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もはや魔の呪縛!! K-POPガールズグループが逃れられない“7年目の呪い”ふたたび!!

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国はもちろん、日本でも人気の4Minuteも“7年目の呪い”の犠牲に……(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

かつて日本でも人気を誇った5人組のK-POPガールズグループの“4Minute”に解散の可能性があるという。2009年に韓国でデビューし、2010年には日本にも進出。コンサートでいきなり1万人以上の観客動員に成功するなど、かなりの人気を誇ったが、所属するキューブ・エンターテインメントが6月13日、「ヒョナとは再契約を交わしたが、残るメンバーとは再契約するかどうか議論を重ねている」としたことで、グループ消滅・解散の可能性が一気に高まった。

そもそもヒョナはグループの中でも際立っていた存在。そのセクシーさはライバルであり同僚とも言えるガールズアイドルたちも認めるほど。先日も韓国のバラエティ番組で「同業者の女性アイドルの中でスタイル抜群のトップ3を選ぶなら?」というアンケート調査で真っ先にその名が上げられたのがヒョナだったという。

(参考記事:韓国女性アイドル界のセクシーボディTOP3は誰?

そのヒョナを残し、ほかのメンバーとは再契約を議論中と所属事務所が発表したことにより、4minute解散説が急浮上したわけだが、改めて感じてしまうのはK-POPガールズグループの存続の難しさである。

というのも、例えばKARAは2014年にニコルと知英が脱退。少女時代は2014年9月にメンバーのジェシカが脱退。最近では2NE1の最年少メンバーMINZY(ミンジ)がグループを脱退した。4Minuteの場合はヒョナだけ再契約を交わしたという形だが、いずれのガールズグループもデビュー7年目にグループ存続の危機に立っていることもあって、韓国では“7年目の呪い”なる言葉が囁かれているほどなのだ。

なぜ、ガールズグループに“7年目の呪い”が起きるのか。とある韓国メディアは、「デビュー7年目となると次第にメンバーのソロ活動も出てきて、人気の高低もはっきりする。その頃とメンバーと所属事務所の再契約交渉が重なって離脱や分裂が起きる」としている。

実際、ヒョナも4minuteとしての活動だけではなくソロやユニットとしても活躍。世界的ヒットを記録した『江南スタイル』のミュージックビデオにも出演し、「韓国のセクシーアイドル=ヒョナがスゴイ!!」とされてきた。それだけに今回はヒョナだけが所属事務所から再契約を打診され、ほかのメンバーたちは打診されていないとも解釈できるかもしれないが、いずれにしても4minuteも“7年目の呪い”から逃れられなかったわけだ。

個人的にはどういう結果に終わっても惜しいと言わざるを得ない。何しろ彼女たちは苦労に苦労を重ねてデビューの座を勝ち取ったのだ。というのも、韓国にはガールズグループとしてデビューを夢見る練習生が1000人以上いると言われており、その下積み生活も過酷。とある記事では合宿所での不文律や食生活から生理のことまで監視される信じられない日々について明らかになったこともあるが、そうした下積みを経てデビューしたのに7年で解散するのはもったいないと思ってしまう。

(参考記事:デビューできずに10年…韓国のアイドル練習生たちの厳しすぎる現実

しかも、彼女たちはデビューしてからも過酷なサバイバル競争を勝ち抜いてきたはずだ。韓国芸能界では毎年のように年間50組以上のアイドルグループがデビューする。2016年もすでに男女合わせて30組がデビューしているが、そのすべてが成功しているわけではない。いや、むしろ失敗している。とある新聞社が調べた統計によると、デビューしても3分2のグループが活動休止したり、これといったスポットライトを浴びることなく消えていっているというのだ。

(参考記事:成功できるのは一握り!! K-POPアイドルグループ凄絶サバイバル競争の実態

デビュー前から過酷な下積み生活に耐え続け、デビュー後も壮絶なサバイバル競争に身を投じなければならないK-POPガールズグループ。しかも、近年はその競争に勝ち抜こうと、各グループのセクシー路線が過熱。「もはや度を超えた露出さだ」と指摘もされている。そんな苦労を重ねきたはずなのに、“7年目の呪い”には勝てず、分裂・消滅してしまう現実。メンバーや所属事務所にも事情や言い分があるのだろうが、もっとも寂しく残念がっているのはファンだろう。

実際、メンバーの脱退で人気に拍車がかかったガールズグループというものは皆無に近い。果たして“7年目の呪い”はK-POPガールズグループたちの宿命なのだろうか。K-POP界がさらなる再興を望むなら、その“呪い”を吹き飛ばすシステムや環境作りが急務のような気がする。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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