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財閥令嬢“ミルク姫”が韓国の特大スキャンダルにすべて関与しているのはなぜ?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
写真はイメージです。(写真:アフロ)

本日6月5日、韓国社会で大きな波紋を呼んだ“麻薬疑惑”を起したファン・ハナ容疑者の初公判が水原地方裁判所で行われる。

日本で“ミルク姫”などと紹介されることのある彼女は、芸能人ではない。韓国の財閥である南陽(ナミャン)乳業の創業者の孫娘で、いわゆる財閥3世だ。

“インフルエンサー”に泣かされる韓国

ファン・ハナ容疑者はもともとSNSに多くのフォロワーを持つ“インフルエンサー”で、俳優兼歌手パク・ユチョンの元恋人として、大きな影響力を持った。

(参考記事:まさに悪女…芸能人ではない“インフルエンサー”に泣かされる韓国芸能界

財閥3世として生まれ、韓国芸能界でも華麗な人脈を誇っていた彼女が、元恋人パク・ユチョンと麻薬を使用していたということで、韓国では大問題に発展した。

ファン・ハナ容疑者はすでに逮捕されて時間も経っており、本日初公判が開かれるわけだが、彼女の存在感は未だに色あせていない。むしろ日に日に高まっているといったほうが正確かもしれない。

というのも拘束された後も、さまざまな事件に彼女が関わっていたのではないかという疑惑が次々と浮上しているのだ。

麻薬芸能人を記載した“ファン・ハナリスト”?

例えば、BIGBANGの元メンバー、V.Iが芸能界を引退することになったクラブ「バーニングサン事件」との関連だ。

韓国の追跡報道番組『それが知りたい』(SBS)は今年5月、麻薬使用芸能人の名前が書かれた“ファン・ハナリスト”が存在するという疑惑を報じた。

つまりバーニングサン事件にもファン・ハナ容疑者が絡んでいたのではないかという話だ。少なくともファン・ハナ容疑者は、バーニングサンのVIPであったことは確からしい。

(参考記事:芸能人の名が書かれた“ファン・ハナリスト”が存在する!? バーニングサンと麻薬のつながりか

また最近は、韓国の大手芸能事務所の代表にも性接待疑惑が浮上しているのだが、そこにもファン・ハナ容疑者の存在が見え隠れしている。

財閥令嬢の“狂った存在感”

性接待疑惑を報じたテレビ局MBCの探査企画番組『ストレート』によると、当該の性接待と思しき席に招待された一般人のなかに、ファン・ハナ容疑者の姿があったという。

ここ数カ月にわたって韓国社会を混乱させた特大スキャンダルに、いずれもファン・ハナ容疑者が関与した疑いがあるのだ。そんな現状に対して、「ファン・ハナの“狂った存在感”」と表現する韓国メディアもあるほどだ。

(参考記事:なぜそこに彼女が…? 韓国社会を震撼させたファン・ハナの“狂った存在感”

それにしても、なぜファン・ハナ容疑者はこれほどのスキャンダルに関与しているのだろうか。

前出した『ストレート』のコ・ウンサン記者はラジオ番組に出演してファン・ハナ容疑者の生い立ちに関係しているとの見解を示している。

コ記者は、「ファン・ハナは重要な人物だった。(性接待疑惑の場に)参加した投資家は海外から来た人たちだったのだが、英語で通訳ができ、自然に溶け込める人が必要だった。ファン・ハナがアメリカから来たので、その場に招待された」と明かしている。

財閥に生まれて育ちが良いため、投資家らと感覚も合い、さらに英語まで堪能であることから、ファン・ハナ容疑者が招待されたということだろう。警察はこの疑惑に関しても捜査を検討中だという。

真相はいずれ明らかになるだろうが、いずれにしてもファン・ハナ容疑者の存在感は日に日に高まるばかり。本日行われる初公判に向けて、彼女はすでに5回にわたって裁判所に反省文を提出したそうだが、はたして。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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