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2002年W杯から14年。韓国の“四強戦士”たちは今、どこで何をしているのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
2002年ワールドカップ準決勝ドイツ戦の韓国代表先発メンバー。(写真:ロイター/アフロ)

今から14年前の今日、つまり2002年5月31日と聞いて連想するのは何か。いろいろあるだろうが、サッカーの2002年FIFAワールドカップ開幕を思い出す人もいるではないだろうか。日本と韓国が共同開催したワールドカップが開幕したのは、まさしく14年の今日だった。

その2002年ワールドカップで韓国代表はベスト4進出を成し遂げ、その快挙を達成した選手たちは“四強戦士”と呼ばれているのだが、彼は今、どこで何をしているのだろうか。

いろいろと調べてみたが、エントリーメンバー23名中、すでに22名が引退して第2の人生を歩んでいる。14年の歳月が過ぎたのだから、それも当然かもしれない。

(参考記事:写真公開!指導者、タレント、財団理事長まで!! W杯“四強戦士”23名の近況完全網羅

その多くはコーチや監督など指導者になっている者が多い。以前、本欄でも紹介したが史上最年少・最速でKリーグ100勝を達成したチェ・ヨンス、Jリーグ・サガン鳥栖での実績を引っ提げて現在は蔚山現代の監督を務めるユン・ジョンファンなどKリーグで活躍している者も多いが、アマチュア・レベルの大学サッカー界で指導者生活を送っている者もいる。

かつてJリーグでも活躍したユ・サンチョル、ベルギーのアンデルレヒトやイングランド・プレミアリーグのレディンクなどでプレーしたソル・ギヒョンがそうだ。ユ・サンチョルは蔚山(ウルサン)大学で、ソル・ギヒョンは成均館(ソンギュングァン)大学で、サッカー部の指導をしている。

韓国の大学サッカーといえば、部員全員が合宿所生活を送り、休みなく毎日朝から晩まで団体行動で練習や試合を繰り返しているイメージがあるが、ソル・ギヒョンは「団体練習時間は1日1時間10分以内、あとは各自が足りないところを練習すること。週末は無条件で休むこと」をモットーにしているらしい。“四強戦士”が韓国の大学サッカー界に新風を吹き込んでいるわけだ。

もちろん、指導者ではない道を選んだ者もいる。代表的なのがパク・チソンだろう。2014年5月に現役引退を発表したパク・チソンは現在、ロンドンに生活拠点を置きながら、さまざまな活動を行なっている。人気アナウンサーと結婚もして娘もいる。今後はFIFAマスターコースも履修する予定らしい。

あのパク・チソンは今、どこで何をしているのか ヤフーニュース個人 2016/03/10

最近はこのパク・チソン以上にメディア露出が多い元“四強戦士”がいる。日本のJリーグでも活躍したアン・ジョンファンだ。イ・ヨンピョ、ソン・ジョングら“四強戦士”と同じく、アン・ジョンファンも引退後はサッカー解説者の道を選んでいるが、彼の活躍の場はサッカー中継だけではない。

バラエティ番組に引っ張りダコで、2015年にはリアルバラエティ『青春FCハングリーイレブン』でKリーガーを目指す元アマチュア選手たちを叱咤激励する監督を務めて巧みな話術も披露。さらに人気が高まり、今年からはついに人気料理バラエティ『冷蔵庫をお願い』のメインMCに抜擢されるまでになった。ヒュンダイ自動車やロッテ・フードのテレビCMにも出演。今やサッカー解説者というよりも、完全にタレントになっている。

(参考記事:目指すは“韓国の松木安太郎”!? タレント転身遂げたアン・ジョンファン

もっとも、サッカーに奉仕したいという気持ちは強いようで、最近もパク・チソンとともにタッグを組むことになった。韓国は来年2017年にU-20ワールドカップを開催するが、パク・チソンとアン・ジョンファンは同大会の広報大使に任命されている。

来年のU-20ワールドカップに出場できるのは、1997年生まれ以降の世代。2002年ワールドカップ時は5歳だったことを思うと、時の流れを感じずにはない。昨年はチャ・ドゥリ、イ・チョンスが引退し、今年4月には京都サンガとの契約が満了したキム・ナミルも引退。気がつくと“四強戦士”で今も現役なのは、ヒョン・ヨンミンだけになった。もはや韓国の若い世代の中には、2002年の熱狂を記憶していない者もいる。

ただ、韓国では今でもしばし2002年の熱狂が話題に上がる。最近は一般人ながらセクシーな姿で韓国代表を応援し、“フォトジェニック”として世界中のメディアから取り上げられ、「ミス・ワールドカップ」「元祖・応援ビーナス」と言われたミナが、ふたたび韓国のテレビで出演。新路線で再起を図っているらしい。

(参考記事:美魔女路線で再ブレイクを狙う!? 2002年ワールドカップの美しき“応援女神”の現在

再起という点で個人的に期待しているのは、ホン・ミョンボとファン・ソンホンというふたりの監督だ。2012年ロンドン五輪で韓国に初の銅メダルをもたらしながら、2014年ブラジル・ワールドカップの惨敗で批判の矢面に立たされたホン・ミョンボは中国リーグで再始動。2013年に浦項スティーラーズをKリーグ2冠に導いたファン・ソンホンは、契約満了により昨季限りで浦項を退団し、現在は充電期間を過ごしている。

四強戦士たちの兄貴分的存在で韓国サッカー界の2大スターであったふたりが、ふたたび最前線の舞台に帰ってくる日を期待せずにはいられない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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