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渡辺徹、芸人が凍りつく過酷ライブへの挑戦!妻・榊原郁恵に切り出した「別れよう」の一言

島田薫フリーアナウンサー/リポーター
ユーモアたっぷりにインタビューに答える渡辺徹さん(撮影:島田薫)

 2015年から始まった渡辺徹プロデュースお笑いライブ『徹☆座』シリーズ。俳優の渡辺徹さんが「自分がおもしろいと思う好きな人たちだけを集めて、一度に観たい」との思いから始めた一夜だけのぜいたくなお笑いライブだ。チケットは毎回3分で売り切れるほどの人気で、9月22日に行われる5回目は、中川家、サンドウィッチマン、ナイツ、友近、和牛らが出演し、無観客・生配信という新たな試みに挑む。さらに、ライブの裏方を妻の榊原郁恵さんが手伝うぜいたくさも。世間では“おしどり夫婦”と言われる2人のプライベートにも迫ってみた。

―お笑いで無観客配信はかなりの挑戦ですね。ウケているのかどうか、観客の反応が全く分からないですよね?

 もちろんいろいろ考えました。コロナで予定していた舞台が全て中止になり、コロナ憎しの気持ちではありました。それでも数百年続いてきた音楽、演劇などの文化の灯を消してはいけない、続いてきたのは需要があるからだ、人には不可欠なものだからだ、と信じてつないでいきたいという思いがあります。

 ただ、お客さんの中にはまだ来ることに不安を持っている人もいるだろうし、万が一のことも考えて、結果こうなりました。

 サンドウィッチマンも無観客は初めてだと言ってるし、皆もさすがに経験がないと思います。ひどいことをしてますよね(苦笑)。でもこれを苦肉の策だとは思われたくない。配信ならではのおもしろさを作り出したいんです。

 だからこれだけ悪条件なら、誰もいない客席に向かうのがやりづらいなら、さらにやりづらい悪条件を突きつけてやろうと計画してるんです。出演者からは「本当に『徹☆座』は緊張する」って言われますけど、人が緊張しているのを見るのが好きなんです。我々はそういう仕事なんですよ。ハッハッハッ。

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―そうそうたるメンバーが集まっていますが、皆さんとはどういうお付き合いなんですか?

 高いものをご馳走してます。なんて、そんなことはない、嘘、嘘。自分が大勢でご飯を食べるのが好きだから、それに付き合ってもらっています。

 皆忙しいから遅くならないように気を使ってるんだけど、サンドウィッチマンが翌日5時起きなので最初の10分だけ、と言ってたのが、気がついたら朝4時半までいたりして。

 飲みの席で頭角を現すのがナイツの塙や中川家のお兄ちゃん、剛とか。これがまたすごくて、皆からはその様子を配信したらどうかという話も出るくらいの内容です。そういう付き合いです。

 出演者同士は、お互いがお互いを認めている関係です。ライブではそれぞれのコーナーがしっかりあるから、出番に合わせて入ってくれればいいと言ってるのに、皆、開演前に入って、楽屋があるのにずっと舞台袖でほかの人のネタを見ている。

―皆さんのスケジュールを合わせるのも難しいですよね?

 友近ちゃんは当初はスケジュールの都合で出られなかったんだけど、2~3週間前に急に出られることになって「今からじゃ無理ですよね。でも、出してもらえませんか?」と連絡が来たの。もちろん「お願いします」なんだけど、チラシはすでに結構な量を刷っていたのを、友近ちゃんの名前を入れるのに作り直したから大損害で(笑)。でも、そうやって皆一生懸命出ようとしてくれるんです。

 実は、サンドウィッチマンが前から「一緒にコントをやりましょう」と言ってくれているんだけど、それは違うと思う。俺は芸人さんの芸をリスペクトしたいので、彼らの聖域に自分が入り込むつもりはない。そんなのは大間違い。ファンに対しても失礼だし、そこまで図に乗っちゃいけない。自分は企画・構成・進行役です。

 もともとは、俺が彼らと遊びたい、彼らのネタを見たい、から集まってもらっている。キャッチコピーに「一番笑いたいのは俺だ!」ってあるんですけど、そのとおりです。

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―『徹☆座』は裏方に榊原郁恵さんが入ってるそうですね。

 はい、楽屋で立ち働く楽屋番をやるんです。一応“楽屋番長”という肩書きがついています。スタッフや出演者の食事の手配から、ちょっとつまめるお菓子の用意。それも温かいものがいいとか、個包装にしようとか、自分であちこち電話したり買い物に行ったり、細かくやってます。

―本当に仲がいいですね。夫婦円満の秘訣は?

