Yahoo!ニュース

美しくセクシーなマッスル美女に沸く韓国ダイエット熱。狙うは第三次韓流ブーム!?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓流フィットネスは世界でもブームを作れるか(写真提供:SPOMAX)

着実に迫ってくる夏の到来を目の前にした今、ちまたではダイエットに関する広告や雑誌の特集を目にする機会が多くなる今日この頃だが、韓国でもダイエット熱が高まっている。

もともと韓国は健康志向が高く、肉体美への憧憬心が強いことで知られるお国柄。数年前にはルックスも抜群な芸能人たちが鍛えた筋肉美を自慢する“モムチャン(「ナイスバディ」という意味の造語)”ブームが起き、食事や運動で理想の健康美を目指す“ウェルビーイング”ブームもあった。近年はマッスル美女たちが牽引する“フィットネス”ブームで賑わっている。

(参考記事:整形よりも肉体改造!? “美しすぎるフィットネス・タレント”たちが韓国で大人気のワケ

韓国メディアによると昨今の国内ダイエット関連産業の市場規模は約2兆ウォン(約2000億円)にもなるという。ロッテ、LG生活健康、CJ第一製糖、東西食品など大企業もダイエット市場に大きな関心を示しており、その規模は年々高まるばかりらしい。

6月9日からはそんな韓国のダイエット熱を物語るイベントがソウル市内の国際展示場であるCOEXで行われている。その名も『2016世界ダイエット・エクスポ』。国内外200数社のダイエット関連企業が300以上のブースを出展し、運動器具や健康食品、サプリメントに体脂肪測定器具、フィットネス・トレーニングやティラピスなど、ダイエットに関する最新情報やノウハウなどに接することができる一大イベントだ。

今年は“奇跡のDカップ女神ボディ”ユ・スンオクが広報大使を務め、昨日6月10日には彼女が教えるフィットネス・レッスンも行なわれた。

そんな『世界ダイエット・エクスポ』の大きな目玉になっているのが、“コリア・フィットネスグランプリ”だ。今年5月に行われた『WBFF ASIA CHAMPIONSHIP 2016』でも、韓国プロ野球のチアリーダー兼フィットネストレーナーの人妻チアドル”ペ・スヒョンがセクシーなのに健康的な肉体美を惜しげもなく披露して話題になったが、そのペ・スヒョンも凌ぐ肉体美を披露した“マッスル美女”もいたほどたったという。

こうしたマッスル美女コンテストを単なるホディビルダーたちの筋肉自慢と決めつけることはできない。というのも、韓国では近年『マッスルマニア』など、女性たちのムダのない筋肉とグラマラスな胸元や脚線美を競う“マッスル美女”コンテストが盛んでその入賞者たちが人気者になっている。

例えば『2015 マッスルマニア 世界大会選抜戦』で受賞歴もあるレイヤンは“脱アジア級スタイル”という枕詞とともに人気者になっているし、NABBA(全米アマチュアボディビルディング協会)の韓国支社主催大会などで数々の受賞歴を誇るシム・ウトゥクは“国宝級ヒップラインのビキニ女神”の持ち主と言われ、そのダイエット・ノウハウを綴った著書も発表しているほど。地方の無名スポーツトレーナーに過ぎなかった“完璧ボディのナチュラルビューティー”イェ・ジョンファは“フィットネス・タレント”という新しいポジションを確立されている。

つまり、韓国ではダイエットがエンターテインメントになり、その伝道師であるスポーツトレーナーたちが“スター”として、老若男女たちの“憧れの的”にもなっているわけだ。前述のユ・スンオクなどはその最たる例で、ダイエットやフィットネス関連の行事だけではなく、ファッションショーや有名雑誌の受賞式にも招待され話題になるほどなのだ。ユ・スンオクもシースルードレスなどを着用して話題作りに勤しんでいることもあるが、ここまでくるともはや“時代のアイコン”とも言えるだろう。

(参考記事:特撮15連発!! ユ・スンオクらセクシー女神が集結した「MAXIM K-Model Awards」

興味深いのは、そうした韓国のダイエット&フィットネス熱を自国だけではなく海外にも伝播しようという動きがあることだ。

それが7月2日にソウルで開催される『HTVコリアフィットネススター・チャンピオンシップ大会』。マッスルスター(ボディビルダー)、マッスルクイーン、フィジークスター(ビーチマン)、モデルスター(スポーツモデル)、ビキニスター(ビーチウーマン)、ポールスター(ポールダンス)の6部門で、その健康美とボディラインを競い合うという。コンテストを通じて、「大韓民国のフィットネス・ファッショントレンドを確認し、それを世界に発信したい」としている。

そうした取り組みに韓国メディアも注目しており、『デジタルタイムス』などは「韓流フィットネスの始まり!! マッスル美女熱風を世界に知らせよう」と報じている。ダイエット&フィットネスでも、韓流ブームを起こそうとしているわけである。

ドラマから始まり、K-POPやアイドルへと続いた韓流ブーム。スポーツ界ではゴルフで韓国勢の席巻が目立つが、はたしてダイエット&フィットネスでも韓流ブームは起きるだろうか。

過去にも韓流の新機軸を打ち出そうと、韓国ミュージカルを“Kミュージカル”、韓国文学を“K-文学”“K-BOOK”と呼んで韓国の業界が盛り上がった時期もあったが、それらは思いのほか浸透はしなかったと記憶している。

日本では過去に“モムチャン・アジュンマ”ことチョン・ダヨンが“モムチャン・ダイエット”を大流行させたが、それ以降は特に韓流ダイエット&フィットネスがヒットしていない。期待ばかりが大きくなり過ぎて、“韓流ダイエット&韓流フィットネス”が同じ轍を踏まなければいいのだが……。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

慎武宏の最近の記事