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3年ぶりの韓国凱旋試合で苦戦中のイ・ボミ。彼女に今、起きていることとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
清水重憲キャディとともに韓国で戦うイ・ボミ(写真提供:KLPGA)

KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)ツアーの『BMWレディース・チャンピオンシップ』に出場しているイ・ボミ。約3年ぶりの韓国凱旋ということもあって地元メディアの注目を集めている。連日のようにそのプレー模様が紹介されているほどだ。

(参考記事:韓国カメラマン急接近!! 3年ぶり母国凱旋のイ・ボミを追え!!)

だが、なかなか期待通りの結果を残せていない。初日は68位、昨日二日目は30位に終わった。順位こそ上げているものの、現地で取材している韓国のゴルフ記者によると、「動きに疲れを感じる」という。

全米女子オープン期間中は、食中毒に苦しんでいたことなど韓国メディアに語られた知られざる舞台裏もあった。イ・ボミも大会初日を終えたあとで「疲労を乗り越えたい。自分では調子が良いと思いたかったけど、なかなか上手くいかない」と語っていたが、やはり全米女子オープンを終えて間もない中でのタイトなスケジュールのせいで、疲労がピークに達しているのだろうか。

実際、イ・ボミと同じく全米女子オープンに出場した パク・ソンヒョンも調子を崩している。全米女子オープンでは3位に終わったものの一時は首位にも立つ快進撃を見せたパク・ソンヒョンは、イ・ボミと並ぶ今回の目玉で優勝候補の一角だったが、2日目12番ホールを終えて途中棄権。コンディション不良がその理由だが、今季KLPGAですでに4勝を挙げ、棄権はおろか予選落ちもしたことがない彼女の離脱は、過密日程の過酷さを物語ってくれる。

開幕前は「韓国ツアークイーン対日本ツアークイーン」(『東亜日報』)など、日韓女子ツアーの賞金1位同士の激突に注目が集まったが、その期待が早くも泡となって消えてしまった格好だ。

もっとも、『BMWレディース・チャンピオンシップ』は昨年も全米女子オープン出場組には鬼門だった。昨年の全米女子オープンを制したチョン・インジも、帰国後すぐに『BMWレディース・チャンピオンシップ』に出場し、最終日に体調不良を理由に棄権している。

また、昨年はキム・ハヌルが日本から参戦しているが、予選落ちしている。イ・ボミとキム・ハヌルが同じ年の1988年生まれで同じ大学出身という親しい間柄であることは有名だが、まさか1年後にイ・ボミが同じ大会で苦戦することになるとは思わなかった。大会に臨む状況は異なるものの、こういったところにも因縁めいたふたりの関係を感じてしまう。

(参考記事:日本で火花散らすイ・ボミとキム・ハヌルの“ゴルフ好敵手物語”)

ただ、それだけ韓国女子ツアーの競争が激しくレベルが高い証拠でもあると言えよう。

初日は63打で3位と好位置に立ったアン・シネも、2日目は73打を叩き、12位タイに順位を落としている。アン・シネは今大会、涙をこらえてとある誓いを語り、自身に寄せられる誤解についても明言しているが、そんな彼女も激しくスコアを落とすほど風が強くコースコンディションも良くないらしい。厳しい環境で熾烈な競争が繰り広げられている。

(参考記事:韓国女子ゴルフ界の“超絶セクシークイーン”アン・シネが涙をこらえて“誓い”を語った理由)

それに今回の『BMWレディース・チャンピオンシップ』は文字通り、多士済々が一堂に集結している。KLPGA最大の賞金スケールということもあって、“KLPGA広報モデル”たちも全員揃い踏みだ。

実力、人気、ルックスに好感度も備えている選手たちが選ばれる“KLPGA広報モデル”はツアーの顔とも言える。過去にはイ・ボミもKLPGA広報モデルに選ばれているが、2日目を終えて首位に立つのは今年のKLPGA広報モデルに選ばれているコ・ジニョンでもある。

イ・ボミもキム・ハヌルも選ばれていた、モデル顔負けの韓国“KLPGA広報モデル”たちがスゴいヤフーニュース個人 2016/05/20

そんな後輩たちを追いかける立場に回って本日3日目を迎えるイ・ボミ。果たして今日はどれだけスコアを伸ばして順位を上げられるだろうか。韓国から朗報が届くことを期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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