 仲良くないんですよ。昔の理想像を言うと、男は無口で、目で物を語るような高倉健さんのような人、女性はおとなしくて風が吹けばよろけるような、長めの髪がそよ風に吹かれているような人がいいと思っていました。ところがふたを開けてみれば、俺は頼まれもしないのにいつもしゃべってるし、妻はご存知のとおり非常に元気だしね。おしどり夫婦とか夫婦円満とか言われますけど、全くそんなことないです。付き合ってる頃からけんかばかりです。

 けんかの原因は、それがね…妻が言うにはいつも食べ物のことらしいです。まず結婚して初めてのけんかがウィンナーの色。ウィンナーといえば赤だと思ってたのにそれがなかなか出てこなくて、「もう家を出て行く」ってなったのが最初。

 あとは朝出かける時に「今夜はカレーね」って言ってたのに、帰ったら麻婆豆腐になってたりするわけ。「俺の口はカレーになってるのに気分で変えるなよ」とかね。

 一番最近のけんかはステイホーム中。近所のイタリアンでデリバリーができることを知って、「何にする?何にする?」と言いながら「ラザニア美味しそうだな、ペペロンチーノもいいね、皆でシェアしよう」といろいろ頼んだんです。さあ、届きました。妻が「私、ラザニアから」「じゃあ、僕はペペロンチーノから」と食べ始めたら、「これ美味しい、私ラザニアでいいわ」って言って一人で全部食べようとしたの。「お前、それは話が違うだろ!俺の口はラザニアを待ってるんだよ。皆でちょっとずつ分けようと言ったのに、おかしいじゃないか」とけんかになりまして。こんなことばかりやってます(笑)。

―でも離婚とか、まったくないですもんね。

 実は、俺から「別れよう」と言ったことがあります。妻は一回も言ってないけど。なんで言ったか?腹が立つから。

―理由は食べ物以外ですか?

 えっと…食べ物(笑)。妻は納豆が好きでね。僕は納豆で有名な茨城出身なんで、子供の頃から納豆を毎日のように食べていました。昔はにおいも強烈で、学校に行けば教室中納豆のにおいがしている環境だったんです。嫌いじゃないけど、「今さら納豆はいいよ」と思っていたのに、食卓に納豆ばかり出してきて、何にでも乗せてて、パスタにまで入れてきたのを見て、ふざけんなってなった。

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―いつも、どうやって仲直りするんですか?

 それが根性ないんですよ。一生口聞かないと決めたのに、次のご飯を食べたらしゃべっちゃう、へへ。妻のほうがもっと性格がカラッとしていて、一回バーンとやったらもう終わりなんで、それに助けられています。

 何より、こんなに長く一緒にいて未だに発見があるんです。今回のライブの楽屋番を担当していると言いましたが、榊原郁恵という人は「ホリプロタレントスカウトキャラバン」の第1回チャンピオンで、アイドル路線ど真ん中で、トップアイドルとしてマネジャーや付き人がいっぱい付いてやってきた人です。

 それが今、ライブの裏方を嬉々としてやっている。本当に生き生きとして、裏方制作会議にも参加して、燃えてるんです。そんな姿を見ると、本当にいつも新しい発見があるなと思います。

 けんかするのはお互いに興味がある証拠だし、未だに新しい発見ができるのは楽しいのかなと思ってます。

■『徹☆座5』渡辺徹プロデュースお笑いライブ2020

渡辺徹が大好きな芸人さんだけを集めて贈る一夜限りのお笑いライブ。出演は渡辺徹、中川家、サンドウィッチマン、ナイツ、友近、U字工事、和牛、なすなかにし、カミナリ、TKO木本武宏。今回は無観客・生配信で開催。9月22日16時から。23日正午までアーカイブあり。公式「徹☆座5」【Twitter】https://twitter.com/tohruza_kouen

【インタビュー後記】

 渡辺徹さん行きつけの喫茶店で、スイーツを食べながらのインタビューとなりました。本当に美味しそうに食べるその姿に釘付け。失礼ながら小声で「かわいい」とつぶやいていました。どんな質問にも具体性を持って広げて答えてくれます。郁恵さんへの愛情も端々に感じられ、うらやましい限り。同じ空間にいる間、気がつけばずっと笑っていました。芸人さんから人気というのも納得です。

■渡辺徹(わたなべ・とおる)

1961年5月12日生まれ。茨城県出身。1980年に“演劇界の東大”と言われる文学座研究所に入所。1981年『太陽にほえろ!』ラガー刑事役でデビュー。文学座座員となり、俳優・歌手・司会者として活躍。2020年4月からブログを始める。俳優部門1位になるなど人気となっている。

フリーアナウンサー/リポーター

東京都出身。渋谷でエンタメに囲まれて育つ。大学卒業後、舞台芸術学院でミュージカルを学び、ジャズバレエ団、声優事務所の研究生などを経て情報番組のリポーターを始める。事件から芸能まで、走り続けて四半世紀以上。国内だけでなく、NYのブロードウェイや北朝鮮の芸能学校まで幅広く取材。TBS「モーニングEye」、テレビ朝日「スーパーモーニング」「ワイド!スクランブル」で専属リポーターを務めた後、現在はABC「newsおかえり」、中京テレビ「キャッチ!」などの番組で芸能情報を伝えている。

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