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「藤澤五月ら“美しい日本のライバル”がアシストした」メガネ先輩らカーリングが1位に!!

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
準決勝は名勝負だった(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

平昌五輪が閉幕して1週間が過ぎたが、韓国ではその余韻がまだ続いている。各種メディアではさまざまな角度から大会を総括されているが、そんな中で興味深いデータが発表になった。韓国ギャロップ社が3月2日に発表した世論調査だ。

カーリングが各部門で1位に!!

韓国ギャロップ社が大会閉幕後の2月27日から28日の2日間にかけて、成人男女1008名を対象に実施した調査によると、韓国人が今回の平昌五輪で「もっとも興味深く見た種目」の1位に選ばれたのは、カーリングだったという。

調査は1人2種目まで自由に選べたそうたが、お家芸としてもともと人気があるスピードスケート(29%)やショートトラック(26%)も差し置いて堂々の1位。70%にも達したという。

日本同様に韓国でもカーリング人気が高まっていることは以前も紹介したが、その人気ぶりは世論調査でもハッキリ表れたと言えるだろう。

(参考記事:「メガネ先輩vs藤澤五月を映画にすべき」日本とは似て異なる“韓国のカーリング旋風”)

「韓国代表選手たちでもっとも印象的だった選手は?」という設問でも、カーリング勢が人気だ。

SNSも開設した韓国カー娘たち

同じく1人が2名まで自由に選べるこの設問では“衣裳はだけ美女”で話題となったフィギュアスケート・アイスダンスのミン・ユラなども選ばれたが、主にメダリストが大半を占めた。

1位になったのは、スピードスケート男子マススタートで金メダルに輝いたイ・スンフン(30%)、2位は男子スケルトンで金メダルに輝いたユン・ソンビン(27%)だったが、3位はカーリングの“メガネ先輩”ことキム・ウンジョン(25%)だったのだ。

その“メガネ先輩”が「ヨンミー!!」と呼んで一躍流行語になったファーストのキム・ヨンミと女子カーリング代表チームが、女子スピードスケートのイ・サンファ、女子ショートトラックのチェ・ミンジョンと12%で肩を並べて4位に。

つまり、世論調査参加者の49%が女子カーリングを挙げたことになる。彼女たちは最近、公式Instagramアカウントを開設したが、そのフォロワーも爆発的に増えているらしい。

(参考記事:“メガネ先輩”の美しきオフショットも。韓国カー娘が公式SNSを開設してファンから反響)

このほか、カーリングは「今回の五輪で新しく関心を持った種目」でも1位(55%)になっているが、こうした韓国のカーリング人気は準決勝で戦った日本の女子カーリング代表の存在もあったことが大きい。

現場で取材していた記者によると、「ライバルがいてこそ盛り上がる。韓国のカーリング人気は藤澤五月と日本という“美しいライバル”がいたからこそ、余計に盛り上がった」と、多くの関係者たちが語っていたという。

藤澤五月などは韓国の人気女優パク・ボヨンに似ていると話題になり、検索ランキングでも上位になったほど。

筆者も韓国のスポーツ新聞「スポーツ・ソウル」で連載するコラムで、彼女や日本のカーリング人気について触れたが、その記事の反応には驚かされた。

関係者たちはその関心がカーリングの普及や選手たちの環境改善に繋がることを期待しているそうだが、大韓体育会関係者たちが何よりもホッと一安心しているのは、今大会に対する国民たちの評価が概ね良好だということだろう。

というのも、大韓体育会が大会前に掲げていた当初の目標は、金8・銀4・銅8のメダル獲得で総合順位4位へのランクインだったが、実際には金5・銀8・銅4の総合7位だった。

それでも韓国選手団の成績について問うたギャロップ社の調査では、「期待通りの結果」が28%、「期待以上の結果」が63%と高かったのだ。「期待以下」としたのは6%に過ぎなかった。

当初の目標設定を下回っても高い評価を得られたのは、得意とするショートトラックやスピードスケートだけではなく、男子スケルトンやスキーの男子パラレル大回転といった、これまで韓国が苦手としてきたソリ競技や雪上競技で韓国初のメダリストたちが生まれたことも、無関係ではないだろう。その中でも大会最終日まで盛り上げたカーリングが、大きな役割を果たしたのは言うまでもない。

84%が「五輪は成功的」。その一方で…

個人的に興味深かったのは、アンケート参加者の84%が「平昌五輪は成功的だった」と評価していることだ。

ギャロップ社の調査と言えば、大会前の調査で「五輪に別に関心がない」(20%)「まったく関心がない」(8%)という意見も明らかにしていたが、選手たちの発奮と健闘が国民たちから支持され高い評価を得たのだろう。

もっとも、平昌五輪はさまざまな問題を浮き彫りした大会でもあった。

「成功的ではなかった」と回答した人々の理由にも、「対北関係や北朝鮮に利用された」(20%)、「運営の損失/収益不足」(16%)、「南北単一(合同)チーム結成」(15%)などが挙げられたというのだ。

「国民の関心不足/興業としての失敗」「観覧・宿泊料金が高い」「外交ばかりに重点/政治的利用」、「選手管理がなっていなかった。選手団内の葛藤」などを指摘する声もあったという。

カーリングのように国民的人気を呼ぶ競技やスターも生まれたが、メダルを取っても収まらない女子団体パシュートの キム・ボラム“いじめ論争”が収まらない平昌五輪。

(参考記事:嘘つきはどっちだ!? ますます泥沼化する女子団体パシュート韓国代表の”いじめ”論争)

開催国・韓国がいかに総括していくか、今後も注目していきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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