Yahoo!ニュース

チケ難『エリザベート』主演の古川雄大が思い描く“死”、コンサートでは「間が怖い…」!?

島田薫フリーアナウンサー/リポーター
ミュージカルについて語る古川雄大さん(撮影:すべて島田薫)

 ミュージカル『テニスの王子様』で注目を集め、『エリザベート』では皇太子ルドルフ役から黄泉の帝王・トート役までを演じ、あっという間にミュージカル界のスターダムを駆け上がっていった古川雄大さん。映像作品でも数々の主演・出演を重ね、ファン層を広げています。そんな古川さんがミュージカルの舞台と並行してやりたいこととは。

―現在公演中の『エリザベート』で黄泉の帝王・トート役が絶賛されていますね。

 “トート”という役に出合ったことは何より大きいです。出合ったというか、憧れたのが始まり。このミュージカルは、僕の大きなターニングポイントなのです。

 2012年、24歳で『エリザベート』にルドルフ(オーストリア皇太子)役で出演した時、トート役にすごく魅了されました。当時はこの役を目指そうと考えていたわけではありませんでしたが、漠然と憧れて「いつかできたらいいな」という思いを心の片隅に置いていたのです。

 高校で軽音部に入って、ギターで曲作りをして歌っていたところから自己流でアーティストデビューしました。ミュージカルの世界に入って歌の違いに苦しんだこともありましたが、『エリザベート』に出合ってから本格的にレッスンを始め、この世界でやっていく覚悟ができました。

―実際に今、トートを演じている日々をどう感じていますか。

 すごく楽しいです。前回は初トートとあってそんな余裕はなかったので、今回はそこが一番大きな収穫です。多少ですが、余裕と自信がついたのだと思います。

 実は、自分が理想としていたものがすべてできているかと言われるとそうでない部分もあるのですが、作品としてはとても面白いトートができていると思います。

―どういうことですか。

 今の僕のトートは、人間っぽい。偽人化した部分に重きを置いているという感じです。トート=死が、シシィ(エリザベート)と恋に落ちたことによってどんどん狂ってしまう。人間に憧れるというか、絶対的な超越した力を持った者がすごくもろく見えたり、焦ったり、感情をより誇張したトートになりました。人間っぽい感情がむき出しになっている方が、話としては面白くなると思います。

 そうしないと、実際にトートが何を考えているのかお客さんには想像でしかないし、想像しても正解に辿り着けない。だからある程度伝えることで、より世界が色濃くなるのかなと考えています。

―古川さんの思い描く理想の“トート”とは?

 「死」です。「死」そのものを演じるというのをやってみたいと思っています。

 今は、自分が当初思っていたのとは違う「死」を作り上げていますが、これは年齢によるものだと思うんです。10年後のトートは全く違うものになるかもしれないし、過去に思っていたものとは違うトートが今はできている。でも多分、それが今の僕のMAXのトートです。だから、これから年を重ねていくうちにいろいろなトートになるだろうし、それが可能な役だと思います。

―『エリザベート』が終わった後は、ミュージカルコンサート『古川雄大 The Greatest Concert vol.2-A Musical Journey-』が行われますね。

 ミュージカルの曲だけを歌うコンサートは前回(vol.1)が初めてで、歌う楽しさを感じられました。同じ曲でも、お芝居としての表現とはちょっと違う感覚で楽しめると思います。

 自分で言うのも何ですが、前回が割とよかったんです(笑)。多くの人の意見を取り入れた構成で、精度の高いセットリストになりました。1部はトークを入れずに歌のみ、2部は空気が変わってポップな感じになって、そのバランスが唯一無二のものになったと思っています。

 テーマは「古川雄大の歴史」を辿った内容でしたが、今回もそれに匹敵する新たなものを作ろうとアイデアを出し合っているうちに、壮大な「ミュージカルの歴史を旅する」というテーマに行きつきました。ミュージカルの歴史を約100年分遡り、年代順に追っていく形です。曲は玄人向きかもしれませんが、その中でもキャッチーな曲や、どこかで聴いたことがあるような曲を選んでいるので、ミュージカルを知らなくても、僕のファンの方以外でも楽しめるものになっているはずです。

―そうなると、自分が演じたことのない作品もあるのですね。

 3割くらいは経験のある作品ですが、基本的には初めての曲ばかりです。年代順に集めたスゴさもありながら、難しいのはブロードウェイ(NY)の中にウエストエンド(ロンドン)の曲が入ると、雰囲気が変わる瞬間があるんです。流れはうまく繋いでいきますが、こんな曲もあるんだと新鮮な気持ちになってもらったり、熟知してくださっている方には、なるほどと思ってもらえるようなセットリストです。それぞれが違う目線で楽しんでもらえるのではないでしょうか。

