ袋で作った服を着て叫ぶという、いつもの清楚なイメージとは程遠いキャラクターを演じてみせた。

少女時代の中では“センター”を務めるほど容姿に優れていたユナが、初主演映画でキレイに映ることを諦めているのだ。映画関係者によると、撮影現場でのユナは「格好悪くなることをまったく恐れなかった」らしい。

自分を“新人”と名乗り、チャレンジ精神を発揮しているのはスヨンも同じだ。

スヨンは前出『スポーツソウル』のインタビューで練習生期間を含めた17年間、SMエンターテインメントという頑丈なお城で「お姫様のように育てられてきた」と告白しながら、「外の世界が知りたくなった。客観的で現実的なアドバイスも受けたい」と語っていた。

そんなスヨンが2017年にSMエンターテインメントを離脱したことは、日本でも大きく報じられた。

その後も与えられた演技の仕事を黙々と続けていた彼女は、今年5月に役者マネージメントを専門的に行うSARAMエンターテインメントへ移籍。「まるで新人に戻った気持ち」で、本格的に女優業に取り組んでいる。

そのひとつが前出の映画『ガールコップス』でもあった。

卑語を連呼する口の悪い女性キャラクターを何の違和感もなく演じていたのだが、インタビューによると「これまで演じてきた役と違ったので、迷わず出演を決めた」らしい。今後も個性豊かなキャラクターを見つけ出し、生き生きと演じていくであろうスヨンの女優活動にはますます注目したくなる。

K-POPガールズグループとして韓流ブームを牽引し、TWICEなど多くの後輩グループが憧れ目標にする少女時代のメンバーたち。アイドルから女優に転身して立つ新しいステージにおいても、彼女たちは手本になろうとしているのかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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