可能性は十分ある?長谷川豊氏の当選について考える

試される千葉一区の選挙民?

元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏が日本維新の会の公認候補として擁立されるという。

透析患者へのブログ上での発言が炎上したことが原因で、テレビ出演を見合わせる自体になったため、ネットの反応としては否定的な反応が筆者の目についた。例えば下記のようなものだ。

大阪と阪神間でしか通用しない維新だから、まさか千葉1区で当選するはずもないとは思うが、もし長谷川が本当に出馬するなら、千葉1区の有権者の民度が試される。正しく供託金没収の惨敗を長谷川豊に味わわせてやれ。

出典:http://b.hatena.ne.jp/entry/320293227/comment/kojitaken

流石にコレを当選させるようであれば千葉県民の正気を疑う。

出典:http://b.hatena.ne.jp/entry/320293227/comment/akutsu-koumi

また、普通に考えたら当選しないだろうという見込みも幾つか見られた。

しかし、筆者は下記のようなコメントが示すシナリオにも十分現実性があると思う。

ネット上では散々叩かれていたけど、テレビではあまり取り上げられていなかったから、国政選挙のメインの投票者層はこいつの本性を知らないわけだよな。つまり、当選してしまう可能性が高い悪寒がするわ。

出典:http://b.hatena.ne.jp/entry/320372330/comment/iGCN

確かにネットでは大炎上して、テレビ出演の降板にはなったものの、その評価がどこまで一般的な投票層に浸透したかといえば疑問である。

千葉一区・南関東ブロックでの第三極情勢

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選挙情勢的には民進党の成立により、軸となる第三極政党のポジションが広大な空白となっているのが関東都市部の現状である。かつてみんなの党が躍進を見せたことからわかるように、関東都市部での非自民保守の支持層は一定数存在する。

そこで、千葉一区の現状について見てみよう。大都市圏の一区らしく、民主と自民が激しく争う典型的な激戦区である。前回2014年の結果を見ると、小選挙区当選は田島要氏(民主党)だが、約八千票の僅差で門山宏哲氏(自民党)が比例で復活当選をしている。

注目は、次世代の党(当時)の候補である田沼隆志氏が26,322票(惜敗率31%)を獲得していることだ。さかのぼれば2012年には田沼氏は日本維新の会の候補として、57.2%の惜敗率(ブロック名簿当選順位3位)で復活当選を果たしている。2012年の段階では市議出身の一定の地盤をもつ新人候補であったと思われるが、一般的にいえばそこまで高い知名度とはいえないだろう。その候補でも惜敗率が高く、高い名簿順位を獲得できれば比例復活する可能性は十分にあるのが現在の衆院選挙制度である。

この選挙区に長谷川氏が立候補した場合にどうなるだろうか。比例復活当選は有りうるかどうか検討しよう。

現時点では、千葉一区の属する南関東ブロックで、日本維新の会の公認候補予定者(支部長)は2人しかいない。今後長谷川氏以上の知名度を持った候補が出てくれば話は別だが、相当の確率で長谷川氏は南関東ブロックの名簿当選順位で1位を獲得するだろう。

となると、次に日本維新の会が比例南関東ブロックで1名の当選者を出せるかどうかである。この段階で千葉一区の有権者の民度よりも、南関東ブロック全体の問題になる。なってこった。

南関東比例の当選ラインは25~30万票

前回2014年の南関東ブロックの第三極の情勢について見てみると、維新の党は1,053,221票(4人当選)、次世代の党は236,596票(当選者無し)といった得票である。なおこのブロックでの最後の議席割当は維新の党の4議席目であり、263,305票が最低当選ラインであった。つまり次世代はあと3万票程度の得票があれば一議席獲得できた計算だ。ざっくり言えば、日本維新の会が南関東ブロックで25~30万票程度を獲得できるかどうかが長谷川議員誕生の分水嶺になる。

率直に言って、現在の日本維新の会にとって、南関東ブロックでの25万票は相当の高いハードルだ。神奈川県東部在住の筆者の肌感覚では、この地での日本維新の会の政治的存在感はかなり薄い。その現状を乗り越えて当選者を出すためには、政党としてどこまで資金や組織を動員できるかと行った決断にかかってくるだろう。

南関東の非自民保守と小池新党

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一方で、南関東ブロックの有権者には第三極の潜在的支持者が多数存在していることはよく考えておきたい。実際に都内には自民党を離党していないものの、小池知事による「都民ファーストの会」が今夏の都議選で猛威を振るうことになるとみこまれる。衆院選の時期は2017の暮か新年明けての選挙が濃厚とされるが、それまでの間に第三極をめぐる南関東の情勢が変化することも十分に有り得る。

いまのところ都民ファーストの会が多摩川や江戸川を越えて、かつての大阪維新の会が近畿圏で見せた越境勢力になることは考えにくいが、一寸先は闇というのが政治である。埼玉都民や川崎都民を多数抱える東京近県の政治家にとって、小池知事の動向は無視できないだろう。また、みんなの党と維新の会、次世代の党の離合集散を通じて、政党難民化した保守政治家も多数いるのが東京近郊選挙区の特徴でもある。地味に地盤を持っているこれらの政治家がぽつりぽつりと日本維新の会の第三極ブランドに乗っかってくる来るケースも考えられる。

いろいろな意味で予断を許さない状況である。