 そして、今回は結構踊ります。元々ダンサーを目指していたので、そこも売りの一つになってくれたらという思いです。

―前回のコンサートから学んだことはありますか。

 トークを頑張ること(笑)。前回は基本的にテンパっていたのでそれが反省点ではあるんですけど、“間”が怖いんですよね。だからずっとしゃべってしまうんです。って、本気の反省をしちゃいましたが(笑)、日替わりでゲストの方がいらっしゃるので、もてなすホストとしては皆さんにフラットに楽しんでもらうためにトークを頑張らないと、という感じです。

―今回のゲストも多彩ですね。

 まず、大野拓朗さんとは『エリザベート』でルドルフ役、『ロミオ&ジュリエット』でロミオ役と同じ役を演じてきているので、絶対この作品のナンバーを歌うのがいいかなと思っています。

 平野綾さんは、『レディ・ベス』でご一緒した時、主役としてのパフォーマンスが素晴らしかったです。同い年で刺激をいただきましたが、『モーツァルト!』で僕が初めて帝国劇場で主演した時には妻役でたくさん助けてもらったので、お芝居を離れてコンサートという場でご一緒してみたいと思いました。

 昆夏美さんは2作品で共演しましたが、あまり一緒に歌ったことがないので、いつか一緒に歌いたいと思っていました。とても元気で歌声が素晴らしいので、普段からよく聴いています。

 上原理生さんとの共演は、『1789 -バスティーユの恋人たち-』しかなくてあまり知られていないですけど、楽屋がずっと一緒だったりして仲が良いんです。年齢は1歳しか変わらないですけど、理生くんとのトークが楽しみです。最もワチャワチャする回になるのではと思っています。

 りょんりょん(三浦涼介の愛称)には『1789…』や『エリザベート』の曲も望まれるだろうし、お客さんの期待に応えながら、楽しんで披露できたらという思いでいます。

 木下晴香さんには前回も出ていただきましたが、一緒にできる曲がたくさんあって時間が足りませんでした。だから今回はもっとやれたらと思っています。

 大ちゃん、渡辺大輔さんは一番仲が良い人です。『テニスの王子様』から15年の付き合いになるので、トーク部分が延長するのではないかと(笑)、その覚悟で来てください。

 明日海りおさんは、前回出ていただいた時に新たな発見があって、引き続きもっとお話しできたらいいなと思っています。

 今後もミュージカル作品で様々な役をやっていきたいので、並行してこのコンサート活動も続けていきたいという気持ちになっています。

―古川さんにとって、ミュージカルとは何でしょう。

 もっと頑張りたいものです。自分の目標は達成してきているけど、この世界には優れた人が大勢いて若手もどんどん出てきて、今盛り上がってきている。重厚感がある作品だけではなく、ポップなものも増えてきてスタイルも変わりつつある。いろいろな人が見やすくなっているので、時代の変化に対応しつつ、もっともっと頑張りたいなと思っています。

―次の目標は?

 新しいものと出合いたいです。具体的に言うと、ロングランになる作品の初演をやりたいという思いはあります。それは本当に出合いですし運だと思います。だから、良い作品・作曲家が合致して、本当に素敵な作品がロングランに繋がる。その第一歩を踏み出せるような役に出合いたいです。

■インタビュー後記

整った憂いのある表情に色気がまとわりつき、舞台上にいると手の届かない異空間を感じさせるのですが、目の前でゆっくりと語る古川雄大さんは素朴さにあふれています。雑談も含め、言葉の端々から地元や友人、これまでの人間関係など、一つひとつを大切にしていることがよく分かります。決して調子に乗らず堅実に歩む姿に背筋が伸びる思いでした。

■古川雄大(ふるかわ・ゆうた)

1987年7月9日、長野県生まれ。2007年に俳優デビューし、ミュージカル『テニスの王子様』で注目を集める。2012年『エリザベート』にルドルフ役で初出演。2013年『ロミオ&ジュリエット』、2015年『黒執事』で主演を務め、2018年『モーツァルト!』のタイトルロールで帝劇初主演を果たす。ミュージカルを中心に活動しながら、数々の映像作品にも出演を続ける。2019年に『エリザベート』で初めて黄泉の帝王・トート役を演じ、現在も1/31まで福岡県・博多座にて上演中。ミュージカルコンサート『古川雄大The Greatest Concert vol.2-A Musical Journey-』は、2/17~26まで東京・日本青年館ホールにて行われる。

フリーアナウンサー/リポーター

東京都出身。渋谷でエンタメに囲まれて育つ。大学卒業後、舞台芸術学院でミュージカルを学び、ジャズバレエ団、声優事務所の研究生などを経て情報番組のリポーターを始める。事件から芸能まで、走り続けて四半世紀以上。国内だけでなく、NYのブロードウェイや北朝鮮の芸能学校まで幅広く取材。TBS「モーニングEye」、テレビ朝日「スーパーモーニング」「ワイド!スクランブル」で専属リポーターを務めた後、現在はABC「newsおかえり」、中京テレビ「キャッチ!」などの番組で芸能情報を伝えている。

島田薫の最近の記事