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韓国のミス・ワールド代表はミス・コリアの対抗馬。「ミス・クイーンコリア選抜大会」とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
『第9回ミス・スプラナショナル世界大会』優勝のキム・ジェニ(写真:Shutterstock/アフロ)

韓国の美女コンテストとして聞いて連想するのは何か。おそらく多くの人が思い浮かべるのが『ミス・コリア選抜大会』ではないだろうか。

韓国の大手新聞社『韓国日報』の主催で1957年にスタートした同大会は、文字通り、「韓国を代表する美人を選ぶイベント」として韓国はもちろん、日本でも広くその名が知られている。歴代のミス・コリア受賞者の中には、その美貌を生かして芸能界などに進出して大女優になった者も多い。

(参考記事:あの女優もそうだった!! 「ミス・コリア」出身の芸能人・歴代ベストイレブン)

韓国で最近、“奇跡のアラフィフ女優”として話題となったキム・ソンリョンもミス・コリア出身だ。

ミス・コリア選抜大会は韓国各地で地区予選を行って地区別代表を決めたあと、地区別入賞者を集めた本選(これがミス・コリア選抜大会となる)に続く。

つまり、地区別予選での入賞経験者も含めると、今年4月の『マッスルマニア・オリエンタルチャンピオンシップ』ミズ・ビキニ部門で優勝したキム・クネ(ミス・コリア慶南)、マッスル美女にして今やタレントとしても活躍するレイヤン(ミス・コリア釜山)も、ミス・コリア受賞者なのである。

まさにミス・コリアは“韓国美女の代名詞”といった感もあるが、そのミス・コリアに対抗するような大会が8月22日にソウルで行われた。

その名も『2018ミス・クイーンコリア選抜大会』。“クイーン”という言葉が加えられただけではない。入賞者には『ミス・ユニバース』、『ミス・ワールド』、『ミス・スプラナショナル』といった世界的なミス・コンテストへの出場権を与えられるのだ。

そもそもかつては『ミス・コリア』入賞者が、『ミス・ユニバース』や『ミス・ワールド』に韓国代表として出場していた。1位となる“ミス・コリア眞(ジン)”が『ミス・ユニバース』へ、2位となる“ミス・コリア善(ソン)”が『ミス・ワールド』にといった具合だった。

だが、その権利を巡ってちょっとした騒動が起き、一昨年から『ミス・ワールド&ミス・ユニバース コリア選抜大会』が開催され、その受賞者のひとりであるキム・ジェニは、ミス・ユニバース世界大会出場だけではなく、『第9回ミス・スプラナショナル世界大会』で韓国人女性初となる国際的美女コンテスト優勝も果たしている。

そんな実績を前面に押し出して今年から『ミス・クイーンコリア選抜大会』と改名した大会は、何かと『ミス・コリア選抜大会』とは対照的だった。

例えば本選出場者。前出した通り、『ミス・コリア』は地区大会を経て本選出場の最終候補30数名を決めるが、『ミス・クイーンコリア選抜』大会はSNS審査などネット公開で最終候補31名を決定した。

また、『ミス・コリア選抜大会』は最終候補者たちが1か月近く合宿し、その模様や水着の公開撮影などをメディアに断続的に露出して大会を盛り上げるのが恒例だが、『ミス・クイーンコリア選抜』大会は合宿も公開撮影も一切なし。

(参考記事:【画像】“ミス・コリア”候補者32人がセクシー水着で大集合!! 「ここが地上の楽園か」)

それどころか本大会でも水着審査を廃止し、代わって最終候補者全員がレギンス姿になって登場する“フィットネスルック・パレード”があった。

アメリカのミス・コンテストである『ミス・アメリカ』が水着審査の廃止に踏み切っているが、『ミス・クイーンコリア選抜大会』も、そうした世界的な流れを意識したのだろう。

近年、韓国でも「#MeToo」運動が盛り上がりを見せており、「美人コンテストは女性を性商品化している」という厳しい指摘があるだけに、余計に気を配ったのだろう。一部で「ミス・コリアよりも大会運営が未熟」との声もあったようだが、『ミス・コリア』との差別を図ったアプローチを評価するメディアもある。

いずれにしても、韓国のミス・コン文化に新しい風を起こそうとしている『ミス・クイーンコリア選抜大会』。厳正な審査を経て、イ・ウンビさんが『ミス・スプラナショナル』に、チョ・アさんが『ミス・ワールド』に、ペク・チヨンさんが『ミス・ユニバース』に出場するという。

『ミス・ユニバース世界大会』では過去に政治的な問題が起き、韓国のネット上でも賛否両論が起きる騒動もあった。だが、ペク・チヨンさんは、「韓国を輝かせるミス・ユニバースになります。12月にタイで開かれる世界大会でかならず優勝します」と高らかに宣言して拍手喝采を浴びたそうだが、その結果はいかに。

(参考記事:韓国美女が日本人に妨害を受けた!? ミス・ユニバース世界大会で起きた「慰安婦問題」)

『ミス・クイーンコリア選抜大会』から世界大会優勝者が輩出されれば、『ミス・コリア』に取って代わる新しい「韓国美女の代名詞」になるかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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