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最有力はキム・ヨナだがまさかのサプライズも? 平昌五輪の聖火台に火をともすのは誰か

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
平昌五輪開幕1年前セレモニーでのキム・ヨナ(写真:ロイター/アフロ)

いよいよ開幕する平昌五輪。明日午後8時から平昌オリンピック・スタジアムで開会式が行われる。

不安視される寒さに対抗すべく組織委員会は“防寒6点セット”なるものを無料配布するというが、果たしてそれでマイナス15度ともマイナス20度とも予想される“凍えるような寒さ”を凌ぐことができるのか、不安は尽きない。

と同時に、開会式のハイライトとなる聖火台の最終点火者が誰になるか、という点には関心が集まるところだろう。大会の開始を世界に告げる聖火台への点火は、世界が注目するオリンピック会式のハイライトだからだ。

日本からも聖火リレーに参加

そもそも昨年11月1日から仁川で始まった聖火リレーには、数多くの有名人が参加してきた。日本女子プロゴルツアーで活躍するイ・ボミはもちろん、高橋大輔、荒川静香、安藤美姫など日本のレジェンド級アスリートたちも聖火リレーを走っている。

(参考記事:イ・ボミだけじゃない!! 高橋大輔、荒川静香、安藤美姫らも参戦する平昌五輪の聖火リレー)

日本メディアでは報じられなかったが、パク・キリャン、アン・ジヒョン、チョン・ダヘといった“人気チアドルトリオ聖火リレー”もあった。日本や中華圏で人気の俳優チャン・グンソクも、走っている。

ただ、最終点火者はスポーツ・アスリートであるべきだろう。

2014年仁川(インチョン)アジア大大会では、アジア圏の韓流人気を意識して女優のイ・ヨンエにその大役を任せたが、スポーツとは無縁の人選にスポーツ記者たちの間で抗議や不満があっただけに、余計に今回はミスキャスティングしないことを願うばかりである。

最有力はキム・ヨナだが…

もっとも、平昌の最終点火者はかなり前から“フィギュア女王”キム・ヨナで濃厚だとされてきた。それは今も変わらない。

選手時代の実績(バンク―バー五輪・金、ソチ五輪・銀)はもちろん、招致段階ではブレゼンテーション、招致後は平昌五輪広報大使として尽力してきた最大の労者だけに、もっとも適任とも言えるだろう。

ただ、キム・ヨナ本人はこれまで「誰になるかわかりませんが、(最後のランナーになったら)個人的には、とても光栄なことです」と語るだけ。先月も専属モデルを務めるスポーツブランドの広告に登場しても、聖火の最終点火については言及しなかった。

(参考記事:【最新グラビア】韓国の“フィギュア女王”キム・ヨナ、大人の色気漂う美ボディを披露)

そうしたのらりくらりした態度の一方で最近は広告モデルを務めるスポンサー行事への参加が目立つことから、一部のネット市民たちに商業主義を鋭く指摘されたりもしたが、依然としてその人気は高い。

韓国の一般紙『韓国日報』も2月8日付けの報道として、「聖火点火の主人公は?平昌のアイコン、キム・ヨナが1位に」としてキム・ヨナが最有力候補であるとした。

過去には南北の共同点火があった!!

ただ、ここにきて新たな可能性が浮上した。北朝鮮の五輪参加により、「聖火の最終点火も南北になるのではないか?」という説である。

実際、北朝鮮が参加した2002年釜山アジア大会では、南北選手が最終点火者となった。韓国は1984年ロス五輪の男子柔道・金メダルのハ・ヒョンジュ、北朝鮮は1996年アトランタ五輪の女子柔道・金メダルのケ・スンヒが、“共同点火者”となった。

こうした前例もあることから、キム・ヨナと「北朝鮮の誰か?」という説があるのだ。

例えばフィギュアスケートペアに出場する北朝鮮のリョム・テオク、キム・ジュシクが新たな候補も浮上しているし、1964年インスブルック冬季五輪で、女子スピードスケート3000mで銀メダルに輝いたハン・ピルファかもしれないという説もある。ハン・ピルファは北朝鮮初の冬季五輪メダリストだ。

さらに言うと、キム・ヨナが聖火台まで運び、最後に点火するのは1991年卓球世界選手権で女子ダブルス優勝を飾った南北合同チームの元祖、ヒョン・ジョンファ(韓国)&リ・プニ(北朝鮮)ぺアという説もある。

また、そもそもキム・ヨナではなく、今回の平昌五輪で合同チームを組むことになった女子アイスホッケーの選手たちだという説もある。

果たして平昌五輪の聖火台に火をともすのは誰になるのか。

ちなみに韓国は聖火へのこだわりが強く、点火がらみでハプニングが多い。1988年ソウル五輪では手違いでハトが丸焦げになったしまったこともあった。平昌では鮮やかに決めて、世界にその始まりを華々しく知らせたいものだ。

(参考記事:過去には聖火点火で“ハトまる焦げ”ハプニングも…平昌五輪の点火方式は?)

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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