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アジア杯初戦で「冷や汗」韓国。日本代表も登場する“市場価値ランク”1位は誰か

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
市場価値ランキングで1位になったソン・フンミン(写真:ロイター/アフロ)

1月5日にUAEで開幕したアジアカップ。C組の韓国は昨日7日にグループリーグ初戦を行い、フィリピンに1-0で勝利した。

フィリピンとの歴代戦績はこれまで7戦7勝。FIFAランキング(116位)でも韓国(53位)が上回っており、アジアカップ出場数も韓国がイランと並んで最多の14回を数えるのに対してフィリピンは今大会が初出場だ。

試合前には、かつてイングランド代表監督として2度ワールドカップを経験したフィリピン代表のスヴェン・ゴラン・エリクソン監督が、「韓国代表の監督職に強い興味を持っていた」ことも明るみに出て関心を集めたが、結果は大方の予想通り韓国が勝利を収めた。

ただ、フィリピンの守備をなかなか崩せず、チャンスは作れても最後の詰めが甘い試合内容でもあった。66分にようやく決まったファン・ウィジョのゴールで勝つには勝ったが、期待された“完勝”ではなかった。

1960年大会以来59年ぶりのアジア制覇へ向けて白星スタートを切ったが、韓国メディアも「ファン・ウィジョの値千金決勝ゴール 韓国、フィリピンに辛勝」(『スポーツソウル』)「韓国、初出場のフィリピンに冷や汗勝利」(『聯合ニュース』「もどかしかった一戦、結局、解決士はファン・ウィジョ」(『NEWSIS』)などと報じている。

(参考記事:ガンバ大阪ファン・ウィジョ、「アジアカップの優勝候補はオーストラリア」)

「史上初の決勝・韓日戦はあるか」

振り返れば、アジアカップ開幕前から韓国代表の注目度は高かった。

ロシア・ワールドカップのグループリーグ最終戦のドイツ戦で大金星を挙げると、シン・テヨン監督に代わってポルトガル出身のパウロ・ベント監督が新指揮官に就任。その後はホームでウルグアイを下し、アウェイでオーストラリアと引き分けるなど、3勝3分けの6戦無敗を記録して2018年を終えた。

代表チームが好調なこともあってサッカー人気も回復。ワールドカップなど国際大会のたびに韓国で話題になる“応援美女”たちの姿を、スタジアムや街頭、さらにはKリーグでも見かけるようにもなった。

年明け1月1日にアジアカップ開催地UAEで行ったサウジアラビアとのテストマッチはスコアレスドローに終わったが、大会本番まで無敗行進を続けた代表チームにはメディアもファンも期待を寄せていた。

大手スポーツ紙『スポーツソウル』などは、グループリーグ突破は問題ないと予想し、「史上初の決勝・韓日戦はあるか」と報じている。

その一方で、かつてFCバルセロナでプレーし、現在はカタールのアル・サッドに所属するシャビのアジアカップ予想も紹介するなど、アジアカップ関連の報道が日増しに増えている印象なのだ。

(参考記事:シャビがアジアカップを予想。優勝はカタール、韓国と日本の成績は?

出場選手552人の“市場価値ランキング”

面白いのは、“市場価値”という切り口で韓国と他国選手を比較するメディアがあったことだ。

例えば『Best Eleven』は、ベトナムのメディア『ソハ』が発表したアジアカップ出場選手552人の「市場価値トップ10」を引用して報じた。

このランキングでトップ10に入った選手がもっとも多かったのは日本で、5人がランクイン。

10位に吉田麻也(700万ユーロ/約9億円)、8位に堂安律(750万ユーロ/約9億6000万円)、6位に酒井宏樹(800万ユーロ/約10億3000万円)、4位に武藤嘉紀(1000万ユーロ/約12億8000万円)、3位に中島翔哉(1500万ユーロ/約19億2000万円)が入った。

韓国からはふたり。ファン・ヒチャンが堂安と同率の8位、ソン・フンミンが5000万ユーロ(約64億1000万円)で1位に輝いている。

トップ3の顔ぶれは、ソン・フンミン、イランのアリレザ・ジャハンバフシュ(1800万ユーロ/約23億1000万円)、中島翔哉の順となったわけだが、『Best Eleven』はこの結果を紹介しながら、「韓国からランクインしたのは2人だが、ソン・フンミンの市場価値は2~4位を足した額よりも多い」と綴っている。

ネットメディア『Insight』も、「“2・3・4位”足した額より高額のアジアカップ出場選手で市場価値1位に輝いた“スーパースター”ソン・フンミン」と報じた。

Kリーガーらはまったく入らず、ランクインした選手の数も日本の半分以下だったが、それでもソン・フンミンに対する海外メディアの評価が高いことに韓国は着目しているわけだ。

(参考記事:最高額は日本キラーの大巨人!! 韓国Kリーグの平均年俸はいくらなのか

もっとも、当然ながら市場価値の高さがアジアカップの結果を左右するわけではなく、このランキングも海外メディアの一つの評価に過ぎないが、こうした切り口から大会を追うのも一つの楽しみ方かもしれない。

ちなみに、ソン・フンミンは所属するトッテナムとの協議により、グループリーグ第3戦の中国戦から合流する予定だ。

いずれにしても、アジアカップの初戦で白星スタートを切った韓国。12日にはキルギス戦、16日には中国戦を控えているが、1960年以来遠ざかっているアジア制覇までの道のりは始まったばかり。引き続き注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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