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劇場版「名探偵コナン」の最新作に韓国で圧力!?日本製品不買運動の影響を受けたのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
『名探偵コナン 紺青の拳』の韓国版ポスター

毎年夏になると、韓国ではとある日本のアニメ映画が映画館を賑わせる。『名探偵コナン』劇場版シリーズがそれだ。

先週の7月24日には、シリーズ第23作目となる『名探偵コナン 紺青の拳』が韓国で公開された。

日本では4月に公開され、興行収入が90億円を越える大ヒットを記録している。劇場版シリーズでは初めて海外を舞台にしていることや、人気キャラクターの怪盗キッドがメインの1人として登場することなど、話題性も豊富だった。そういう情報は韓国にも伝わっていたため、公開を楽しみに待っていたファンも多い。

そもそも『名探偵コナン』は、韓国でも根強い人気を誇る。

原作コミックスは韓国語版が発売されているし、テレビアニメも吹き替え版が長年放送されている。最近は劇場版の人気が高まり、日本で4月に公開されるその年の新作は7〜8月の夏休み期間中に公開されるのが毎年の恒例になった。ジブリ作品などと並んで、『名探偵コナン』も韓国で長く愛されている映画なのだ。

(参考記事:アンコール上映まで!? 韓国人が愛してやまない日本映画ベスト10)

例えば2017年公開の『から紅の恋歌』の場合、競技かるたという日本の伝統競技を題材にしていることから「さすがに韓国公開は難しいかも」という心配の声が上がったが、結果的には観客動員数45万人、約32億6800万ウォン(約3億円)の興行収入を記録、まったくの取り越し苦労に終わった。

昨年公開された『ゼロの執行人』は観客動員数39万6230人、約30億1490万ウォン(約2億7000万円)の興行収入を記録。また、作品に登場する主要場所の体験や、来場客が会場内で推理などを楽しめる劇場版公開記念展が開催され、韓国ファンから反響が寄せられたという。

一部ではボイコットの声も、ボックスオフィス1位に!!

ただ、今回の『紺青の拳』に関しては、興行的に厳しくなるという見通しが多かった。日本でも報道されている韓国の「日本製品不買運動」の影響を、『コナン』も無視できないというのだ。

韓国『MBCニュース』の取材に応じた『コナン』の韓国公開担当・映画関係者は、「ずっと以前から公開を準備してきたのに、途方に暮れている。国民の感情を考慮してマーケティングやイベントを縮小して進めている」と語っていた。

実際、『紺青の拳』もその影響があるのかと感じさせた。韓国最大のポータルサイト「NAVER」の映画セクションを見ると、「名探偵コナンは日本映画。ボイコットすべき」などと扇動するコメントで荒れていたのだ。

だが、実際に公開されてみると、『名探偵コナン 紺青の拳』は7月第4週に公開された海外映画のボックスオフィス・ランキングで1位。その根強い人気に変わりはないことを示した。

総合メディア『インサイト』も、「日本不買運動の中でも1位になった『名探偵コナン』」と取り上げたほどだ。

ごく一部の意見とはいえ日本映画という理由だけでボイコットの圧力をかけてきた逆風にも負けず、その人気の高さを証明した『名探偵コナン』。「真実はいつもひとつ!!」を決めゼリフにする『コナン』が引き続き韓国でヒットすることを期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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