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みんながハマった初代プレステの名作5選 別売りデバイスまでも品切れの事態も

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
初代プレイステーション本体(※筆者撮影。以下同)

1994年12月3日にSCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント:現SIE)が発売し、世界累計で1億240万台を出荷(※台数は「CESAゲーム白書」より引用)した「PS」ことプレイステーション。

同社が家庭用ゲーム機市場に参入したのはPSが初めてだったが、あまたの競合機種が存在した「次世代機」と呼ばれた時代のシェア争いを制し、いきなりの大ヒットを飛ばした。その成功の要因は、多角形をつなぐことでより滑らかな3DCGが描ける、ポリゴンが使用できるハード性能の高さに加え、ゲーム史に残る数々の名作が誕生したからにほかならない。

以下、現在までに発売された3000を優に超えるPS用ソフトの中から、ゲーム史上に残る珠玉の5タイトルをご紹介する。

1:どこでもいっしょ(SCE/1999年)

トロ、リッキー、ピエールなど、ポケピ(ポケットピープル)と呼ばれる可愛いキャラクターたちに新しい言葉を教えたり、しりとりやクイズで遊んだり、絵日記を書かせたりしてコミュニケーションを取りながら遊ぶ作品。後にポケピたちは、フジテレビの朝の情報番組「めざましテレビ」に登場したことでも有名になった。

本作は、PS本体に別売りの携帯型デバイス「ポケットステーション」を接続してデータを読み込むと、ポケットステーション内にもポケピたちが登場して、外出先でもゲームが遊べるようになる。文字どおり、どこでも一緒に楽しめる画期的なアイデアを実現した点も特筆に値する。

ちなみに、本作を遊ぶためにはポケットステーションが必須となるため、本作の発売後は各地でポケットステーションの品切れが続出する事態になったと記憶している。筆者も当時、別のゲームを遊ぶためにポケットステーションをあちこちの店に出掛けて探していたが、いつ行っても品切れで泣く泣く購入を断念した思い出がある。

「CESAゲーム白書」によると、本作は101万本を売り上げる大ヒットとなった。2000年には、本作の追加ディスクにあたる「こねこといっしょ」が、2001年には携帯電話と接続して遊べる「iモードもいっしょ」も発売されるなど、時代の最先端を走るシリーズでもあった。

「どこでもいっしょ」のゲーム画面
「どこでもいっしょ」のゲーム画面

2:パラッパラッパー(SCE/1996年)

現在でもアーケード(ゲームセンター)やスマホ用アプリとして数多くのタイトルが登場している音楽、またはリズムアクションゲームの始祖にあたる作品。148万本を売り上げ(※本数は「CESAゲーム白書」より。以下同)、2017年にはPS4用ソフトとしてリマスター版も登場した。

開発したのは、当時CBSソニー所属でPSY・S(サイズ)のメンバーだったアーティストの松浦雅也氏。主人公のパラッパをはじめ、ガールフレンドのサニーちゃん、空手道場のタマネギ先生などの可愛らしいキャラクターをデザインしたのは、有名イラストレーターのロドニー・グリーンブラット氏だ。

本作の白眉は、何といってもノリノリで名曲ぞろいのラップを聴きながら、お手本に従ってボタンを入力する面白さを世に広めたことに尽きる。さらに本作のすごいところは、アドリブで演奏しても工夫次第で高得点が叩き出せる、画期的なアイデアを導入していたこと。ラップの即興パフォーマンスをゲーム化した、その面白さは今もまったく色あせない。

成績次第で、登場キャラクターの表情やアニメーションが変化する演出も実に楽しい。最終ステージでは主人公のパラッパをはじめ、途中のステージで登場したキャラクターたちがステージ上に集結してライブを披露するストーリーも、これまた見事な演出だった。

「パラッパラッパー」のゲーム画面
「パラッパラッパー」のゲーム画面

3:バイオハザード(カプコン/1996年)

現在でもシリーズ作品が発売され、世界中で人気を博しているホラーアクションアドベンチャーゲームの第1弾。ゾンビをはじめ、不気味な敵が巣食う洋館が舞台で、まるでホラー映画の主人公になったかのような恐怖感を体験できることで人気を集め、111万本のセールスを記録した。

