ジャングル出身17歳モデル小林サラが見た母の凄さ。女手一つで作ったゴージャスなゲストハウスとはその4

いつも見守ってくれているお母さんがいるから離れていても安心できる 撮影/佐藤智子

ハワイ島のジャングル、プナ地区で育った17歳のモデル、小林サラ。

14歳でモデルになって、最初の仕事は、いきなり、EDWINの広告。コカコーラにナイキにワコールに。ファッション誌、CM、次々と露出、アルマーニ氏に見初められ、15歳でパリコレに。 

その母親、ケイコ・フォレストさんは「ヤナの森の生活」の著者であり、親子は、ジャングルで電気も水道も通っていない生活を送ってきた。ソーラーパネルでためた電力を使い、雨水を濾過した水を使う暮らし。ジャングルの奥地の広大な敷地に、女手一つで数年かけてゲストハウス「THE VILLAGE」という洗練された施設を作り上げ、ジャングルスクール「nest」を運営。食べられるジャングルとして、フルーツなどの植物を育てる。

その中で育った小林サラのナチュラルな生活。夢のつかみ方。深い絆の親子関係。

まだ、たどたどしい日本語を話す彼女のピュアさに引き込まれつつ、芯の強さを探っていく。

今回、小林サラとケイコ・フォレスト親子のリレーインタビューをおこなった。

キラウエア火山噴火、溶岩が流れ、移りゆく大自然の中で、野性的でありながらエレガントに生きる親子。ジャングルでも都会でもタフに生き抜く力を垣間見た。

優しく強く包み込む母の愛に抱かれた娘は、どう生き方を選択していくのか。

お母さんが手がけたオシャレなゲストハウス「THE VILLAGE」 撮影/田上陽子
お母さんが手がけたオシャレなゲストハウス「THE VILLAGE」 撮影/田上陽子

―― 最後にお母さんの話を聞きたいんだけど。お母さんは、どんな人?

サラ やっぱり、自分のお母さんだけどすごい人だと思ってる。

―― どういうところが?

サラ 最初、ハワイに引っ越した時ちっちゃい家に住んでたの。キッチンがあって、リビングがあって、部屋が1つあって、お母さんと私とお姉ちゃんでその1つの部屋に住んでて。

―― その時は、パパはちょっと離れてたのね。

サラ そうですね、違うところに住んでた。頑張って自分のおうちを買えるようになって、前と比べると、今はすごいゴージャスなゲストハウスになってて。全部お母さんが自分でやってるから。何から何まですごくびっくりしてる。自分も大人になったらそういう感じになりたい。

―― 自分で、いろんなことやってみたいんだ。

サラ うん。

―― お母さんはハワイ島でゲストハウスをずっとやってるじゃない。

サラ はい、そうですね。

―― ゲストが日本から来ると、お話を聞いたりしてたの? 子どもながらに。

サラ お母さんとゲストがだいたいしゃべって、サラが横からちょこちょこ聞いてたけど、しゃべんなかった。

―― 勉強になる? その話とか、大人の人の話は。

サラ 勉強になるね、そうですね。

お母さんの話は勉強になることばかり

―― どういう話が「へー」とか「すごいね」っていうふうに思った?

サラ やっぱり、お母さんのほうがいつもしゃべるから、自分の生活や、ジャングルの話や。

―― そのお母さんの話ですごいなあと思うのはどんなところなの?

サラ いろんなところを旅して、いろんなところに住んで、前は日本に住んでて英語も分かんなかったけど、急にアメリカに来て、英語を頑張って話して、生活できて、すごいと思う。新しいところに行っても何も怖くないと思えるところが。

―― やっぱり、そういうの、自分も似てる気がする?

サラ そうだね。お母さんはすごく強いから、自分はそこまでは行ってないと思うけど、やっぱり新しいところに自分で行くというのは似てる。

「THE VILLAGE」に訪れるゲストとの出会いにも学びがある 撮影/ケイコ・フォレスト
「THE VILLAGE」に訪れるゲストとの出会いにも学びがある 撮影/ケイコ・フォレスト

―― 今回こうやって、サラちゃんが日本で1人で住むことになったりとか、モデルになるってなった時に、お母さんの反応はどうだった? 「いいんじゃない」「行けばいいよ」っていう感じ?

