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大量わさび寿司事件を“わさびテロ”と皮肉る韓国でも増加する、外国人旅行者の意外なトラブルとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:アフロ)

大阪の寿司屋「市場すし」難波店で、店員が韓国人観光客に大量のわさびを盛る嫌がらせをして問題になっている。“わさびテロ”の被害に遭った韓国人旅行客はその事実を写真とともにネット掲示板に紹介し、「鯛の寿司のわさびが見えますか」「寿司はわさびを取りながら食べなくてはなりません…」などと書き込んだ。

この騒動に、韓国メディアも敏感に反応。「“お前は韓国人か?”日本の寿司屋でわさびテロ事件」(『国民日報』)、「大阪の寿司屋、外国人にわさびをたっぷり…“わさびテロ”騒動」(『聨合ニュース』)、「日本・大阪の寿司屋“嫌韓”騒動…“韓国人旅行客の寿司にわさびテロ”」(『ソウル新聞』)などと一斉に報じた。

「市場すし」のホームページにはすでに謝罪文が掲載されたが、「海外から来られたお客様からガリやわさびの増量の要望が非常に多いため事前確認なしにサービスとして提供したことが、わさびなどが苦手なお客様に対して不愉快な思いをさせてしまう結果となってしまいました」と、どこか言い訳がましい。

近年、韓国では空前の“日本式ラーメン”ブームで、日本の食文化を好む層が急激に増えているが、謝罪文を見た韓国ネット民たちも「日本が好きだったのにさすがに反感が生まれた」「これが日本の“おもてなし”か」などと書き込んでおり、騒動はますます過熱しそうだ。

以前、旅行会社エクスペディアが韓国人に人気の観光地トップ10を発表していたように、日本は韓国人にとって大人気の観光地。その中でも大阪は意外な順位で、その大阪で起きた外国人に対する嫌がらせだっただけに、ショックを隠しきれない様子だ。

そもそも韓国人の海外旅行者は年々増加傾向にあり、“年間2000万人出国時代”などとも呼ばれている。しかしその数に比例するかのように、韓国人旅行客が海外で事件や事故、トラブルが増加しているらしい。

(参考記事:“2000万人出国時代”に入った韓国で問題視されている海外旅行者増加の明と暗とは?

一方で、韓国を訪れる外国人観光客も増えている。2012年に初めて1000万人を突破したことを皮切りに、2014年には1420万人に。2015年こそ中東呼吸器症候群(MERS)の影響で微減したが、それでも1323万人となっている。そして、訪韓外国人が韓国でトラブルに巻き込まれるケースも珍しくない。

代表的なのは、タクシー料金のボッタクリだ。去る8月もカナダ人観光客がタクシー料金を大幅に上乗せされ、相場の3倍もの料金を払わせられる事件があった。

(参考記事:料金ボッタクリだけじゃない!! 韓国でタクシーに乗ってはいけない3つの理由

さらに意外なトラブルとして問題視されているのは、韓国を訪れる女性観光客のトラブルの増加だろう。

オーストラリアでは、これまで「女性観光客にとって危ない国」ランキングのトップはインドだったが、最近は韓国がトップに挙がるようになってしまった。

(参考記事:外国人女性の被害続々…“女性観光客にとって危ない国”に落ちた韓国

訪問する外国人が増えている日韓。悪意ある一部の個人の嫌がらせで、海外からの旅行客が離れてしまうのは不本意なことだろう。今こそ“おもてなし”の精神が求められているのではないだろうか。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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