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スピードスケート開幕も姿はなし…小平奈緒との抱擁イ・サンファは今どこで何をしているのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
平昌五輪で健闘称えあったイ・サンファ(左)と小平奈緒(右)(写真:ロイター/アフロ)

明日11月23日から北海道の苫小牧で開催されるスピードスケート・ワールドカップ第2戦。ホームの日本からも多くの選手が出場するが、注目は今年2月の平昌五輪で女子500m金メダルを獲得した小平奈緒だろう。

先週末に帯広で行われた第1戦では、初日、2日目の500mで連続優勝。2日目にはリンク新記録となる37秒29を記録し、同種目の国内外連勝記録を31に伸ばした。

ただ、その帯広大会に、平昌五輪当時は日本でも大きな関心を集めたスケーターの姿はなかった。韓国のイ・サンファ(李相花)だ。

小平との抱擁が話題になった“氷上の女帝”

そもそもイ・サンファは、2010年のバンクーバー五輪と2014年のソチ五輪で女子500m2連覇を達成。韓国で“氷上の女帝”と称され、絶大な人気を集めてきた選手だ。

そんなイ・サンファは今年の平昌五輪でも韓国スケートファンから大きな期待を寄せられていたが、500m決勝ではライバルであり親友でもある小平奈緒に敗れ銀メダルに終わった。

レース直後に涙を流すイ・サンファを小平が抱擁したシーンは、日本のスケートファンの記憶にも新しいだろう。

今年6月に韓国の一般紙『中央日報』が日本で小平を取材した際、筆者も通訳兼記者として同席したが、小平にとっても平昌五輪でのイ・サンファとの対決は思い出深いものだったようで、「サンファが大好きなスケートを、他の人のためでなく自分のためだけに滑り続けてほしい」と語っていたのが印象的だった。

(参考記事:小平奈緒が韓国記者との取材で明かした「差し指ジェスチャー」の理由

セーラー服姿でバラエティ出演!?

そんなイ・サンファと小平の対決をワールドカップの舞台で再び見られると思いきや、帯広での第1戦にイ・サンファは出場しなかった。本日から開催される苫小牧大会の出場選手リストにもその名はない。

二人の再戦を待ち望んでいたスケートファンからすれば寂しくもあるだろうが、では、イ・サンファはいま、どこで何をしているのか。

イ・サンファは韓国代表から落選したわけでもなければ、怪我で離脱しているわけでもない。まして、現役を引退したわけでもない。

韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』によれば、「イ・サンファは休息中」だという。イ・サンファは先月に韓国で行われた「ワールドカップ派遣選手選抜戦」(代表選抜戦)にも出場せず、現在はリンクから離れて英気を養っているそうだ。

平昌五輪以降は各メディアに引っ張りだこだったイ・サンファだが、最近はバラエティ番組にも多数出演。小平との“友情秘話”など五輪裏話も明かしたり、セーラー服姿を披露したりして話題になっている。

(参考記事:イ・サンファはタレント化、“土下座スケーター”は…あの韓国スピードスケート代表選手はいま?

もっとも、実戦を離れてもトレーニングは続けているらしい。

例えば、今年6月には済州島でスピードスケート選手のオフシーズンの定番である自転車トレーニングを行っていたし、8月にインド洋で撮影されたSBSのサバイバル番組『ジャングルの法則』に出演した際は、トレーニングを理由に共演者より先に帰国していた。

旧知の韓国記者によれば、イ・サンファは平昌五輪当時、「4年後にも挑戦するか」との質問に対して難しいと語ったが、少なくとも近いうちに引退する気配はないようだ。

“土下座スケーター”は復活したが…

ただ、イ・サンファが離脱したなか、韓国スピードスケートは今季のワールドカップで成績を上げられていない。

平昌五輪では金1、銀4、銅2つを獲得した韓国スピードスケートだが、先週末の初戦では金、銀は一つもなく、2つの銅メダルを獲得して大会を終えた。イ・サンファがもっとも得意とする女子500mでは、2日目にキム・ミンソンが11位に入ったのが最高成績となった。

初戦では、平昌五輪の女子パシュート準々決勝での“置き去り騒動”によって“土下座スケーター”という不名誉な異名を付けられ、一時は精神病院に入院していたキム・ボルムも復帰。女子マススタートで銅メダルを獲得したが、「韓国スピードスケート、平昌五輪後の初のワールドカップで“ノーゴールド”」(『ヘラルド経済』)と韓国メディアも落胆を隠せない様子だ。

(参考記事:韓国の“土下座スケーター”が再び銀盤に立つ…平昌五輪から8カ月ぶりの表舞台へ

今日から始まる第2戦以降も結果を残せなければ“イ・サンファ待望論”も聞こえてきそうだが、いずれにしても、今季のワールドカップでイ・サンファの姿を見ることができないのは間違いない。

はたして、イ・サンファがリンクに戻ってくるのはいつになるか。今季ワールドカップではお預けとなった小平とイ・サンファの再戦が実現する日を楽しみに待ちたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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