サラ はい、お母さんはもちろん、何してもいつもサポートしてくれて。

―― 心配する感じじゃないんだ。「大丈夫?」とか言わずに。

サラ もちろん心配してる。「ちゃんとご飯食べてる?」とか「何してるの、毎日」とか、ちゃんと聞いてるけど。

―― だけど、「やめたほうがいいよ」ということは、あんまりないのね。

サラ サラがやりたいことをいつも「それが一番いいよ」って言ってるから。日本に来てモデルしたければそれがいいし、ハワイにいたいならそれでもいいし、「どっちでもいいよ」って言ってくれるから。

―― ああ、そんなふうに言ってくれるのね。「サラがやりたいことだったらいいよ」みたいな。

サラ そうだね、もちろん仕事に決めたら「頑張って」って言って。仕事だから。

―― 「こうしなさい」「ああしなさい」じゃなくて「サラが好きなことがいいよ」って言われたら、どんな気持ち?

サラ うれしいよね。1つダメって言ったら、それに緊張して、どんどんどうすればいいかがわからなくなる。例えば、ハワイに帰りたくても、お母さんがダメって、「日本で頑張って」って言ったら、自分の中でどんどんたまっちゃう。ハワイに帰りたいのにダメって言われたから帰れないと、自分も何かストレスになって、寂しくなって。

―― じゃ「ハワイ帰りたい」って言ったら「いいよ」っていう感じなの?

サラ そうそう。だから、すごくうれしい。だから、生活できる。

―― あー、そうか。「あなた、仕事なんだから、そんなこと言わずに頑張りなさい」とかいうことじゃないのね。

サラ うん。もちろん頑張ってほしいけど。

―― 「頑張れ」って言うんだけど、「いつでも帰ってきていいよ」とも言ってくれるんだ。

サラ そうそう。

―― どういうことで、ママに連絡したりすることあるの? 寂しくなったりするの?

サラ そうだね、何か心配になること、これやったほうがいいとか、これはどうすればいいとか聞く時はお母さん。何でも言えるから、お母さんに。

お母さんはいつも何かいいことを言ってくれる 撮影/佐藤智子
お母さんはいつも何かいいことを言ってくれる 撮影/佐藤智子

―― お母さんがよく言ってくれるような言葉ってあるの?

サラ ああ、言葉はないけど、最近風疹になって、日本の病院に行ったことないからすごく心配して。そういう時お母さんに電話して、もう少し様子を見たらいいのか、病院行ったほうがいいのか聞いて。何をしたらいいのって。

―― 何でもお母さんに聞けば分かるって感じなのね。

サラ そうだね。いつも何かいいことを言ってくれて、それで安心できる。

―― どういうことを言ってくれるの? お母さんは。

サラ お金の状態とかだったら足りなくて、「こういうところに行きたいから、ちょっとこれのためにお金使ってもいい?」って言ったら、お母さんはいつも、「もちろん楽しむことが必要だから行ってもいいよ」。例えば、音楽フェスに行きたくても、1万6,000円ぐらいかかって結構高かった。だから、「行ってもいい?」って聞いたら、そしたら「いいよ」って言って、「そういうチャンス、そんなにないから楽しんで」って。

―― サラちゃんは、自分の今の収入っていうか、ギャランティーはどうしてるの? お母さんに全部預けてるの? それとも自分が貯金みたいにしてるの?

