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「世界の魅力的な国民2位は日本。1位は…」今、問われる韓国の“市民意識”

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:ロイター/アフロ)

日本に続いて“18歳選挙権”の議論が高まっている韓国。2月15日には、「18歳選挙権国民連帯」が国会の記者会見場で「2月の国会で確定後、即刻施行せよ」と訴えた。

韓国青少年財団らの調査結果によると、18歳選挙権に賛成する若者は85.5%に上るという。

賛成の理由は「政治的判断が可能だから」(57.1%)が最も高い。

完全な結果論になるが、朴槿恵大統領が当選した2012年の大統領選挙では、若者たちの主張のほうが正しかったといわざる得ない。というのも、20代の支持率は朴槿恵33.7%―文在寅65.8%、30代も朴槿恵33.1%―文在寅66.5%と、朴槿恵否定派が圧倒的だったからだ。

そんな結果もあってか、韓国青少年財団らの調査では「政治圏が青少年の立場を代弁できない」という意見も多かったという。

自国を“ヘル(地獄)朝鮮”などと揶揄する韓国の若者たちは、「生まれ変わるとしたら、今の国の国民に生まれたいか」という質問に対して否定だ。「政府不信」「社会の不正腐敗」が主な原因として挙がっている。

(参考記事:「再び韓国に生まれたくない…」4カ国アンケートで判明した韓国人の憂鬱

実際に、韓国の「腐敗認識指数」は上がっており、去る1月25日に国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルが発表した順位を見ると、176カ国中52位。昨年よりも15段階も下がってしまっている。今回の調査期間に、朴槿恵大統領と親友・崔順実の政治スキャンダルは含まれていないため、来年はさらに下がること必至だろう。

若者たちの政治参加が求められている一方で、より高い市民意識や国民性が求められている。

例えば、アメリカ調査会社GfKが発表する「国家ブランド指数」だ。イメージの良い国が上位にランクインするのだが、韓国の順位は50カ国中、27位。「輸出」部門で13位などと健闘している分野もあるものの、「国民」部門が低評価だったらしい。

(参考記事:ドイツや日本と対照的…韓国が「国家ブランド指数」で伸び悩むワケ

そもそも市民教育の水準が低いという点は、韓国でも問題視されてきた。

韓国教育課程評価院の資料によると、「学校で社会生活に必要な秩序と規則を学び実践するか」という質問に「そうだ」と答えた韓国の小学生は、全体の18.4%しかいなかったとう。イギリス(54.3%)やフランス(63%)の3分の1という数字だ。

同じく、「学校で他人を理解して尊重することを学び実践する」という小学生も、韓国では15.9%しかいなかった。イギリスやフランスが60%だったことと比べると、かなり開きがある悲惨な数字だ。

成熟した市民意識が求められているわけだが、そんな韓国人が手本や模範にする国民はどこの国なのだろうか。

『中央日報』と慶煕大学が共同調査した「韓国国民が選ぶ最も“魅力的な国民”」というアンケート結果がわかりやすい。

1位に選ばれたのはドイツ(23.6%)だ。「成熟した市民意識」や「寛容の精神」が選ばれた理由だという。

韓国のドイツ好きは知る人ぞ知るところかもしれない。「ヒットラー以後70年…ドイツ人はどうやって最も魅力的な国民になったのか」(『中央日報』)といった記事が出るだけでなく、イギリスBBCの国家イメージアンケートでも、韓国人のドイツ否定派はわずか8%で、肯定派が76%にも上っている。

ドイツ人はまったく逆という“片想い”が起きている点はなんとも言えないが、韓国がドイツの国民性を評価していることだけは間違いないだろう。

(参考記事:韓国否定派が65%!! なぜドイツは世界一の“嫌韓国家”なのか

ちなみに、韓国人が魅力的と感じる国民で2位に選ばれたのは、日本(13.3%)だった。意外な印象もあるが、日本国民の「配慮の文化」「徹底した順法意識」が魅力的に映るということを、多くの友人たちも言っていた。

以下、3位スイス(10.9%)、4位アメリカ(8.5%)、5位シンガポール(7.4%)となっている。

いずれにしても18歳選挙権の議論にともない、市民意識の向上が求められている韓国社会。今後の動向を見守りたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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