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久しぶりにNHK総合で韓国時代劇!! 『オクニョ 運命の女(ひと)』に期待せざるを得ないワケ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真提供=FA photos)

韓国時代劇が久しぶりにNHK総合テレビで放送される。4月8日から韓国時代劇『オクニョ 運命の女(ひと)』が始まるのだ。

これまでNHK総合テレビで放送された韓国時代劇はいずれも名作ばかりということで、期待が高まっている韓国時代劇ファンもいるだろう。

韓国での評判は?

そもそも『オクニョ 運命の女(ひと)』は、韓国で2016年4月30日~11月6日まで放送された韓国時代劇で、最高視聴率22.6%(ニールセンコリア調べ)を記録したヒット作だ。

主人公オクニョを演じたのは、女優チン・セヨン。去る3月3日から韓国で始まった時代劇『大君(テグン)愛を描く』(原題)でもヒロインを務めており、「チン・セヨン『オクニョ』→『テグン』で証明した“時代劇クイーン”の真価」(『ニュース1』)と報じられるほど、高い評価を受けている。

『オクニョ 運命の女(ひと)』は、そんなチン・セヨン演じるオクニョが数々の困難に立ち向かい、愛と人生を取り戻す波乱の物語になっている。

ただでさえ韓国でも高い視聴率を記録しただけに、日本でもという期待が高まるのも自然だろう。

朝鮮随一の“悪女”が登場

『オクニョ 運命の女(ひと)』の舞台は、16世紀半ばの朝鮮王朝時代。朝鮮王朝第13代王・明宗(ミョンジョン)の治世だ。ただ、王といっても明宗にはほとんど実権がなかったといっていい。

当時の朝廷を握っていたのは明宗の母・文定大妃(ムンジョンテビ)。

韓国時代劇ファンであれば、文定大妃(=文定王后)と聞けば、中宗(チュンジョン)の妻ということを思い出すかもしれない。

さまざまな韓国時代劇に登場している人物だが、例えば『宮廷女官チャングムの誓い』に登場する文定大妃と違って、『オクニョ 運命の女(ひと)』の文定大妃は“悪女”として描かれる。

(参考記事:文定大妃とは誰なのか? 『オクニョ 運命の女(ひと)』の鍵を握る“悪女”の実像とは

史実においても文定大妃は、朝鮮王朝随一の悪女といっても過言ではないほどの悪行を重ねているだけに、史実に近い人物像になっているといえるだろう。

ドラマと史実でここまで違う!!

とはいえ、ドラマと史実では人物像が大きく異なることも少なくない。

特に『オクニョ 運命の女(ひと)』の監督を務めたイ・ビョンフン作品はその傾向が強い印象で、NHKで放送された名作『トンイ』ではトンイ(=淑嬪崔氏)が善人、チャンヒビンが悪女と描かれたが、史実ではまったく逆という話もある。

(参考記事:ドラマと史実でここまで違う!! チャンヒビンよりトンイが「悪女」である“3つの根拠”とは

また、イ・ビョンフン監督は、これまで誰も目をつけていなかった歴史人物をピックアップし、フィクションを交えて大胆に描く手腕が持ち味とされている。

史実とフィクションを融合させる巨匠

あの『宮廷女官チャングムの誓い』もその例にもれず、史実におけるチャングムは歴史書『朝鮮王朝実録』に数行だけ残されている人物なのだ。

(参考記事:スクープ!! 歴史書『朝鮮王朝実録』でチャングムが実在していたかどうか確認してみた

だからこそ時代劇の枠にとらわれないエンターテインメント作品となるイ・ビョンフン作品は、多くの人の心を掴んで離さない。それは『チャングム』や『トンイ』が日本でも高い人気を得たことで証明済みだ。

それだけに『オクニョ 運命の女(ひと)』も同じく愛されるのではないかと、期待している人も少なくないはずだ。

いずれにしても久しぶりに地上波で韓国時代劇が始まるだけに、『オクニョ 運命の女(ひと)』にはどのような反響があるか、注目してみたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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