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宇野昌磨も参加し驚いたというキム・ヨナ「女王の帰還」。気になる今後に進展は?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
キム・ヨナ(写真:アフロスポーツ)

フィギュア界の永遠のヒロインにして韓国のプリセンスと言っても過言ではないキム・ヨナが、久々にアイスリンクに帰ってきた。

6月6〜8日にソウルで開催されたアイスショー『All That Skate 2019』に出演して話題になった。

昨年までは平昌(ピョンチャン)五輪の宣伝活動に尽力し、その後は企業のCMモデルを務め、ファッション誌でグラビアを飾るなどしていたキム・ヨナだが、今回のアイスショーでは久しぶりに新しいエキシビションプログラム「Dark Eyes」と「Issues」を披露したのだ。

(参考記事:“スタイルは相変わらず” キム・ヨナによるアスレジャー姿が話題!

このアイスショーにはキム・ヨナの他にも宇野昌磨、ネイサン・チェン、ハビエル・フェルナンデスといったトップスケーターたちも参加。

特に、平昌冬季五輪の銀メダリストで最近は韓国男子フィギュアの有望株チャ・ジュンファンとともに表彰台に上がることも多い宇野には、韓国のフィギュア・ファンからも大声援が寄せられた。宇野昌磨自身も驚きを隠せなかったほどだという。

(参考記事:キム・ヨナのアイスショーに特別出演した宇野昌磨「反応がこんなに大きい公演は初めてだった」

ただ、主役はやはりキム・ヨナである。何しろ今も絶大な人気を誇る彼女がアイスショーの正式出演者として名を連ねるのは、引退後初めてだったのだ。

昨年は特別出演者として参加していたが、出番のあまりの短さに客席からは名残惜しむ声が多く上がっていたという。

そんなキム・ヨナが今回は「緊張感に包まれるほど一所懸命準備した」と明かしていたのだから、「スンニャンイ」(山犬)と呼ばれるヨナ・ファンたちがここぞとばかり押し寄せたのも当然だろう。

今回のアイスショーには、イム・ウンス、チェ・ダビン、パク・ソヨンなど「いずれ紀平梨花のライバルになるかもしれない」とされる“ヨナ・キッズ”と言われる逸材たちも多く出演し、「Move Me」というテーマのもとで、それぞれ美しい演技を披露したが、そんな現役選手たちも女王にはかなわなかった。

現役時代さながらの演技を披露したキム・ヨナの姿を、韓国の各メディアは「女王の帰還」「さすがレジェンド」などと報じたほどである。

しかも、女王の帰還に熱狂したのはフィギュア・ファンだけではない。

K-POPガールズグループTWICEのダヒョンやSUPER JUNIORのチェ・シウォンなどがアイスショーに足を運んだという。ダヒョンとシウォンはそれぞれキム・ヨナとのツーショットをSNSに投稿し、ファンを公言していた。

ちなみに映画『パラサイト』で第72回カンヌ国際映画祭のパルムドールに輝いたポン・ジュノ監督も以前、「僕のライバルはキム・ヨナだ」と語ったことがある。

ポン・ジュノ監督はキム・ヨナのことを「才能、度胸、努力の3拍子を備えた存在で、人に流されずに自分の道をコツコツ歩く、恐ろしくて美しい怪物」と評価していたが、気になるのは引退したキム・ヨナが今後どんな道を歩むか、だ。

前出の通り、昨年の平昌五輪以降、具体的な進路は明言していない。以前、「引退後は国際オリンピック委員会(IOC)選手委員に挑戦したいという気持ちもある」と言っていたが、2016年に元卓球韓国代表ユ・スンミンがIOC選手委員に当選したため、当分はキム・ヨナに立候補の出番は回ってきそうにない。

だからといって、タレント転身なども考えていないという。

“国民の妹”と呼ばれたキム・ヨナに匹敵するほどの人気で“国民の姪”と呼ばれた新体操の“美しき妖精”ソン・ヨンジェがYouTuberに転身したり、同じく新体操韓国代表のシン・スジがボウリング選手やタレントとして活動していることに比べ、キム・ヨナはSNSに投稿することすら少なく珍しい。現役時代にあまりにも多く世間の関心を浴びてきた反動からか、プライベートを公開することは極端に少ない。

ただ、決めるまでは慎重でも進むべき道が決まれば脇目もふらずに目標に向かって突き進むのがキム・ヨナでもある。今回のアイスショーのために、3か月間、集中的に体力トレーニングも実施したという。

(参考記事:帰ってきた“フィギュア女王”キム・ヨナ、「氷の上に立つと緊張した」【現地インタビュー】)

そんな妥協を許さない姿こそが、キム・ヨナが未だに支持され人気を集める理由なのかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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