サラ 事務所が、お母さんがハワイにいるから送れないから、お母さんの妹に送ってるのね。

―― で、お小遣いみたいな感じでもらうのね。自分のところにギャランティーが入って、使い放題っていうわけじゃないのね。

サラ じゃないですね、リミットがちゃんとある。

―― サラちゃんと話しているとすごくしっかりしてる。言い方は悪いけれど、勝手なイメージで、ジャングルに住んでると、野生児みたいな感じになるのかなあと思えるけど、ちゃんとマナーとか、そういうこともお母さんから教えてもらったわけね。

サラ はい、そうですね。

―― じゃあ、今も、自分の稼いだお金も「これ使っていい?」と聞いているんだね。

サラ うん、すごく気をつけて聞いてるから。

―― それで、お母さんは基本的には、「使っちゃいけない」とは言わないの? あんまり、こういうことしちゃダメとか、そういうことはないのね。

サラ ああ……あるけど、だいたいはけっこう「いいよ」って言ってる。「自分がいいと思ったら、いいよ」とか。

―― お母さんのどういうところが好きなの? 尊敬できる?

サラ 多分、何言ってもそれを分かってくれて、何か普通言えないことも言えるし、怒る時もあるけど、ちゃんと優しくしゃべってくれて、「大丈夫だよ」って言ってくれる。

―― 最初からダメだよっていうことじゃなくて、ちゃんと話を聞いてくれるのね。

サラ はい、そうですね。

―― そっか。だから、東京にいても何かあったらお母さんのところに帰ればいいし、お母さんと話せればいいんだっていうふうに思えるから、安心できるってことだね。

サラ そうですね。

―― そばにずっといなくても。寂しいけど、つながっているわけね。

サラ はい、そうですね、うん。

お母さんと過ごしたジャングルの生活。いつでもここに戻れると思えるから 撮影/Shihoko Otsubo
お母さんと過ごしたジャングルの生活。いつでもここに戻れると思えるから 撮影/Shihoko Otsubo

変化の多い生活で鍛えられたからこそ、新しいことを楽しめる

―― そっか、そっか。でも突然ジャングルに行くことになったり、いわゆる普通の感じではないけど、そういう人生どうだった? 街の中で生まれるのではなくて。大自然の中で。

サラ やっぱり、そっちのほうがいいと思った。街のほうに住んだらいっぱい人いるし、何かちっちゃい時から緊張していたかもしれない。ハワイにいた時は自由にできたから、いっつもリラックスできていて。

―― 自由っていうことが日常的なのね。生まれた時から。

サラ はい。そうですね。

―― でも、そういう環境から、こういう人が多い都会に来ると、ちょっと、きゅって萎縮しちゃうというか、でもそうならずに、タフなベースがあるから。

サラ はい、そうですね。

―― どこでも行けるってこと?

サラ うんうん。

―― 急にアルマーニさんに会いにパリに行きますっていっても、わーっ、どうしようってならないんだね。

サラ パリスに行ったことないから、その前に、着いたらどうなるんだろうとか、危ないかなとか、全然思わなかった。パリスに行くのはうれしくて。すごいハッピーだった。

―― ということは、サラちゃんは、何かする時は、怖い、どうしようっていうよりも、楽しそうとまずは思う感じなのかな?

サラ うん、そうかな。仕事も、モデルを始めた時も楽しくて。

―― 何が一番楽しいの、モデルって?

サラ なんか、メーキャップされて、キレイな写真撮ってもらって、違う自分が見られるのがすごく楽しい。

―― なるほど、いろんなプロフェッショナルな人にやってもらって、自分が変身していくのが楽しいのね。

サラ うんうん。いっぱい撮影があるし。ナチュラルなもの、すごく面白いメイクとか、なかなかそんなにやれないこと。それが楽しみ。いつも新しい感じ。

―― 新しいことが好きなのかな。

サラ そうですね。

―― その新しいことが、もしかしたら自分にとってもちょっとストレスがかかることかもしれない、怖いことかもしれない、というよりも、ワクワクするほうが勝っちゃうってこと?