ただでさえ気味の悪い敵キャラたちが、ドアを開いた直後にいきなり襲い掛かってきたり、うめき声や足音を立てながら迫ってきたりするスリルは、一度体験したら容易に忘れることはできない。とりわけ、長い廊下を移動中に敵の犬が窓ガラスを割り、外から突然侵入するシーンはあまりにも有名だ。

プレイデータをセーブする際に使用するインクリボンや銃弾など、一部のアイテムは出現場所と個数があらかじめ決まっているので、いかに節約しながらゲームを進めるかも攻略上の重要なポイント。もし敵と交戦中に銃弾が尽きた場合は、さらなる恐怖と絶望感に苛まれることになる。

また本作は、方向キーの上を押すと前進、下を押すと後退、右を押すと右回転(※「右に移動」ではないのがミソ)、左を押すと左回転という独特の操作システムゆえ、慣れるまでの間は思うように主人公を動かせないのも、スリル感を高める大きな要因となっていた。

「バイオハザード」のゲーム画面
「バイオハザード」のゲーム画面

4:ファイナルファンタジーVII(スクウェア/1997年)

1987年にファミリーコンピュータ用ソフトして第1弾が登場した、RPG(ロールプレイングゲーム)の超人気シリーズ。一昨年にはPS4用ソフトとしてリメイク版が発売されたのも記憶に新しい。

新ハードの性能を生かした美しいビジュアルだけでなく、シリーズ史上初めて任天堂以外のハードで登場することも大きな話題となり、発売前からテレビのニュース番組でも度々報道された。

本作はフィールドマップが3DCGで描かれたのをはじめ、実写と見紛うほどの迫力があるムービーシーンを随所に盛り込み、本物の楽器を目の前で演奏しているかのようなリアルなサウンドが聴けるなど、ありとあらゆる新鮮な体験ができたことでプレイヤーの度肝を抜いた。

当時はゲームに限らず、CD-ROM1枚だけでも大容量と言える時代だったが、本作はCD-ROM3枚組で発売され、今で言うところのAAAタイトル(※膨大な予算や人員を投入し、最新技術を駆使して開発したゲームなどを指す言葉)にあたる超大ボリュームだった。まさに時代の最先端、RPGの未来像を創出した作品として、これからも永らく語り継がれることになるだろう。

本作は何と410万本も売れ、この数字は同じく超有名RPGの「ドラゴンクエストVII」と並んで歴代PS用ソフトのトップであり、名実ともに「次世代機」ブーム期を代表する1本だ。

「ファイナルファンタジーVII」のゲーム画面
「ファイナルファンタジーVII」のゲーム画面

5:リッジレーサー(ナムコ/1994年)

1993年に登場した、アーケード用レースゲームの移植版。業界初のテクスチャーマッピングを使用した3DCGにより、まるで実車を運転しているかのようなリアルさを実現した、元祖アーケード版にまったく見劣りしない移植を実現させた。

わざと後輪を滑らせて走る、いわゆるドリフト走行を駆使して急カーブを曲がったり、ライバルカー(CPU)をかわしたりできるのも本作ならではの面白いところ。さらにPS版では、アーケード版には存在しなかった複数の車種を選択できる機能を追加し、別売りのアナログコントローラー「ネジコン」を使用すると、コントローラーを左右にねじりながらマイカー操作する、独特のステアリングワークが楽しめるのも斬新だった。

また、CD-ROM起動時に遊べるミニゲームで、敵を全滅させるとマイカーの種類が増えたり、特定の条件を満たすと出現する最強のライバルカー、通称「デビルカー」が登場したりするなど、粋な演出やオマケ要素も用意されていた。

「CESAゲーム白書」のミリオンセラーリストに本作の記載はないが、ローンチタイトルの1つとして、ポリゴンによる3DCGのリアルさや美しさを通じて初代PSの描画性能の高さ、およびPSの存在そのものを世に知らしめる大きな原動力になったことは間違いないだろう。

「リッジレーサー」のゲーム画面
「リッジレーサー」のゲーム画面

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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