サラ そうですね。

―― いいねえ。でも、全部そういうふうに思えたら、人生って大げさだけど、すべて新しいこと、毎日が新しいことだから。でも、新しいことが苦手っていう人もいるでしょう。慣れたことしかしたくないということもあるかもしれない。でも、新しいことをすると、メリットが多いんだ。

サラ うん、そうですね。ずっと、うれしく生活できる。

東京に戻ってきたらすぐにモデルの仕事になじめる 写真提供/ALEXIASTAM
東京に戻ってきたらすぐにモデルの仕事になじめる 写真提供/ALEXIASTAM

―― そうかあ。一番聞きたかったのは、都会とジャングル。行ったり来たりしているでしょう。それが、よく一瞬にして、ぱっと、どちらにもなじめるなあと思って。それはサラちゃんだからなのかなあ。それとも、こういうコツがあるとか、ある? どこにいても変わらないの、自分は?

サラ ああ、そうだね。どこに行ってもやることはある。だったら、楽しめるから。

―― じゃあ、ここにいたらこんなサラになる、ここにいたらこうなるというよりも、どこにいても自分というものは、わりと同じように保ちながら、どこでも楽しめるわけね。

サラ はい、そうですね。

―― ハワイだったらこういう遊び、東京だったらこういう遊び。東京だったら友達と原宿でクレープ食べて、ジャングルだったら木に登るとか。そのところどころの楽しみをするんだね。

サラ うん、そうだね。いろんな新しい人とかにも会えるし。

―― それがお母さんからも教わったことなのね。お母さんを見てもそういう感じがするんだね。

サラ はい、そうだね。

―― じゃあ、将来はお母さんみたいに、ジャングルにゲストを呼んだりとか、いろんな人とコミュニケーションを取りたいの?

サラ ああ、それはわかんない。でも、やっぱり、旅したい。いろんなところに。

―― でも、やっぱり影響を受けるよね。いろんなゲストが来て話を聞いていると。完全に家族だけで生活しているよりは。ジャングルに3人で住んでいるよりも、毎日誰かが訪ねてきてくれるんだものね。だから、新しい人との出会いも慣れているのかもしれないね。じゃあ、これからも楽しみだね。

サラ 楽しみ。

―― なんか、やってみたいことある? 東京でこういうことしたことないとか、してみたいとか。

サラ やっぱり、富士山登りたい。

―― ああ、そうか、いいねえ。今は、東京だとどういう生活なの? こもることもあるし、友達と遊びに行くこともあるし。

サラ 渋谷とかに買い物に行く時もあるし、原宿も表参道も行くし。

―― 友達は、みんな、ティーンエイジャー? 同じくらいの?

サラ そうだね。だいたい、みんな一緒くらい。

―― たくさん友達できた? 

サラ はい、できました。一緒にランチ食べようとかいう人はいっぱいいる。

―― 年上の友達もいる? お母さんの友達にも会ったりするから、けっこう幅広い年代よね?

サラ はい、そうですね。

―― だから、スタッフの人ともなじめるんだろうね。

サラ はい、今、関わっている人もお母さんの友達も30代とか、40代とかだから。いっぱい話して、慣れるように。

―― そういう人たちと話していると、いろんな生活があるし、考え方があるというのもわかるし、相手が自分に対してどういうふうに見ているか、どういうリクエストをしているかもわかるものね。それが、撮影する時にも活かされるね。

サラ はいはい、そうですね。

―― じゃあ、撮影で、ナチュラルに、とはこういうことじゃないかなとか。

サラ うん、頭で想像できる。

―― じゃあ、リクエストに応えられるんだね。いい経験しているね。17歳でね。素晴らしいねえ。いい話だった。

サラ ああ、よかった。

―― サラちゃんは、夢を叶えたでしょ。

サラ はい。

―― 夢を叶えるってどういう感じ?

サラ えー、すごくうれしい。自分で、ワコールのCMとか、自分が出ているのをテレビで見て、NHKも出たし。テレビつけて見るのが、すごくびっくりするし。3年前から変わったなあって。

―― 自分がやれたって。

サラ うん、やれたって。

―― 夢が叶った。そしたら、また、夢が出てきたりしない? なんか、一つ叶うと、またやれる気がするんじゃない?

サラ うん。

―― じゃあ、チャレンジしないより、チャレンジした方がいいと思える。

サラ はい、そうですね。

―― そうね。とってもいい話が聞けた。ありがとうございました。

ケイコ・フォレストさんのインタビュー その1につづく

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